ホワイトペーパー
1. はじめに
本資料は、ヤマハ株式会社(以降、当社)が開発した無線LANアクセスポイントWLX212(以降、本製品)に関する機能・性能や測定データについての技術情報を記載した参考資料です。本製品の導入をご検討いただく際に、本製品の性能確認や設置場所の検討用にご参考ください。
本資料中のデータは、当社の測定環境における結果です。お客様の環境での性能を保証するものではありません。本資料は以下の内容をご了承の上でご使用ください。
・本製品の運用目的の範囲内でのみ使用可能です。
・当社以外の改変は禁止します。
・当社の承諾なく掲示、転載等を禁止します。
・権利やライセンスの移転および許諾を与えるものではありません。
・正確性、有用性、適合性のいかなる保証をするものではありません。
・いかなる損害についても責任を負うものではありません。
・断りなく更新、修正、変更、削除をすることがあります。
本資料では、以下の項目について解説します。
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電波伝搬特性
本製品の電波伝搬性能について記載します。
2. 電波伝搬特性
2.1. 概要
本章では本製品の電波伝搬性能について記載します。
2.2. 電波伝搬のしくみ
本製品は2.4GHz帯と5GHz帯の電波を使用して無線通信を行います。無線通信は送信機から放射された電波が受信機に届いたときに、ある一定の電力が保たれていることで成立します。しかし電力は空間に放射されると大きく2つの要因で減衰します。一つは距離減衰です。電波は空間に放射されると球面状に拡散しながら伝搬していきます。そのため放射点からの距離が離れるほど単位面積あたりの電力密度が小さくなります。すなわち通信距離が長いほど受信機が受信する電力は小さくなります。もう一つは物体による遮蔽や透過減衰です。電波は物体にぶつかると物体の特性により遮蔽されたり透過したりして伝搬していきます。そのため屋内のように構造物が多い環境では遮蔽や透過が発生する頻度が高くなります。電波が遮蔽されると受信機まで到達することができないため通信は成立しません。また電波が物体を透過する場合、物体の特性に応じて電力は減衰してしまうため構造物が多い環境では通信が成立しなくなる可能性が高くなります。屋内環境で良好な通信を成立させるためには、通信距離や構造物の影響を考慮する必要があります。
2.3. サイトサーベイ
良好な通信が成立するエリアを確認する方法としてサイトサーベイがあります。サイトサーベイとは電波調査のことで設置した無線LANアクセスポイントの電波がどのように伝搬しているかを実際に測定して確認する手法です。測定は専用の受信端末と測定した電力をヒートマップ状に可視化して表示するアプリケーションで行います。このヒートマップを見れば通信可能エリアが確認できるため、無線LANアクセスポイントの設置位置の設計にとても効果的です。
2.4. 本製品のヒートマップ
ここからは Ekahau社( https://www.ekahau.com/ ) のサイトサーベイツールを使用して測定した本製品のヒートマップについて記載します。記載するヒートマップは、とあるオフィス環境において本製品を下表の条件で設置した場合の測定結果です。測定結果は建物の構造やレイアウト等によって異なります。そのため実際に設置する環境においてもサイトサーベイを実施し、通信可能エリアの検証を行うことを推奨します。ここで記載するヒートマップは、本装置の通信可能エリアの傾向を示すものとして、設置場所の検討の際に参考情報としてご活用ください。
本製品の主な設置方法である天井設置と壁面設置について測定を行います。またそれぞれの設置においてアンテナ指向性あり/なしについて測定します。測定条件を下表に示します。
No. | 設置 | アンテナ | 高さ条件 |
---|---|---|---|
1 |
天井設置 |
指向性あり |
本製品: 2.4m / 測定端末: 0.8m |
2 |
指向性なし |
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3 |
壁面設置 |
指向性あり |
本製品: 2.2m / 測定端末: 0.8m |
4 |
指向性なし |
2.5. 天井設置の場合
本製品を天井設置して測定したヒートマップを下図に示します。図から読み取れる本製品の電波伝搬特性を以下に挙げます。
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指向性ありは電波が特定の範囲に集中している
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指向性なしは電波がより広い範囲に広がっている
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電波の広がりは2.4GHz帯も5GHz帯もほぼ同等である
2.4GHz帯 | 5GHz帯 | |
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指向性あり |
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指向性なし |
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2.6. 壁面設置の場合
本製品を壁面設置して測定したヒートマップを下図に示します。図から読み取れる本製品の電波伝搬特性を以下に挙げます。
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指向性ありは本製品の天面方向(図の縦方向)に電波が広がっている
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指向性なしは本製品の側面方向(図の左右方向)に電波が広がっている。
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電波の広がりは2.4GHz帯も5GHz帯もほぼ同等である
2.4GHz帯 | 5GHz帯 | |
---|---|---|
指向性あり |
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|
指向性なし |
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2.7. 本製品の電波伝搬特性と設置時のポイント
測定したヒートマップから確認できる本装置の電波伝搬特性を整理します。
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アンテナ指向性ありは製品天面方向に電波が集中する
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アンテナ指向性なしは全方向に電波が広がる
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2.4GHz帯と5GHz帯の電波の広がりはほぼ同じ
安定した無線LAN環境を実現するためには、本製品の電波伝搬特性をご理解いただき目的に応じて設置場所やアンテナ選択を適切に行う必要があります。本製品の電波伝搬特性に基づき、推奨する設置条件を下表に示します。
本製品の設置方法やアンテナ指向性の設定方法等については、
設置方法とアンテナ選択
・
アンテナ指向性
もご参照ください。
設置場所 |
アンテナ選択 |
想定シーン |
天井設置 |
指向性あり |
|
指向性なし |
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壁面設置
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指向性あり |
|
指向性なし |
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