1. はじめに

本ガイドは、『WLX222』(以下、本製品)をご購入前またはご購入後の方に向けて、製品の基本的な取り扱い方(製品概要、設置方法、接続方法、具体的な設定を始めるまでの手順など)を説明します。詳しい技術仕様や使い方をお知りになりたい方は、 技術資料やコマンドリファレンス をご覧ください。

本章では、はじめにご確認いただきたい内容を以下の流れで説明します。

1.1. 本製品の概要

本製品は、オフィスや店舗、学校、ホテルなどに向けて、通信速度の高速化と管理機能を強化した無線LANアクセスポイントです。本節では、その特長を説明します。

本製品のメリット

既設アクセスポイントからの置き換えやすさ

既設のLAN配線やPoE給電設備を継続して利用可能

有線LANのメリハリの効いた高速化

既設のLAN配線を利用してコストを抑えて高速化

本製品の特長

Wi-Fi 6

第6世代のWi-Fi規格に対応

マルチギガビット

既設のLAN配線を利用して、1Gbpsを超える通信速度を実現

オンプレミス管理

クラスター管理機能を利用した管理方法に対応

クラウド管理

クラウド型ネットワーク統合管理サービス「Yamaha Network Organizer」を利用した管理方法に対応

見える化ツール

見えない無線LANを独自技術で可視化するツールを搭載

LANマップ

有線LANのつながりや状態を独自技術で可視化するツールに対応

1.1.1. 既設アクセスポイントからの置き換えやすさ

本製品は、既設のPoE給電設備やLAN配線などの設置環境をそのまま利用できます。既設アクセスポイントから置き換えやすい無線LANアクセスポイントです。

項目 ポイント機能・性能 メリット

PoE給電

IEEE802.3af 準拠

既設のPoE給電環境をそのまま利用可能

最大消費電力:10.7 W

低消費電力(発熱量も少ない)

有線LAN

2.5GBASE-T
マルチギガビット

既設のLAN配線をそのまま利用しながら、アップリンクを高速化

無線LAN

Wi-Fi 6

第6世代のWi-Fi規格に対応した高速化

2種類の内蔵アンテナ

設置環境に合わせた 指向性と無指向性の選択 が可能

3種類の設置方法

天井、壁、卓上への設置 が可能

1.1.2. 有線LANのメリハリの効いた高速化

Wi-Fi 6 」導入に伴い期待される「10ギガビット」ですが、更新には大きな投資が必要になります。バックボーンには「10ギガビット」を採用し先行投資、アクセス網には「 マルチギガビット 」を採用しコストを抑える構築方法があります。本製品は、 マルチギガビット に対応し、コストを抑えた高速化ができる無線LANアクセスポイントです。

用途 役割名 考え方

アクセス網を構成する

無線LANアクセスポイント

フロアスイッチ
アクセススイッチ

バックボーンを構成する

コアスイッチ
サーバースイッチ
ディストリビューションスイッチ

  • 10ギガビットの採用(機器とLANケーブルの刷新)

  • ボトルネック(アクセス集中)の解消(転送能力の向上)

  • 耐障害性の向上

1.1.3. Wi-Fi 6(第6世代のWi-Fi規格)

本製品は、Wi-Fi 6に対応した無線LANアクセスポイントです。

Wi-Fi 6のメリット
  • 最大通信速度(理論値)が上がる。

    呼称 Wi-Fi 4 Wi-Fi 5 Wi-Fi 6

    規格名

    IEEE802.11n

    IEEE802.11ac

    IEEE802.11ax

    2.4GHz帯

    400 Mbps

    574 Mbps

    5GHz帯

    400 Mbps

    867 Mbps

    1,201 Mbps

  • 同時接続できる端末数が増える。

    • 同時接続端末数が増えたときの順番待ちを解消するOFDMA(Orthogonal frequency-division multiple access:直交周波数分割多元接続)技術の採用

  • 端末のバッテリー消費が抑えられる。

    • 端末との通信タイミングを調整するTWT(Target Wake Time)技術の採用

  • WPA2脆弱性対策で、セキュリティーが強化される。

    • WPA3の採用

注意事項
  • Wi-Fi 6を利用するには、無線LANアクセスポイントと端末の双方でWi-Fi 6対応が必要です。

1.1.4. マルチギガビット

本製品は、 マルチギガビット に対応した無線LANアクセスポイントです。

1.1.5. オンプレミス管理

本製品は、 「オンプレミス管理」 に対応した無線LANアクセスポイントです。

5 cluster1
同一ネットワーク内は、クラスター管理機能で管理

1.1.6. クラウド管理

本製品は、 「クラウド管理」 に対応した無線LANアクセスポイントです。

  • クラウド管理では、異なる拠点(異なるL3ネットワーク)内の複数台のAPを集中管理できます。

  • クラウド管理には、クラウド型ネットワーク統合管理サービス「Yamaha Network Organizer」とクラスター管理機能を使用します。

  • ご利用イメージは、「 設定と管理の方法 」や「 クラウド管理の始め方 」をご覧ください。

5 cluster3
多拠点ネットワークは、YNOで管理

1.1.7. 見える化ツール

本製品は、 見える化ツール に対応した無線LANアクセスポイントです。

  • 収集した無線LAN情報から「何か起きているか」「何か問題があるのか」がわかります。

    • ヤマハが独自に策定したアルゴリズムを使って無線LANの分析を行い、その結果をわかりやすく表示します。

  • 無線LAN見える化ツールは、次の機能で迅速なトラブル発見や解決をサポートします。

    機能名 概要

    無線LAN情報表示機能

    無線LAN通信で、現在や過去に何が起きているのかを可視化

    端末情報表示機能

    無線端末の接続状態や通信状態を可視化

    周辺アクセスポイント情報表示機能

    周辺アクセスポイントの状態や設定内容を可視化

    レポート表示機能

    トラブル発生時に無線LANの情報の収集と保存

  • 詳しくは、「 設置する 」の「 無線LAN見える化ツール 」をご覧ください。

3 wlv radio state
無線LANの見える化ツール画面例

1.1.8. LANマップ

本製品は、LANマップの管理対象になれるL2MSエージェント機能を搭載した無線LANアクセスポイントです。

  • LANマップは、L2セグメント(ブロードキャストドメイン)内にあるヤマハネットワーク機器を統合管理する機能です。

    • LANマップは、L2MSマネージャー機能により、L2MSエージェントから情報を集めて、LANのつながりや状態を可視化します。

    • L2MSマネージャー機能は、ヤマハルーター、ヤマハスイッチ、パソコン用のソフトウェア「Yamaha LAN Monitor」に搭載されています。

  • 本製品は、LANマップから、IPアドレスを特定したり、Web GUIにアクセスしたり、接続端末の状態を把握したりできます。

  • 本ガイドでは、スタンダードL3スイッチ『SWX3220-16MT』のLANマップ画面を掲載しています。

    • IPアドレスを調査 」にて、LANマップの活用例(IPアドレスの特定方法、Web GUIへのアクセス方法)を紹介しています。

スタンダードL3スイッチ SWX3220-16MTの画面例

LANマップ

一覧マップ

8 lanmap1

8 lanmap5 tree view

<対象ネットワーク機器の接続状況を確認できる>
・対象ネットワーク機器の情報
(ファームウェア、IPアドレス、ポート状態など)
・直接接続されている端末情報
(端末情報、接続ポート、通信速度など)

<すべての端末の接続状況を確認できる>
・端末情報
(ネットワークへの接続点、通信速度など)
・ネットワーク機器の情報
(接続ポート識別情報、通信速度など)

1.2. 付属品

以下の付属品が同梱されているか、ご確認ください。

  • はじめにお読みください(保証書付):1部

  • マウントパネル:1枚

  • スタンド(ネジ1本含む):1本

注意
VESA規格スタンド、壁、天井への取り付けネジは付属していません。設置する環境に合わせて、市販のネジ、VESA規格スタンド付属のネジをご用意ください。
メモ
マウントパネルとスタンドは、WLX212と共通です。

1 accessories

1.3. 別売品

ネットワーク統合管理サービス、PoEスイッチ、PoEインジェクター、電源アダプター、シリアルコンソールケーブルなどの別売品(オプション品)をご用意しています。

関連ソフトウェア/サービス
  • ネットワーク統合管理サービス Yamaha Network Organizer(YNO)
    クラウド管理に利用するネットワーク統合管理サービスです。本製品のクラウド管理については、「 設定と管理の方法 」や「 クラウド管理の始め方 」をご覧ください。

関連ネットワーク製品
  • L3スイッチ『SWX3220-16MT』
    10ギガビット(10GBASE-T)/マルチギガビット(5GBASE-T/2.5GBASE-T)に対応したスタンダードL3スイッチです。

  • L2スイッチ『SWX2220-10NT』
    マルチギガビット(2.5GBASE-T)に対応したスマートL2スイッチです。

  • PoEスイッチ『SWX2221P-10NT』
    マルチギガビット(2.5GBASE-T)やPoE給電(IEEE802.3af/at)に対応したスマートL2 PoEスイッチです。本製品との接続方法は、「 接続する 」の「 PoEスイッチに接続する 」をご覧ください。

  • PoEインジェクター『YPS-PoE-AT』
    本製品のLANポートへPoEで電源を共有するPoEインジェクター(PoEで給電する機器)です。給電方式は、IEEE802.3af/atに対応しています。通信速度は、マルチギガビット(2.5GBASE-T)にも対応しています。PoE非対応スイッチに接続する必要がある時に利用します。本製品との接続方法は、「 接続する 」の「 PoEインジェクターに接続する 」をご覧ください。

関連オプション
  • 電源アダプター『YPS-12HT』
    本製品の電源コネクターに接続する電源アダプターです。本製品との接続方法は、「 接続する 」の「 電源アダプターに接続する 」をご覧ください。

  • RJ-45コンソールケーブル『YRC-RJ45C』
    本製品のCONSOLEポートと設定用パソコンなどを接続するコンソールケーブルです。本製品との接続方法は、「 CONSOLEポートの操作例 」をご覧ください

メモ
別売品の最新情報や詳細については、以下のウェブサイトをご覧ください。
https://network.yamaha.com/products/options

1.4. マニュアルのご案内

本製品の取り扱いシーンに適したマニュアルをお読みください。

  • はじめにお読みください(製品添付、および、 ウェブサイト
    本製品をお使いになるうえでの注意事項、各部の名称、ハードウェア仕様、サポート窓口が記載されています。ご使用前に必ずお読みください。

    注意
    本製品を設置するときは、「はじめにお読みください」の「安全上のご注意」を必ず守ってください。
  • ユーザーガイド(本ガイド)
    製品概要と、本製品や別売品の設置方法、接続方法、設定方法など、設定を開始するまでの手順が記載されています。

  • 技術資料( ウェブサイト
    無線LANの基本設定や運用管理など、本製品の詳しい仕様やWeb GUIの操作方法が記載されています。

  • コマンドリファレンス( ウェブサイト
    本製品のコマンドの使い方や設定するための書式、説明、使用例が記載されています。

  • Web GUIのヘルプ(本製品に組み込み)
    Web GUI設定時に参照できる各設定項目の詳細説明が記載されています。

メモ
上記のマニュアルの最新版は以下のウェブサイトに掲載しています。
http://www.rtpro.yamaha.co.jp/RT/manual.html

詳細な設定や技術資料

本製品の詳細な設定方法や管理方法、技術資料、製品情報については、以下のウェブサイトもご覧ください。

項目 内容

技術情報トップページ

技術情報、マニュアル、ファームウェア、FAQなどを公開

マニュアル配布ページ

PDFやHTMLのマニュアルを配布

Yamaha LAN Monitor

パソコン上でヤマハスイッチやヤマハ無線LANアクセスポイントの情報や接続機器を監視、制御するソフトウェア

LANマップ機能

ネットワークの管理と運用を実現する製品への組み込みソフトウェア

YNO 操作マニュアル

ネットワークの管理と運用を実現するクラウド型ネットワーク統合管理サービス

推奨Webブラウザー

Web GUIのWeb ブラウザー対応状況

製品情報トップページ

製品情報、設定例、サポート情報やお問い合わせフォームなど

設定例

高度な活用方法や、詳しい解説

1.5. 本ガイドの表記について

  • 本ガイドの記載内容の一部または全部を無断で転載することを禁じます。

  • 本ガイドは、発行時点での最新仕様で説明しています。最新版は、 ウェブサイト からダウンロードできます。

  • 本ガイドでは、それぞれの製品や用語について、以下のように略称で記載しています。

    略称 内容

    本製品

    ヤマハ 無線LANアクセスポイント WLX222

    AP
    無線AP

    無線LANアクセスポイント

    セグメント
    L2セグメント

    端末同士が直接通信できる範囲です。ブロードキャストドメインとも言われます。

    ネットワーク
    L3ネットワーク

    端末同士がIPアドレスで通信できる範囲です。異なるネットワークの端末と通信する場合には、ルーターやL3スイッチがデータを仲介します。

    LANケーブル

    100BASE-TX、1000BASE-T、2.5GBASE-T、5GBASE-T、10GBASE-T 対応イーサネットケーブル

    PoE

    Power over Ethernet

    YNO

    ヤマハのクラウド型ネットワーク統合管理サービス
    「Yamaha Network Organizer」

  • 本ガイドに記載されている会社名、製品名は各社の登録商標あるいは商標です。

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  • 本ガイドに記載されている記号とその内容は以下のとおりです。

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    注意
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    重要
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    メモ
    操作や運用に関連した情報です。参考にお読みください。