無線通信平滑機能
1. 概要
無線通信平滑機能 (Airtime Equalizer) 機能は、本製品に接続している無線端末において、伝送速度の速い無線端末の通信速度が伝送速度の遅い無線端末によって遅くなることを防ぐ機能です。
無線端末の伝送速度や受信信号強度を判断基準にして各無線端末向けの通信時間割り当てを調整することにより、伝送速度の速い無線端末の通信速度が遅くなることを防ぎます。
2. 注意事項
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本機能はAPから無線端末向けの通信のみに有効に働きます。無線端末からAP向けの通信には効果はありません。
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各端末への同時通信が発生しないときなど、通信に余裕がある場合には通信制御は行いません。
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本製品への無線端末の接続台数が多いときは、本機能の効果が見えにくくなります。
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WLX413 Rev.22.00.05以降、WLX222 Rev.24.00.01以降、WLX322 Rev.25.00.02以降、WLX323 Rev.25.01.02以降のファームウェアでは無線通信平滑機能の設定によらず常に動作が有効になります。
3. 対応ファームウェアリビジョン
このページで説明する内容は、以下のファームウェアを対象としています。
モデル | ファームウェア |
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WLX212 |
Rev.21.00.02以降 |
WLX413 |
Rev.22.00.01以降 |
WLX222 |
Rev.24.00.01以降 |
WLX322 |
Rev.25.00.02以降 |
WLX323 |
Rev.25.01.02以降 |
4. 用語定義
- ATE
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本機能の英語名"Airtime Equalizer"の略称。
- モジュール
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APに搭載されている2.4GHz、5GHz(1)、5GHz(2)、6GHz(1)の無線モジュールのこと。搭載されている無線モジュールは機種により異なる。
5. 詳細
5.1. 基本動作
無線LANのデータ送信は各無線端末の伝送速度を考慮せず、通信機会が均等になるように調整されます。言い換えると各端末毎に送信できるデータ送信回数はほぼ均等になります。これは各端末の通信機会を均等にするという観点では公平ですが、各端末が使用する伝送レートに差がある場合は、端末が使用するデータ送信時間には大きな差が発生することになります。たとえば11a規格にのみ対応した端末と11ac規格に対応した端末が同じアクセスポイントに接続しているとき、11aの端末が使用するデータ送信時間が大きくなります。そのため11ac端末が使用できる通信時間が減少し、アクセスポイントの通信スループットは低下することになります。
本機能は各端末が使用するデータ送信時間の差が小さくなるように調整することで、アクセスポイントの通信スループットを向上させます。
5.1.1. 本機能が無効な場合
伝送速度の遅い無線端末向けの通信と伝送速度が速い端末の通信が交互に行われます。
そのため伝送速度の速い無線端末向けの通信が遅い無線端末向けの通信に待たされ、伝送速度の速い無線端末の通信速度が遅くなります。
(図中の長方形はAPから無線端末への無線フレームを表します。また、長方形の横の長さは通信時間の長さを、縦の長さは伝送速度の速さを表します)
5.1.2. 本機能が有効な場合
伝送速度の遅い無線端末向けの通信の時間を減少させ、減少させた時間を伝送速度が速い端末の通信時間に割り当てます。
その結果、アクセスポイントが送信できる通信スループットが向上します。
(図中の長方形はAPから無線端末への無線フレームを表します。また、長方形の横の長さは通信時間の長さを、縦の長さは伝送速度の速さを表します)
6. 設定・操作方法
本機能は、各無線モジュールごとに有効/無効を設定できます。設定は仮想コントローラーのWeb GUIの[無線設定] - [共通] - [XX GHz 詳細] にある [無線通信平滑機能]で設定することができます。
設定された内容は、[設定送信] - [設定送信]で設定を送信することで、初めてAPに適用されます。
7. SYSLOGメッセージ一覧
本機能が出力するSYSLOGメッセージはありません。