5. 設定と管理の方法

本章では、設定や管理に使う機能について説明します。 「オンプレミス管理」 「クラウド管理」 のはじめ方(設定方法)は、次章以降で説明します。

5.1. 設定機能について

5.1.1. クラスター管理機能とネットワーク統合管理サービス

本製品は、同じL2セグメント内の複数台の無線LANアクセスポイントを一括管理できる「クラスター管理機能」を内蔵しています。

クラスター管理機能
  • クラスター管理機能は、機器に組み込まれており、特別なライセンス費用なく、利用できます。

  • クラスター管理機能は、複数台のAPの中から1台の Leader-AP (リーダーAP)を選びます。残りのAPは Follower-AP (フォロワーAP)になります。

  • Leader-AP は、仮想コントローラーを立ち上げて管理下のAPを管理します。

5 cluster1
クラスター管理機能:管理対象は、同一のL2セグメント内
用語 説明

クラスター

同じL2ネットワークに接続されている無線LANアクセスポイント同士が、自動的に構成する管理グループです。

仮想コントローラー

クラスター上に、仮想的に立ち上がるコントローラーです。
クラスターに属する無線LANアクセスポイントに対して、設定の変更や管理・保守が一括でできます。
仮想コントローラーの操作は、Web GUIから行います。

メモ
詳しくは、仮想コントローラーのWeb GUI、または「 技術資料 」をご覧ください。
異なるL2セグメントの統合管理

異なるL2セグメントに設置された無線LANアクセスポイントは、クラスター管理機能でひとつのクラスターとしては管理できません。

5 cluster2
クラスター管理機能:異なるL2セグメント(L3ネットワーク)は、管理対象外
ネットワーク統合管理サービス(YNO)

異なるL2セグメントに設置された無線LANアクセスポイントは、ヤマハのクラウド型ネットワーク統合管理サービス「Yamaha Network Organizer」(YNO)を利用して、一括管理できます。

  • クラウド型ネットワーク統合管理サービス(YNO)は、管理対象となる機器の「YNOエージェント機能」とクラウド上の管理サーバー「YNOマネージャー」で構成しています。

  • 本製品のYNOエージェント機能が有効になると、インターネット経由でYNOマネージャーと接続・通信します。

    • YNOマネージャーと通信するためには、インターネット接続環境が必要です。

  • YNOマネージャーは、機器、クラスター、グループを管理します。

    • 機器管理では、シリアル番号とDevice IDの登録により、機器をアカウントやグループに紐づけます。

    • グループとは、同じポリシーで運用する複数のクラスター(拠点やL3ネットワーク)を一括管理する単位です。

    • クラスターとは、クラスター管理機能により、同一L2セグメント内のAPが自動構成する管理単位です。

5 cluster3
ネットワーク統合管理サービス(YNO):異なるネットワークを管理可能

5.1.2. 仮想コントローラー機能と統合GUI

本製品のクラスター管理機能には、AP機能と仮想コントローラー機能とがあります。それぞれ異なるMACアドレスとIPアドレスを持ち、それぞれのWeb GUIで操作できます。

AP機能と仮想コントローラー機能
  • クラスター管理機能では、APと仮想コントローラーのWeb GUIを使い分けて設定や管理を行います。

    • APのWeb GUIは、 動作状態の参照や機器固有の操作 ができます。

    • 仮想コントローラーのWeb GUIは、管理下のAPに 共通する設定や操作 ができます。

    メモ
    詳しくは、「 技術資料 」をご確認ください。
    5 wlx222 unified gui1
    Web GUI機能:APのWeb GUIと仮想コントローラーのWeb GUI
Leader-APとFollower-AP

複数台の本製品が属するクラスターでは、1台が Leader-AP (リーダーAP)となり、その他のAPが Follower-AP (フォロワーAP)として動作します。

  • クラスター管理機能は機器に組み込まれており、特別なライセンス費用なく利用できます。

  • クラスター管理機能では、複数台のAPの中から1台が Leader-AP になり、残りは Follower-AP になります。

    • Leader-APは、APのWeb GUIを起動します。その後、仮想コントローラーのWeb GUIを起動します。

      • 仮想コントローラーの起動には数分かかります。

      • 仮想コントローラー用IPアドレスが自動取得に設定されている場合は、新たに自動取得します。

      • 仮想コントローラー用IPアドレスが指定されている場合は、指定IPアドレスを利用します。

    • Follower-APは、APのWeb GUIを起動します。

    • Leader-APが故障などで消失した場合は、Follower-APの中の1台がLeader-APになります。

      • モデル混在環境では、WLX413などの管理台数が多いAPが優先してLeader-APになります。

      • 起動時間が最も長いAPが優先してLeader-APになります。

      • 仮想コントローラー用IPアドレスが自動取得に設定されている場合は、再取得して仮想コントローラーを起動します。

      • 仮想コントローラー用IPアドレスが指定されている場合は、指定IPアドレスを引き続き利用します。

5 wlx222 unified gui2
Web GUI機能:Leader-APとFollower-AP
統合GUI(Unified GUI)

仮想コントローラーのWeb GUIは、クラスター管理機能に対応したモデルを統合的に制御できます。このしくみを「統合GUI(Uified GUI)」と呼びます。

  • 仮想コントローラーのWeb GUI(統合GUI)に対応したモデルは、WLX222、WLX413、WLX212などがあります。

    • たとえば、WLX413やWLX212で構成されたクラスターにおいて、対応ファームウェアに更新するだけで、運用を継続しながら新しいモデルを追加できます。

  • 仮想コントローラーのWeb GUIは、統合GUIのしくみにより、未対応の設定項目が表示される場合があります。

    • たとえば、WLX212で動作する仮想コントローラーのWeb GUIには、WLX413の2つ目の5GHz帯の設定項目が表示されます。

5 wlx222 unified gui3
Web GUI機能:統合GUIというコンセプト
統合GUI(Unified GUI)に対応したWeb GUI設定画面
  • 仮想コントローラーの設定画面では、他のモデルのハードウェアに依存する設定が可能になっています。

    • たとえば、ハードウェアに依存する設定には、「WLX212」「WLX222」「WLX413」の識別情報を表示しています。

      5 unified gui basic wireless
      Web GUIでハードウェア依存設定の画面例(無線設定-基本無線設定の電波の指向性/アンテナの設定)

5.1.3. CONSOLEポートでコマンド設定

IPアドレスなどの基本設定は、CONSOLEポートからコマンドで設定できます。ネットワーク経由での設定が困難な場合などに、効率よく操作できます。無線設定や運用管理には、Web GUIを利用します。

8 connect console1

5.2. 説明に利用するネットワーク環境

本製品の設定機能の説明で想定するネットワーク構成の、 物理構成 論理構成 について説明します。
物理構成 は、機器の配置や配線を示します。
論理構成 は、機器のネットワーク接続を示します。

5.2.1. 説明用ネットワークの物理構成図

実際の小規模なネットワーク構成を想定したネットワーク機器の、物理的な配置や配線を以下に示します。

5 explain physical
説明用ネットワークの物理構成図
Table 1. 説明用ネットワーク機器の役割
ネットワーク機器 説明上の役割

WLX222

本製品。1台目や2台目の設定を説明します。

仮想コントローラー

本製品のクラスター管理機能により、仮想的に稼働するコントローラー機能です。

L2スイッチ

SWX2220-10NTやSWX2221P-10NTを選定しています。マルチギガビット対応、コアネットワークとのトラフィックを中継、PoE給電機能の利用を想定しています。

L3スイッチ

SWX3220-16MTを選定しています。コアネットワークの構成、LAN内のルーティング、10G対応、DHCPサーバー、LANマップの利用を想定しています。

ゲートウェイ

ヤマハルーターを選定しています。ネットワーク統合管理サービスYNOを利用するためのインターネット接続を想定しています。

5.2.2. 説明用ネットワークの論理構成図

物理構成図を元にして、TCP/IPネットワークでの設定値や経路(論理的な繋がり)を以下に示します。なお、電源や配線に関するL2スイッチなどの情報は省いています。

5 explain logical
説明用ネットワークの論理構成図
Table 2. 説明用ネットワークのIPアドレス割り当て計画
IPアドレス IPアドレスの割り当て方 機器概要 操作説明

192.168.1.1

固定割り当て

L3スイッチ

ゲートウェイ機器、DHCPサーバー、LANマップの機能を有効にする

192.168.1.2

DHCP自動割り当て

設定用パソコン

自動割り当てに設定する

192.168.1.3

DHCP自動割り当て

WLX222 (1)

1台目を初期設定する (リーダーAPになる)

192.168.1.4

DHCP自動割り当て

WLX222 (2)

2台目を追加する (フォロワーAPになる)

192.168.1.5

DHCP自動割り当て

WLX222 (3)

3台目を追加する (フォロワーAPになる)

192.168.1.6

192.168.1.192

DHCP自動割り当て

未使用

192.168.1.200

固定割り当て

仮想コントローラー

DHCP自動割り当て(192.168.1.4)から固定割り当て(192.168.1.200)に変更する

5.3. クラウド管理とオンプレミス管理の選択

本製品では、「 オンプレミス管理 」と「 クラウド管理 」が利用できます。導入先ネットワーク環境に合わせて選択してください。

Table 3. 管理方法の想定用途
管理方法 想定用途 注意事項

クラウド管理

  • リモートから無線LANを管理する

  • 異なる複数拠点の無線LANを管理する

  • 無線LAN管理をアウトソースする

YNOを利用するため「ライセンスキー」と「規約の同意」が必要です。

オンプレミス管理

  • 現地(オンサイト)で無線LANを管理する

  • 同一拠点にある複数台のAPを管理する

異なる拠点(異なるL3ネットワーク)の統合管理はできません。

重要

  • YNOを利用するには、「ライセンスキー」と「規約の同意」が必要です。

  • 無償で体験いただける試用ライセンスも提供しています。詳しくは以下をご確認ください。
    https://network.yamaha.com/lp/yno_trial

選択のタイミング

工場出荷時の状態で初めて仮想コントローラーのWeb GUIにログインしたとき、管理方法(管理形態)を選択します。または、仮想コントローラーの「管理モード」でも選択できます。

Table 4. 管理方法の選択肢
管理方法 「管理形態の選択」ダイアログ 「管理モード」のYNOエージェント機能

クラウドを使用した管理

使用する

オンプレミスで管理

使用しない

「管理形態の選択」ダイアログ

「管理形態の選択」ダイアログは、工場出荷時の状態で、初めて仮想コントローラーにログインしたときに表示されます。

5 vwlc select mgmt
「管理形態の選択」ダイアログの表示例
仮想コントローラーの「管理モード」

管理形態(YNOエージェント機能の使用)は、仮想コントローラーの[設定]タブー[基本設定]-[管理モード]から変更できます。

5 vwlc select yno mgmt
「管理モード」の表示例