1. はじめに

本資料は、ヤマハ株式会社(以降、当社)が開発した無線LANルーターNWR100(以降、本製品)に関する機能・性能や測定データについての技術情報を記載した参考資料です。本製品の導入をご検討いただく際に、本製品の性能確認や設置場所の検討用にご参考ください。
本資料中のデータは、当社の測定環境における結果です。お客様の環境での性能を保証するものではありません。本資料は以下の内容をご了承の上でご使用ください。

  1. 本製品の運用目的の範囲内でのみ使用可能です。

  2. 当社以外の改変は禁止します。

  3. 当社の承諾なく掲示、転載等を禁止します。

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  5. 正確性、有用性、適合性等のいかなる保証をするものではありません。

  6. いかなる損害についても責任を負うものではありません。

  7. 断りなく更新、修正、変更、削除をすることがあります。

2. 電波伝搬特性

2.1. 概要

本章では本製品の電波伝搬性能について記載します。

2.2. 推奨設置条件

本製品の推奨設置条件は、図2-1のように、障害物よりも高い位置に設置して使用することです。なぜ、このような設置が必要であるかを、次節の電波伝搬のしくみや電波伝搬の測定結果より、説明していきます。

推奨設置条件イメージ
図2-1 推奨設置条件イメージ

2.3. 電波伝搬のしくみ

無線通信は送信機から放射された電波が受信機に届いたときに、ある一定の電力が保たれていることで成立します。しかし、電力は空間に放射されると大きく2つの要因で減衰します。一つは距離減衰です。電波は空間に放射されると球面状に拡散しながら伝搬していきます。そのため放射点からの距離が離れるほど単位面積あたりの電力密度が小さくなります。すなわち通信距離が長いほど受信機が受信する電力は小さくなります。もう一つは物体による遮蔽や透過減衰です。電波は物体にぶつかると物体の特性により遮蔽されたり透過したりして伝搬していきます。そのため屋内のように構造物が多い環境では遮蔽や透過が発生する頻度が高くなります。電波が遮蔽されると受信機まで到達することができないため通信は成立しません。また電波が物体を透過する場合、物体の特性に応じて電力は減衰してしまうため構造物が多い環境では通信が成立しなくなる可能性が高くなります。屋内環境で良好な通信を成立させるためには、通信距離や構造物の影響を考慮する必要があります。

2.4. サイトサーベイ

良好な通信が成立するエリアを確認する方法としてサイトサーベイがあります。サイトサーベイとは電波調査のことで設置した無線LANアクセスポイントの電波がどのように伝搬しているかを実際に測定して確認する手法です。測定は専用の受信端末と測定した電力をヒートマップ状に可視化して表示するアプリケーションで行います。このヒートマップを見れば通信可能エリアが確認できるため、無線LANアクセスポイントの設置位置の設計にとても効果的です。

2.5. 本製品のヒートマップ

ここからは Ekahau社( https://www.ekahau.com/ ) のサイトサーベイツールのSidekick2を使用して測定した本製品のヒートマップについて記載します。記載するヒートマップは、とある小規模オフィス環境において本製品の主な設置方法である縦置き設置で表2-1の条件の場合の測定結果です。測定結果は建物の構造やレイアウト等によって異なります。そのため、実際に設置する環境においてもサイトサーベイを実施し、通信可能エリアの検証を行うことを推奨します。ここで記載するヒートマップは、本装置の通信可能エリアの傾向を示すものとして、設置場所の検討の際に参考情報としてご活用ください。

Table 1. 表2-1 サイトサーベイの測定条件
No. 周波数 設置場所 人の有無 高さ条件

1

2.4GHz/5GHz

卓上

有り

本製品: 0.8m
測定端末: 0.8m

2

無し

3

有り

本製品: 床
測定端末: 0.8m

4

無し

測定場所のマップ
図2-2 測定場所のマップ
会議室
事務室

会議室

事務室

図2-3 測定場所の風景

卓上設置
床設置

卓上設置

床設置

図2-4 サイトサーベイのイメージ風景

2.6. 障害物による電波伝搬への影響

表2-1の条件で測定したヒートマップから、電波伝搬が設置場所や人の有無による障害物からの影響について示します。

2.6.1. 2.4GHzのヒートマップ

  • 本製品から近い事務室では、条件問わず一定の強い電波が集中している。

  • 本製品から遠い会議室では、条件による電波の強さに差があり、人や設置場所によって減衰の程度が変化している。 人の有無が電波伝搬に対して、大きな影響を与えている。

Table 2. 図2-5 2.4GHzのヒートマップ

人がいない

人がいる

卓上設置

人なし卓上設置(2.4GHz)
"人あり卓上設置(2.4GHz)

床設置

人なし床設置(2.4GHz)
人あり床設置(2.4GHz)

ヒートマップ 色分け

2.6.2. 5GHzのヒートマップ

  • 本製品から近い位置の事務所では、条件問わず一定の強い電波が集中している。

  • 本製品から遠くに位置する会議室では、障害物が増える条件ほど、電波の強さが減衰している。そのため、見通しが確保できる卓上設置の方が床設置よりも、会議室へ強い電波が届いている。

Table 3. 図2-6 5GHzのヒートマップ

人がいない

人がいる

卓上設置

人なし卓上設置(5GHz)
人あり卓上設置(5GHz)

床設置

人なし床設置(5GHz)
人あり床設置(5GHz)

ヒートマップ 色分け

2.7. 電波伝搬特性と設置時のポイント

測定したヒートマップから確認できる設置場所や人の有無による電波伝搬への影響を整理します。

2.4GHzの測定結果

  • 本製品から近い事務所では、条件問わず一定の強い電波が集中している。

  • 本製品から遠い会議室では、条件による電波の強さに差があり、人や設置場所によって減衰の程度が変化している。人の有無が電波伝搬に対して、大きな影響を与えている。

5GHz の測定結果

  • 本製品から近い位置の事務所では、条件問わず一定の強い電波が集中している。

  • 本製品から遠くに位置する会議室では、障害物が増える条件ほど、電波の強さが減衰している。そのため、見通しが確保できる卓上設置の方が床設置よりも、会議室へ強い電波が届いている。

これらの結果から、卓上設置よりも障害物が多い床設置の環境では、電波の電力が減衰しやすいことがわかります。安定した無線LAN環境を実現するためには、電波伝搬特性をご理解いただき目的に応じて設置場所を適切に選択する必要があります。測定結果に基づき、推奨する2.2節で示した通りとなります。

本製品の設置方法については、ユーザーガイド(3章.設置する) もご参照ください。