1. 概要

5GHz帯の無線LANで、W53(52ch~64ch)およびW56(100ch~144ch)のチャンネルを使用している場合、気象・航空レーダー波を検出したときにはチャンネルを変更する必要があります。
レーダー波と干渉しない、使用できるチャンネルを調べるためには最短でも60秒間かかるため、従来機種では60秒間通信が切断されていました。

この切断状態を避けるために、WLX413では5GHz(2) の無線モジュールを使用してチャンネルのスキャンを常に行うことでレーダー波に干渉しないチャンネルを把握し、レーダー波を検出したときにすぐにチャンネルを変更します。
WLX413ではこの機能を「 Fast DFS機能 」と呼称しています。

2. 注意事項

  • 本機能を使用しているときは、無線モジュールの5GHz(2)は無線端末の接続に使用することはできません。
    よって、無線端末の最大接続台数は2.4GHzで100台、5GHz(1)で200台、合計300台となります。

  • 本機能と WDSブリッジ機能 を併用することはできません。
    WDSブリッジ機能を使用しているフォロワーAPにFast DFS機能を使用する設定を送信した場合、WDSブリッジ機能が優先されるためFast DFS機能は有効になりません。

  • 5GHz帯を使用しない場合や、チャンネルをW52(36ch~48ch)しか使用しない場合は、本機能を使用する必要はありません。

  • 本機能を使用するときは、5GHz(1)および5GHz(2)の使用場所設定が同じである必要があります。
    仮想コントローラーのWeb GUIの[無線設定] - [共通] - [基本無線設定] - [無線LANの使用場所] で、「2.4GHz、5GHz(1)の使用場所」と「5GHz(2)の使用場所」の設定が異なっているとき、[5GHz(2) 基本] -「動作モード」で「Fast DFSモード」を選択できません。

3. 対応ファームウェアリビジョン

このページで説明する内容は、以下のファームウェアを対象としています。

モデル ファームウェア

WLX413

Rev.22.00.01以降

4. 用語定義

DFS

"Dynamic Frequency Selection"の略で、レーダーなど既存機器との干渉を検出し、干渉検出時に運用周波数を変更する機能。

5. 機能の効果

Fast DFS機能によって、気象・航空レーダーを検出した後にW53 / W56のチャンネルを使用する場合でも、60秒間通信が切断することなく速やかにチャンネルを変更できます。

下図にFast DFS機能でレーダーを検出した場合のチャンネル遷移の測定結果を示します。
画面上部のグラフが最初に使用しているチャンネル(116ch:5.58GHz)で、画面下部がレーダー検出後の移動先となるチャンネル(52ch:5.26GHz)です。
グラフの縦軸が電波の送信レベルで(1マス10dBm)、横軸が時間の経過(1マス3秒)を示しています。

レーダー検出前は最初のチャンネルで電波を送信していますが、検出と同時に送信を止めます。
最初のチャンネルの送信が止まったのとほぼ同じタイミングで、移動先のチャンネルで電波の出力が始まっています。
Fast DFS機能を使用すると、通常のDFS機能で必要な 60秒の待ち時間がないことが分かります。

Fast DFSの動作
Fast DFSの動作

6. DFSチャンネルの選択範囲

Fast DFS機能を使用するとき5GHz(1)の無線設定および無線LANの使用場所の設定により、DFSチャンネル選択範囲が決定されます。

チャンネル幅

プライマリチャンネル

プライマリ40MHzチャンネル

使用場所

DFSチャンネル選択範囲

80MHz

下測波帯

下測波帯

屋内で使用する

52, 100, 116

80MHz

下測波帯

下測波帯

屋外で使用する

100, 116

80MHz

下測波帯

上測波帯

屋内で使用する

60, 108, 124

80MHz

下測波帯

上測波帯

屋外で使用する

108, 124

80MHz

上測波帯

下測波帯

屋内で使用する

56, 104, 120

80MHz

上測波帯

下測波帯

屋外で使用する

104, 120

80MHz

上測波帯

上測波帯

屋内で使用する

64, 112, 128

80MHz

上測波帯

上測波帯

屋外で使用する

112, 128

40MHz

下測波帯

-

屋内で使用する

52, 60, 100, 108, 116, 124, 132

40MHz

下測波帯

-

屋外で使用する

100, 108, 116, 124, 132

40MHz

上測波帯

-

屋内で使用する

56, 64, 104, 112, 120, 128, 136

40MHz

上測波帯

-

屋外で使用する

104, 112, 120, 128, 136

20MHz

-

-

屋内で使用する

52, 56, 60, 64, 100, 104, 108, 112, 116, 120, 124, 128, 132, 136, 140, 144

20MHz

-

-

屋外で使用する

100, 104, 108, 112, 116, 120, 124, 128, 132, 136, 140, 144

7. 設定例

7.1. クラスター全体でFast DFSを使用する

Fast DFS機能の設定は仮想コントローラーのWeb GUIから行います。
仮想コントローラーによる設定については、 クラスター管理機能 を参照してください。

  1. クラスター共通の動作モードを変更する

    [無線設定] - [共通] - [基本無線設定]で、[5GHz(2) 基本]の[動作モード]を「Fast DFSモード」にすることで、クラスター全体でFast DFS機能を使用できます。

    Fast DFS機能を使用する場合は、[5GHz(1) 基本]の[チャンネル]や[自動チャンネル選択範囲]にて、W53やW56のチャンネルを使用するように設定してください。

    無線設定 - 共通 - 基本無線設定
    無線設定 - 共通 - 基本無線設定
  2. 各VAPでバインドする無線モジュールを確認する

    [無線設定] - [共通] - [SSID 管理]で、VAPを作成するときにバインドする周波数帯の無線モジュールを設定できます。
    5GHz(1)をバインドするように設定してください。
    すでに「5GHz(2)」が指定されているVAPが存在している状態で、[無線設定] - [共通] - [基本無線設定]にてFast DFS機能を有効にした場合、自動的に「5GHz(2)」の指定が解除されます。

    無線設定 - 共通 - SSID 管理
    無線設定 - 共通 - SSID 管理
  3. 設定送信

    設定した内容を反映させるために設定送信を行います。
    仮想コントローラーの[設定送信] - [設定送信] を開き、 [送信] ボタンを押します。

7.2. 一部のAPのみFast DFS機能を使用する

クラスター全体ではなく、一部のフォロワーAPで「Fast DFSモード」を使用したい場合は、共通の動作モードは「ノーマルモード」に設定し、個別設定でFast DFSモードを有効にします。

  1. フォロワーAP毎の設定を行う

    一部のフォロワーAPのみ「Fast DFSモード」を使用したい場合は、[個別] - [詳細設定]ページより対象のフォロワーAPを設定します。
    対象フォロワーAPの基本無線設定で[5GHz(2) 基本]の[動作モード]を「Fast DFSモード」にします。
    同時に、[5GHz(1) 基本]の[チャンネル]や[自動チャンネル選択範囲]にて、W53やW56のチャンネルを使用するように設定してください。

    無線設定 - 個別 - 詳細設定
    無線設定 - 個別 - 詳細設定
    無線設定 - 個別 - 詳細設定 - 基本無線設定
    無線設定 - 個別 - 詳細設定 - 基本無線設定
    Fast DFS機能を使用するフォロワーAPでは5GHz(2)をバインドする設定が自動的に解除されます。
  2. 設定送信

    設定した内容を反映させるために設定送信を行います。
    仮想コントローラーの[設定送信] - [設定送信] を開き、 [送信] ボタンを押します。