1. はじめに

本製品に同梱のマウントパネルを使用すると、本体の壁面や天井への設置、VESA規格スタンドへ固定することができます。また、付属のスタンドも併用すると机上設置も可能です。
本製品は指向性の異なる2種類のアンテナを内蔵しています。
本項では環境に合わせた設置方法やアンテナの選択方法を説明します。

マウントパネルやスタンドの取り付け方法などの詳細はユーザーガイドを参照してください。

1.1. 安定した通信を実現するために

無線LAN で使用する電波は、壁を透過するときに減衰します。
また、壁や物体に反射した電波と干渉することでも減衰を引き起します。
特に人体や金属製の物体(本棚、キャビネット、机、鉄筋コンクリートの壁など)は、減衰や反射が顕著に発生し無線LAN の通信に多くの場合、悪影響を与えます。
そのため通信を行う無線LAN アクセスポイントと無線LAN クライアントをこれらから可能なかぎり遠ざけることが安定した通信を実現する条件となります。
さらに無線LAN アクセスポイントと無線LAN クライアントは間に障害物がない場所に設置することも重要です。

本製品は付属品を使用することで、天井、壁面や卓上への設置が可能です。
設置場所や使用環境に合わせた設置方法を選択し、安定した通信環境を整えましょう。

1.2. 設置の注意点

  • 使用者になるべく近い位置にアクセスポイントを設置する。

  • アクセスポイントはなるべく高い位置に設置し、人体による遮蔽を防ぐ。

  • コードレス電話機や電子レンジなどから離して使用する。

  • キャビネットやオフィス机など、金属を含むじゅう器に平置きしない。

  • 配電盤箱など金属製の箱の中に設置しない。

上記の条件や障害物が避けられない場所がある場合は、アクセスポイントを仮置きし、設置および運用前に十分に通信試験を行うことをおすすめします。

2. アンテナの指向性について

本製品は以下のアンテナが使用できます。

  • 内蔵アンテナ

  • 屋外用外部アンテナ(お客様でご用意ください)

本製品を屋内で使用する場合は内蔵アンテナを、屋外で使用する場合は屋外用外部アンテナを使用してください。
なお、本製品で使用可能な屋外用外部アンテナについては、「 外部アンテナ 」をご覧ください。

使用するアンテナに合わせて機器の設定が必要です。設定を行わないとアンテナが正しく動作しません。
アンテナの設定 」を参照し設定を行ってください。
工場出荷時設定では「内蔵アンテナ」を使用する設定になっています。

2.1. 内蔵アンテナの指向性

本製品は2種類の指向性が異なるアンテナを内蔵しています。
本製品はトライバンドに対応しており、2.4GHzおよび5GHz(1)は「指向性なし」、5GHz(2)は「指向性あり」です。
なお、5GHz(2)は無線バックホールでの使用を想定して「指向性あり」となっています。

■ 指向性あり

本製品前方(天面側)へ電波が飛びます。
背面への送信を抑えているため、前方により強い電波が送信されます。

ant in 02
■ 指向性なし

本体を軸に同心円状方向に電波が飛びます。
本体を設置面と垂直に設置する場合、以下のように電波が送信されます。「指向性あり」と比較すると、背面側にも電波が出力されるため、前方の通信距離は短くなります。

ant in 05

3. 設置場所と設置方法の選択

3.1. 天井に設置する

天井に設置すると人体による遮蔽が発生しにくいため、無線LANアクセスポイントの設置場所としてとても適しています。
また、設置場所は無線LAN アクセスポイントを使用するユーザーのなるべく中心に設置することをおすすめします。

天井に設置する
○ 良い設置例
  • 付属の取り付け金具を使用し、ユーザーの中心の天井に設置する。

  • 天井裏に設置するときは天面が下をむく状態で置く。

    天井に設置する - 良い設置例
× 悪い設置例
  • 天井裏に天面が上を向く状態で設置する。

  • 天井裏を通る金属製レールの上やパイプの上に設置する。

    天井に設置する - 悪い設置例

3.2. 壁面に設置する

壁面に設置する場合は、人や遮蔽物の影響を減らすために、なるべく天井近くの高いところに設置してください。
床に近い場所に設置すると、床面での電波の反射が通信に影響をあたえることがあります。

○ 良い設置例
  • 付属の取り付け金具を使用し、壁の高い位置に設置する。

    壁面に設置する - 良い設置例
× 悪い設置例
  • 床付近に設置する。

    壁面に設置する - 悪い設置例

3.3. 卓上に設置する

卓上に設置する場合は、本製品にスタンドを取り付けてご使用ください。設置場所はなるべく金属製の物体や障害物から離してください。

○ 良い設置例
  • 本体を木製の台などを利用して、本体がパーテーションなどで隠れないように設置する。

    卓上に設置する - 良い設置例
× 悪い設置例
  • 棚の隙間や本棚の間など、物の隙間に設置する。

    卓上に設置する - 悪い設置例

4. アンテナの設定

4.1. クラスター内で使用するアンテナを設定する

本製品の設定変更はWeb GUIから行います。Web GUIを開くには、本製品と同じネットワークに接続したパソコンから操作してください。本説明ではWindows 10でGoogle Chromeを使用した場合のWeb GUIを例に説明します。ほかの環境の場合は画面表示が多少異なりますが、基本的な操作は同じです。

  1. 仮想コントローラーのWeb GUIのトップページを表示します。

    仮想コントローラー Web GUI
    仮想コントローラー Web GUI

    仮想コントローラーの画面を表示する方法について詳しくは、「クラスター管理」をご覧ください。

  1. 「無線設定(共通)」-「基本無線設定」を順にクリックします。
    基本無線設定ページ内の「無線LANの使用場所」で、2.4GHz、5GHz(1)および5GHz(2)を「屋内で使用する」か「屋外で使用する」かを選択できます。
    「屋内で使用する」では「内蔵アンテナ」を、「屋外で使用する」では「屋外用アンテナ」を使用する設定になります。

    無線設定 - 共通 - 基本無線設定
    無線設定 - 共通 - 基本無線設定
  2. 両方共に「屋外で使用する」を選択した場合、「内蔵アンテナ」と「屋外用アンテナ」のどちらを使用するか選択できます。「無線LANの使用場所」および「アンテナの特性」を選択したら、画面下部にある「設定」ボタンをクリックします。

    無線設定 - 共通 - 基本無線設定
    無線設定 - 共通 - 基本無線設定
  3. [設定送信] - [設定送信]を開き、「送信」ボタンを押す。

    設定送信 - 設定送信
    設定送信 - 設定送信

4.2. クラスター内で使用するアンテナを混在する

仮想コントローラーの「無線設定(共通)」でアンテナ設定を変更し設定を送信すると、クラスターに所属するすべてのAPのアンテナは同じ設定が同期されます。しかし必ずしもクラスターで同一のアンテナを選択することが適切とは言えません。
[無線設定] - [個別] - [詳細設定] を使用すると、クラスターに所属するAPのアンテナ設定を個別に選択することができます。

  1. [無線設定] - [個別] - [詳細設定]で設定したいAPの「基本無線設定へ」ボタンを押し、「基本無線設定 (個別)」で設定する。

    無線設定 - 個別 - 詳細設定
    無線設定 - 個別 - 詳細設定
    無線設定 - 個別 - 詳細設定 - 基本無線設定 (個別)
    無線設定 - 個別 - 詳細設定 - 基本無線設定 (個別)
  2. [設定送信] - [設定送信]を開き、「送信」ボタンを押す。

    設定送信 - 設定送信
    設定送信 - 設定送信

5. 外部アンテナ

5.1. 外部アンテナの対応

本製品は外部アンテナ端子を搭載しており、外部アンテナの接続が可能です。
外部アンテナ端子数、対応周波数、対応アンテナは下表を参照ください。

モデル 端子数 対応周波数 対応アンテナ

WLX413

4

2.4GHz/5GHz(1)共用:2個
5GHz(2)用:2個

屋外アンテナ(指定品)

本製品は「 使用できる外部アンテナ 」に示す外部アンテナに限り使用することができます。
使用できる外部アンテナ 」に示す構成以外を接続すると電波法違反となるため、ご使用いただけません。
また、WLX413では、5GHz帯のW52およびW53チャンネル帯を屋外で使用すると法令違反になります。屋外でご使用になる場合は、W56チャンネル帯をご使用ください。

外部アンテナ使用時は、同じチャンネルの内蔵アンテナは全て無効となります。

5.2. 使用できる外部アンテナ

本製品は下表の外部アンテナを使用いただけます。

種類 使用可否 注記

屋外無指向性アンテナ

×

ご使用いただけません。

屋外指向性アンテナ

下記構成に限り、ご使用いただけます。

ショートポールアンテナ

×

ご使用いただけません。

外部アンテナを使用する場合は、下記に示す構成を外部アンテナ端子に接続してください。
下記の構成と異なるケーブルやアンテナを接続した場合、電波法違反となります。

本製品は端子によって対応するチャンネルが異なります。
本製品の端子の詳細については下記「 外部アンテナ端子 」をご参照ください。

  • 屋外指向性アンテナを使用する場合
    下図の構成を接続してください。

    接続構成 - 屋外指向性アンテナを使用する場合
    接続構成 - 屋外指向性アンテナを使用する場合
No. 品名 型名 仕様

1

同軸変換ケーブル

CNS-ANT15-05M

1.5DS-QEHV(TA) 0.5m NJ-SMAP

2

避雷器

SA06N

DC-6GHz ≧90V(100V/s) NP-NJ

3

15m延長ケーブル

C5NPP-EXT15M

5D-HFA 15m NP-NP

4

指向性アンテナ

PAT250909N-W56

2.4G/5G 9dBi 指向性パッチ型平面アンテナ NJ

メーカーはいずれも、アンテナテクノロジー株式会社製です。

5.3. 外部アンテナ端子

本製品は4個の外部アンテナ端子を搭載しております。
本製品は2.4GHz、5GHz(1)および5GHz(2)のトライバンドに対応しており、外部アンテナ端子によって対応する周波数帯が異なります。

外部アンテナを接続する場合は、取扱説明書やWeb設定画面をご確認の上、アンテナを接続してください。
また、製品底面の表示で各端子が対応する周波数帯が確認できます(下図)。
製品底面の表示もあわせてご確認ください。

製品底面 - 外部アンテナ端子
製品底面 - 外部アンテナ端子

5.4. 外部アンテナへの切り替え方法

外部アンテナを使用する場合は、Web設定ページで使用するアンテナを設定してください。
(初期設定では内蔵アンテナを使用するよう設定しています。)
アンテナの設定 」を参照してアンテナを設定してください。
アンテナを選択すると "アンテナ接続ガイド" の部分にどの端子にアンテナを接続するか表示されます。

以下は例として、無線LANの使用場所を「2.4GHz、5GHz(1)を屋外」で「5GHz(2)を屋内」で使用する選択をした場合のアンテナ接続ガイドの表示です。

アンテナ接続ガイド - 2.4GHz、5GHz(1)を屋外で、5GHz(2)を屋内で使用する場合
アンテナ接続ガイド - 2.4GHz、5GHz(1)を屋外で、5GHz(2)を屋内で使用する場合