10. 本製品を管理する

本章では、日常の管理作業の内容と、具体的な設定や診断方法について説明します。

お知らせ
本章で説明の例として使用しているIPアドレスは、説明のためのものです。実際に設定するときは、ご利用の環境に合わせて読み替えてください。

10.1. システムの管理作業内容

以下のような状況のとき、管理者は適切な作業を行ってください。

  • 新規に相手先情報を追加するとき

  • 不要な相手先情報を削除するとき

  • 相手先情報に変更があったとき

  • インターネットサービスプロバイダーとの接続方法が変更されたとき

  • LAN側のネットワークの構成が変更されたとき

  • システムおよびネットワークのセキュリティーを管理するとき

  • 本製品のファームウェアをリビジョンアップするとき

  • 故障やネットワーク障害が発生したとき

以下の項目に関して、定期的に管理を行ってください。

  • ユーザーパスワードや管理パスワードの変更

  • 各種通信で使用する認証用パスワードの変更

  • 通信ログのチェック

  • アカウントのチェックとクリア

10.2. 設定ファイルの管理

本製品は5個の設定ファイル(config0~config4)を内蔵の不揮発性メモリーに記録できます。
また、これらの設定ファイルにはそれぞれ2個の退避ファイル(バックアップファイル)を持つことができます。退避ファイルの名称は、「configX.1」、「configX.2」となります。

退避ファイルは、 save コマンドを実行するごとに自動生成されます。
たとえば、「config1」で動作中に save コマンドを実行した場合は、不揮発性メモリーの記録は以下のように変化します。

  • 不揮発性メモリーの「config1」の内容が退避ファイル「config1.1」となり、現在の設定内容が「config1」になります。

  • すでに「config1.1」が存在している場合は、その退避ファイルは「config1.2」になります。

  • すでに「config1.2」が存在している場合は、その内容は破棄されます。

お知らせ
外部メモリーの設定ファイルで動作している場合は、 save コマンドを実行すると、設定内容が外部メモリーに保存されます。このとき、退避ファイルは生成されません。

save コマンドを実行する前に、現在動作中の設定ファイルの系列を十分把握しておいてください。

  • show environment コマンドを実行すると、現在動作している設定ファイルの番号を確認できます。

    > show environment
     :
    実行中ファームウェア: exec0  実行中設定ファイル: config0
    デフォルトファームウェア: exec0  デフォルト設定ファイル: config1.1
     :
  • show config list コマンドを実行すると、設定ファイルと退避ファイルの一覧を確認できます。

    > show config list
    No.   Date       Time     Size    Sects   Comment
    ----- ---------- -------- ------- ------- ---------------------------
    * 0   2022/06/17 18:42:36     422 703/703 ospf testing
      0.1 2022/06/17 08:18:06     328 704/704 test
      0.2 2022/06/15 17:17:39     294 705/705
      1   2022/06/16 11:59:18     292 702/702 BGP+VRRP fix
    ----- ---------- -------- ------- ------- ---------------------------
    >

別の設定ファイルに切り替えて動作させるには、 restart コマンドを実行して起動プロセスに戻り、設定ファイルの選択操作で設定ファイル番号または退避ファイル番号を指定します。 restart コマンドを入力したときに、動作メモリーの内容が不揮発性メモリーに保存されていない場合には、動作メモリーの内容を保存するかどうかを確認するメッセージが表示されます。
このときに保存操作を行った場合も、 save コマンドを実行した場合と同様に退避ファイルが生成され、既存のファイルが上書きされます。

ご注意
退避ファイルを指定して起動した場合、起動後に save コマンドを実行すると、動作メモリーの内容(起動時の退避ファイルの指定)が設定ファイルに上書きされます。
デフォルト設定ファイルの設定

デフォルト設定ファイルは、起動プロセスにおいて、設定ファイルを指定しない場合に自動選択される設定ファイルです。
TELNETでのアクセスやリモートセットアップでは、起動プロセスでの実行ファイルと設定ファイルの選択ができず、自動的にデフォルト設定ファイルが選択されます。
デフォルト設定ファイルを設定するには、 set-default-config コマンドを使用します。
set-default-config コマンドの実行結果は設定ファイルに保存されないため、 save コマンドを使用した変更内容の保存は不要です。
たとえば、デフォルト設定ファイルを「config1.1」に設定する場合は、以下のように設定します。

# set-default-config 1.1
設定ファイルまたは退避ファイルをコピーする

設定ファイルや退避ファイルを、別の番号系列の設定ファイルに保存する場合には、 copy config コマンドを使用します。
コピー元は設定ファイルと退避ファイルの両方が指定できますが、コピー先は設定ファイルのみ指定可能です。
以下は、退避ファイル「config1.2」を、「config3」にコピーする場合の例です。

# copy config 1.2 3
設定ファイルまたは退避ファイルを削除する

設定ファイルや退避ファイルを削除する場合には、 delete config コマンドを使用します。
設定ファイルを削除した場合は、同じ番号系列の退避ファイルすべてが同時に削除されます。
また、退避ファイル1を削除した場合は、退避ファイル2が同時に削除されます。

10.3. ファームウェアのリビジョンアップ

ヤマハネットワーク周辺機器技術情報ページから入手したファームウェアを本製品へ転送するときの、概要と手順を説明します。

お知らせ
ファームウェアリビジョンを古いものから新しいものに更新できるだけでなく、逆に新しいものから古いものに戻すこともできます。

ファームウェアを更新するには、以下の5つの方法があります。

お知らせ

ファームウェア更新前の準備

ファームウェアを更新する前に、入手したファームウェアが正しくダウンロードされたかどうかを確認する必要があります。
ファームウェアが正しくダウンロードされたかどうか確認するには、「MD5SUMユーティリティー」を使用して、MD5チェックサムを確認します。

お知らせ

  • MD5SUMユーティリティーは以下のヤマハネットワーク周辺機器技術情報ページから入手できます。
    http://www.rtpro.yamaha.co.jp/RT/utility/md5sum/

  • MD5チェックサムのファイル「rtx1300.md5」は、ファームウェアと同時にダウンロードしておきます。

MD5チェックサムを確認するには、Windowsのコマンドプロンプトで以下のように入力します。

C:¥>md5sum -v -c rtx1300.md5
rtx1300.bin OK

「OK」が表示されない場合は、ファイルが壊れている可能性があります。転送モードに注意して、もう一度ファームウェアをダウンロードし直してください。

10.3.1. DOWNLOADボタンを用いたリビジョンアップ

本製品がネットワークに接続されている場合、DOWNLOADボタンを押すことで、Webサーバーにあるファームウェアへ自動的にリビジョンアップすることができます。(httpリビジョンアップ)

この機能を有効にするには、 operation http revision-up permit コマンドを使用します。
ファームウェアをダウンロードするWebサーバーを指定するには、 http revision-up url コマンドを使用します。工場出荷時は、ヤマハのWebサーバーからファームウェアをダウンロードするように設定されています。

DOWNLOADボタンを3秒以上押すと、新しいリビジョンのファームウェアの有無をチェックします。
新しいリビジョンのファームウェアがあった場合は、自動的にファームウェアをダウンロードし、リビジョンアップを実行します。

リビジョンアップが成功すると、本製品は再起動します。

ご注意
本製品が再起動するまでの間は、絶対に本製品の電源を切らないでください。
お知らせ
http revision-down permit コマンドで、古いリビジョンのファームウェアへの書き換えを許可することもできます。

10.3.2. TFTPを用いたリビジョンアップ

TFTPを用いてリビジョンアップする場合は、本製品はTFTPサーバーとして動作し、パソコンはTFTPクライアントとして動作します。
Windowsの場合はコマンドプロンプトから、macOSの場合は「ターミナル」アプリケーションから、 tftp コマンドを実行できます。

TFTPの実行形式はそれぞれのOSに依存します。以下の点に注意して実行してください。

  • 転送モードはバイナリにします。(binaryやbinと表現される)

  • 本製品側のファイル名は「exec」です。

  • 送信元のファイル名は「rtx1300.bin」です。

140601all009a

お知らせ

  • Windowsの場合、初期状態でTFTPが使用できないようになっています。TFTPを使用するには、Windowsの[コントロールパネル]から[Windowsの機能の有効化または無効化]画面を表示し、TFTPクライアントを有効化します。

  • ファームウェアをリビジョンアップしても、本製品の設定内容は変更されません。

ここでは、WindowsパソコンからTFTPを使用して本製品のファームウェアをリビジョンアップする方法を説明します。Windowsパソコン以外を使用する場合は、Windowsパソコン側の操作を適宜お使いの環境に置き換えてください。

  1. 本製品(TFTPサーバー)に、ファームウェアを転送するパソコン(TFTPクライアント)のIPアドレスを設定します。

    • 本製品のコンソールで、以下のように入力します。
      ここでは、パソコンのIPアドレスを「192.168.100.10」として設定します。

      # tftp host 192.168.100.10
  2. プログラムの変更中の不安定な状態を避けるために、PP側の通信を切断します。

    • 本製品のコンソールで、以下のように入力します。

      # pp disable all
      重要
      この例では save コマンドを実行していないため、本製品を再起動した後は、PP側の通信を切断した状態( pp disable all コマンドを実行した状態)にはなりません。
  3. パソコンから本製品にファームウェアを転送します。

    • Windowsのコマンドプロンプトを起動して、以下のように入力します。

      C:¥>tftp -i 192.168.100.1 PUT rtx1300.bin exec
      Transfer successful: xxxx bytes in x second, xxxx bytes/s
      
      C:¥
      お知らせ
      本製品では tftp コマンドの引数として、execの代わりに、exec0またはexec1を指定できます。
      また、 tftp コマンドのオプションとして、no-reboot(本製品を再起動しない)または reboot(本製品を再起動する)を指定できます。

    本製品に転送したファームウェアを不揮発性メモリーに書き込んでいる間、STATUS、LAN、microSD、 USB、DOWNLOADのインジケーターが順に点灯します。
    不揮発性メモリーへのファームウェアの書き込みが完了すると、自動的に本製品が再起動します。

    ご注意
    本製品が再起動するまでの間は、絶対に本製品の電源を切らないでください。
    不揮発性メモリーに書き込む時間が長いため、TFTPクライアントがタイムアウトする場合がありますが、正常にリビジョンアップできます。
    お知らせ
    外部メモリー内のファームウェアで動作している場合は、外部メモリー内のファームウェアが更新されます。
  4. 本製品のコンソールで show environment コマンドを実行して、ファームウェアが正しくリビジョンアップされたことを確認します。

10.3.3. 外部メモリーを用いたリビジョンアップ

外部メモリーに保存したファームウェアを本製品に読み込ませて、リビジョンアップができます。
複数台の本製品のファームウェアをリビジョンアップしたい場合などに便利です。
この方法では、同時に設定ファイルを読み込ませることもできます。

外部メモリーを用いてリビジョンアップをするには、以下の手順を行います。

  1. ヤマハネットワーク周辺機器技術情報ページから入手したファームウェアを、外部メモリーに保存します。ファイル名は「rtx1300.bin」とします。
    同時に設定ファイルを読み込ませたい場合は、コマンドを入力したテキストファイルも外部メモリーに保存します。ファイル名は「config.txt」とします。

    お知らせ

    • 各ファイルの保存場所は、ルートディレクトリの直下をおすすめします。
      (本製品を起動するとき、該当する名前のファイルが外部メモリー内に複数存在する場合は、最もルートディレクトリに近いファイルが選ばれます)

    • それぞれのファイル名は、 external-memory exec filename コマンド、 external-memory config filename コマンドで変更できます。

  2. 外部メモリーを、動作中の本製品に接続します。

    • 外部メモリーを認識すると、ブザーが鳴り、本製品のmicroSDインジケーターまたはUSBインジケーターが点灯します。

  3. microSDボタンまたはUSBボタンを押しながらDOWNLOADボタンを3秒以上押し続けます。

    • ブザーが鳴り、microSDインジケーターまたはUSBインジケーターが点滅して、ファームウェアを本製品に読み込みます。続いて、STATUS、LAN、microSD、USB、DOWNLOADのインジケーターが順に点灯して、ファームウェアを本製品の不揮発性メモリーにコピーします。
      不揮発性メモリーへのファームウェアの書き込みが完了すると、本製品が自動的に再起動します。

    ご注意
    本製品が再起動するまでの間は、絶対に本製品の電源を切らないでください。
    お知らせ
    再起動すると、本製品は外部メモリー内のファームウェアと設定ファイルで動作します。
    この必要がない場合は、本製品が再起動してPOWERインジケーターが点滅している間に外部メモリーを取り外します。
  4. 本製品のコンソールで show environment コマンドを実行して、ファームウェアが正しくリビジョンアップされたことを確認します。

お知らせ
外部メモリーを用いたリビジョンアップを禁止するには、 operation external-memory download permit off コマンドを使用します。

10.4. コンソールのセキュリティー設定

システムに対するセキュリティーとして、以下の2つを紹介します。

10.4.1. ログインタイマーの設定

コンソールへのキー入力が一定時間ない場合には、自動的に本製品からログアウトします。
工場出荷時の状態の場合、ログアウトまでの時間(ログインタイマー)は300秒です。

ログインタイマーの値を変更するには、以下の2つの方法があります。

  • login timer コマンドを追加する:
    user attribute コマンドが設定されていないユーザーすべてに対して、一括でログインタイマーを設定できます。

  • user attribute コマンドで、login-timerオプションを追加する:
    ユーザーごとにログインタイマーを設定できます。

以降、本製品に以下のコマンドが設定されている場合を例に説明します。

# show config
 :
login user admin *
login user user1 *
login user user2 *
user attribute admin administrator=2
 :
#
  • login timer コマンドを追加すると、ユーザー「user1」と「user2」のログインタイマーを一括で変更できます。

    • ログインタイマーを120秒に設定する場合は、以下のように入力します。

      # login timer 120
      # save
      お知らせ
      初期管理ユーザー「admin」のログインタイマーは変更されません(工場出荷時点で、 user attribute コマンドが設定されているため)。
  • ユーザーごとにログインタイマーを設定する場合は、現在設定中の user attribute コマンドにlogin-timerオプションを追加したコマンドを入力します。

    • 初期管理ユーザー「admin」のログインタイマーを120秒に設定する場合は、以下のように入力します。

      # user attribute admin administrator=2 login-timer=120
      # save
    • ユーザー「user1」(現在 user attribute コマンドの設定なし)のログインタイマーを120秒に設定する場合は、以下のように入力します。

      # user attribute user1 administrator=1 login-timer=120
      # save

いずれの場合も、パラメーターとして「120」の代わりに「clear」を指定すると、自動ログアウトが無効になります。この場合、 quit コマンドを実行するまで本製品にログインした状態のままになります。

お知らせ
TELNETまたはSSHで本製品にログインしている場合は、セキュリティーの観点から、パラメーターに「clear」を指定していても、ログインタイマーが300秒として扱われます。

10.4.2. セキュリティークラスの設定

セキュリティークラスを設定すると、本製品のコンソールへのログイン方法の選択、TELNETクライアント機能の使用可否、SSHクライアント機能の使用可否を変更できます。

  • コンソールへのログイン方法の選択
    本製品のコンソールへのログイン方法として、以下の3つがあります。

    • CONSOLEポートからログイン

    • TELNETまたはSSHによるLAN経由でのログイン

    • 遠隔地のルーターからログイン(リモートセットアップ)

    セキュリティークラスには、レベル1からレベル3まであります。
    レベルに応じて、本製品へのログイン方法を以下のように制限できます。

    レベル CONSOLEポートから
    ログイン
    TELNETまたはSSHによる
    ログイン
    遠隔地のルーターから
    ログイン

    1

    許可

    許可

    許可

    2

    許可

    許可

    拒否

    3

    許可

    拒否

    拒否

    工場出荷時のセキュリティークラスは「1」です。

  • TELNETクライアント機能の使用可否
    TELNETクライアント機能を有効にするか無効にするかを変更できます。

    TELNETパラメーター TELNETクライアント機能の使用

    on

    許可

    off

    拒否

    工場出荷時の値は「off」です。

  • SSHクライアント機能の使用可否
    SSHクライアント機能を有効にするか無効にするかを変更できます。

    SSHパラメーター SSHクライアント機能の使用

    on

    許可

    off

    拒否

    工場出荷時の値は「off」です。

セキュリティークラスを設定するには、 security class コマンドを使用します。
たとえば、セキュリティークラスのレベルを「2」、TELNETクライアントを使用可能に設定する場合は、以下のように入力します。

# security class 2 off on
# save

セキュリティークラスの設定は、 show environment コマンドで確認できます。

> show environment
 :
セキュリティクラス レベル:  2, FORGET:  OFF, TELNET: ON
 :

10.5. SNMPによる管理のための設定

本製品ではRFC1157(SNMP)とRFC1213(MIB-II)をサポートしています。
SNMP(Simple Network Management Protocol)の設定を行うと、SNMPマネージャーを使用してネットワーク管理情報の監視や変更ができます。
SNMPの設定は以下の表のとおりです。

コマンド名称 説明

snmp community read-only

SNMPによるアクセスモードが読み出し専用であるコミュニティー名を設定します。

snmp community read-write

SNMPによるアクセスモードが読み書き可能であるコミュニティー名を設定します。

snmp host

SNMPによるアクセスを許可するホストを設定します。

snmp syscontact

MIB変数「sysContact」を設定します。

snmp syslocation

MIB変数「sysLocation」を設定します。

snmp sysname

MIB変数「sysName」を設定します。

snmp trap community

送信トラップのコミュニティー名を設定します。

snmp trap host

トラップの受信ホストを設定します。

ご注意
コミュニティー名を変更する場合は、ユーザーパスワードや管理パスワードとは異なる文字列を設定してください。なお、工場出荷時の状態では、コミュニティー名は「public」に設定されています。

お知らせ

  • SNMPにより情報を交換するグループを、コミュニティーと呼びます。コミュニティー間のアクセスには、読み出し専用(read-only)と読み書き可能(read-write)の2つのアクセスモードがあります。

  • 本製品の状態を通知するSNMPメッセージを、トラップと呼びます。

工場出荷時は、SNMPによる本製品へのアクセスは許可されていません。 snmp host コマンドでアクセスを許可するホストを設定できます。
たとえば、すべてのホストからアクセスを許可し、またトラップを受信するホストのIPアドレスを「192.168.112.25」とするには、以下のように設定します。

# snmp host any
# snmp trap host 192.168.112.25
# save

10.6. 状態の表示

show コマンドを使用すると、本製品の状態を確認できます。
運用中に本製品の状態を確認する必要が生じた場合や問題を解決する場合に使用します。

表示項目 コマンド名称 説明

リソースの使用状況の表示

show environment

本製品のリソースの使用状況を表示します。

ARPテーブルの表示

show arp

本製品の保持するARPテーブルを表示します。

SYSLOGの表示

show log

動作状況や通信に関するログを表示します。

IP経路情報テーブル

show ip route

IP経路情報テーブルを表示します。

LAN側状態の表示

show status lanN

LAN側のMACアドレス、MTU、通信の統計情報を表示します。

USB 接続型データ通信端末の状態の表示

show status wan1

USB接続型データ通信端末による通信の情報
(IPアドレス、MTU)を表示します。

各相手先の状態表示

show status pp N

指定した相手に対して、接続中、または最後の接続時の状態を表示します。

10.7. 外部メモリーを利用する

本製品に外部メモリーを接続すると、以下の機能が利用できます。

お知らせ
本製品で使用する外部メモリーは、FATまたはFAT32形式でフォーマットしてください。

10.7.1. 外部メモリーから本製品にファームウェアをコピーする

外部メモリーに保存されたファームウェアを本製品の不揮発性メモリーにコピーします。
本製品の不揮発性メモリーに複数のファームウェアを保存すると、任意のファームウェアを使用して本製品を起動できます。一時的に新しいファームウェアを試したい場合などに便利です。

  1. 外部メモリーを、本製品のmicroSDスロットまたはUSBポートに接続します。

  2. copy exec コマンドを使用して、外部メモリーに保存されたファームウェアを本製品の不揮発性メモリーにコピーします。

    • 外部メモリーに保存されたファームウェア「rt_firmware.bin」を本製品の不揮発性メモリーにコピーするには、本製品のコンソールで、以下のように入力します。

      microSDHCカードの場合:

      # copy exec sd1:rt_firmware.bin 0

      USBメモリーの場合:

      # copy exec usb1:rt_firmware.bin 0
  3. [Enter]キーを押します。

    • 外部メモリーに保存されたファームウェアが、本製品の不揮発性メモリーにコピーされます。

  4. 本製品の前面にあるmicroSDボタンまたはUSBボタンを、2秒以上押し続けます。
    該当する外部メモリーのインジケーターが消灯してから、外部メモリーを取り外してください。

お知らせ

  • コピーしたファームウェアを使用するには、電源スイッチまたは restart コマンドで本製品を再起動します。
    なお、本製品の不揮発性メモリーに複数のファームウェアを保存している場合の起動手順については、「 6.1.2. 使用するファームウェアと設定ファイルを選択して起動する 」をご覧ください。

  • 手順2~3の代わりに、microSDボタンまたはUSBボタンとDOWNLOADボタンを同時に3秒間押し続けることでもコピーできます。コピーが完了すると、本製品は自動的に再起動します。

10.7.2. 本製品と外部メモリーとの間で、設定ファイルをコピーする

本製品の不揮発性メモリーと外部メモリーとの間で、設定ファイルをコピーします。
本製品の不揮発性メモリーに複数の設定ファイルを保存すると、任意の設定ファイルを使用して本製品を起動できます。本製品の設定に問題が発生したときに、問題が発生する前の設定ファイルで起動したい場合などに便利です。

  1. 外部メモリーを、本製品のmicroSDスロットまたはUSBポートに接続します。

  2. copy config コマンドを使用して、外部メモリーと本製品の不揮発性メモリーとの間で、設定ファイルをコピーします。

    • 外部メモリーに保存された設定ファイル「rt_config1.txt」を、本製品の不揮発性メモリーに設定ファイル「0」としてコピーする場合は、コンソールで以下のように入力します。

      microSDHCカードの場合:

      # copy config sd1:rt_config1.txt 0

      USBメモリーの場合:

      # copy config usb1:rt_config1.txt 0
    • 本製品の不揮発性メモリーに保存された設定ファイル「0」を、外部メモリーに設定ファイル「rt_config1.txt」としてコピーする場合は、コンソールで以下のように入力します。

      microSDHCカードの場合:

      # copy config 0 sd1:rt_config1.txt

      USBメモリーの場合:

      # copy config 0 usb1:rt_config1.txt
  3. [Enter]キーを押します。

    • 設定ファイルが、本製品の不揮発性メモリーまたは外部メモリーにコピーされます。

  4. 本製品の前面にあるmicroSDボタンまたはUSBボタンを、2秒以上押し続けます。
    該当する外部メモリーのインジケーターが消灯してから、外部メモリーを取り外してください。

お知らせ

  • コピーした設定ファイルを使用するには、電源スイッチまたは restart コマンドで本製品を再起動します。
    なお、本製品の不揮発性メモリーに複数の設定ファイルを保存している場合の起動手順については、「 6.1.2. 使用するファームウェアと設定ファイルを選択して起動する 」をご覧ください。

  • 手順2~3の代わりに、microSDボタンまたはUSBボタンとDOWNLOADボタンを同時に3秒間押し続けることでもコピーできます。コピーが完了すると、本製品は自動的に再起動します。

10.7.3. 本製品のSYSLOGを外部メモリーに保存する

本製品のSYSLOGを外部メモリーに保存します。
本製品に問題が発生した場合に、外部メモリーに保存したSYSLOGをパソコンで読み込むと、問題の解決に役立ちます。

  1. 外部メモリーを、本製品のmicroSDスロットまたはUSBポートに接続します。

  2. external-memory syslog filename コマンドを使用して、外部メモリーに保存するSYSLOGのファイル名を設定します。

    • SYSLOGのファイル名を「rt_syslog.log」とする場合は、コンソールで以下のように入力します。

      microSDHCカードの場合:

      # external-memory syslog filename sd1:rt_syslog.log

      USBメモリーの場合:

      # external-memory syslog filename usb1:rt_syslog.log
    • 本製品のSYSLOGが、外部メモリーに「rt_syslog.log」として保存されます。

    • 以降、SYSLOGの保存を停止するまで、本製品のSYSLOGが外部メモリーに保存され続けます。

お知らせ

  • 工場出荷時の状態では、INFOレベルのSYSLOGが書き込まれます。より詳細な情報を確認するには、DEBUGレベルのSYSLOGが書き込まれるように設定します。詳しくは、「 10.8.4. SYSLOGを確認する 」をご覧ください。

  • 外部メモリーに保存されたSYSLOGファイルのサイズが上限に達すると、SYSLOGファイルがローテート(バックアップ)されます。詳しくは、「コマンドリファレンス」(ウェブサイト)をご覧ください。

10.8. 覚えておきたい操作

本節では、本製品の管理を簡単にする操作や、問題が発生した場合に便利な操作について説明します。

10.8.1. 相手先情報を変更せずに通信を中断する

本製品は相手先情報により、回線の自動接続と自動切断を行います。
メンテナンスが必要な場合などに、設定内容を変更することなく特定の相手先との接続を無効にできます。
接続を無効にするには、以下の方法があります。

指定した宛先への発信と着信を制限する

pp disable コマンドを使用すると、指定した相手先への発信と着信を禁止できます。
たとえば、相手先情報番号の2番に対して pp disable コマンドを適用するには、以下のように設定します。

# pp disable 2

10.8.2. 携帯電話回線の接続と切断に関するタイマーを設定する

携帯電話回線の接続と切断に関して、それぞれの相手先情報に対する各種タイマーを設定できます。

タイマー種別 コマンド名称 説明

切断タイマー

mobile disconnect time

PP側からデータの送受信がないとき、このタイマーの時間を経過すると、回線を切断します。
工場出荷時の値は「60秒」です。

入力切断タイマー

mobile disconnect input time

PP側からデータの受信がないとき、このタイマーの時間が経過すると、回線を切断します。
工場出荷時の値は「120秒」です。

出力切断タイマー

mobile disconnect output time

PP側へデータの送信がないとき、このタイマーの時間が経過すると、回線を切断します。
工場出荷時の値は「120秒」です。

強制切断タイマー

mobile access limit time

相手に接続する最大時間を制限します。このタイマーの時間が経過すると、通信状態にかかわらず、接続中の回線を強制的に切断します。

パケット通信量制限による切断

mobile access limit length

送受信するパケットの累積送受信データ長が上限値に達すると、通信状態にかかわらず、接続中の回線を強制的に切断します。
工場出荷時の値は「50 Mバイト」です。

詳しくは、「コマンドリファレンス」(ウェブサイト)をご覧ください。

10.8.3. 通信費用を監視する

show account コマンドを使用すると、通信費用を監視できます。
一定期間の通信費用を監視したい場合には、監視を開始するときに clear account コマンドを使用して、累計額をクリアしておきます。

10.8.4. SYSLOGを確認する

SYSLOG機能を使用すると、フィルタリングされたパケットの情報や、各種機能の動作状況などを確認できます。
SYSLOGに出力されるログには、以下の3つのタイプがあります。タイプごとに出力の有無を設定できます。

タイプ 得られる情報 コマンド名称 工場出荷時の値

NOTICE

フィルタリングされたパケット情報など

syslog notice

off

INFO

各種機能の動作状況など

syslog info

on

DEBUG

デバッグ用の情報

syslog debug

off

現在出力されているSYSLOGを確認する

たとえば、DEBUGタイプのSYSLOGを一時的に確認したい場合は、以下の手順で操作します。

  1. clear log コマンドで、過去のSYSLOGをクリアします。

    # clear log
  2. syslog debug コマンドで、DEBUGタイプのSYSLOGを出力するように設定します。

    # syslog debug on
  3. 新たに出力されたSYSLOGを、 show log コマンドで確認します。

    # show log
  4. no syslog debug コマンドで、DEBUGタイプのSYSLOGを出力しないように設定を戻します。

    # no syslog debug
SYSLOGを転送する

SYSLOGの機能を持ったSYSLOGホストに、本製品のSYSLOGを転送できます。
長期間にわたり大量の通信ログを記録したい場合などに便利です。

SYSLOGの転送先を指定するには、 syslog host コマンドを使用します。
たとえば、SYSLOGホストのIPアドレスが「192.168.112.25」の場合は、以下のように設定します。

# syslog host 192.168.112.25
# save

10.9. ALARMインジケーターが点灯した場合

本製品の稼働中に、本製品の前面にあるALARMインジケーターが赤点灯している場合は、以下の理由が考えられます。
本製品の状態を確認し、該当する項目のリンク先をご覧ください。

本製品の状態 ALARMインジケーターが点灯した理由

ブザーが鳴っている

すべてのLANポートとSFP+スロットにおいて、LINK/DATAインジケーターとSPEEDインジケーターが緑点滅している

本製品内部温度の上昇により、ハードウェア保護機能が作動した
(→ 10.9.1. ハードウェア保護機能

緑点滅していないLINK/DATAインジケーターまたはSPEEDインジケーターがある

ファンの異常停止を検出した
(→ 10.9.2. ファンの異常停止

ブザーが鳴っていない

温度センサーの異常を検出した
(→ 10.9.3. 温度センサーの異常

10.9.1. ハードウェア保護機能

ハードウェア保護機能とは、本製品の内部温度がきわめて高温に達した場合に、内部の冷却を促す機能です。
これにより、本製品の故障や、発火などの危険を防ぎます。

ハードウェア保護機能が作動すると、本製品の動作は以下のように変化します。

  • ファンの回転数を最大にする

  • LANポートおよびSFP+スロットをすべてシャットダウンし、 通信を遮断する

  • 以下の方法で、ハードウェア保護機能が作動したことを通知する

    • すべてのLANポートとSFP+スロットにおいて、LINK/DATAインジケーターとSPEEDインジケーターが緑点滅する

    • ALARMインジケーターが赤点灯する

    • ブザーが一定間隔で鳴る

ご注意
ハードウェア保護機能の作動後に本体内部の温度が下がっても、上記の動作は継続します。
本製品の再起動、またはPOWERスイッチをSTANDBYにすると、機能作動時の動作が解除されます。
ハードウェア保護機能が作動したときの対処方法

本製品を再起動、または本製品のPOWERスイッチをSTANDBYにしてください。
また、本製品の内部温度が適正になるように、本製品の設置環境を見直してください。それでもハードウェア保護機能が作動する場合は、すぐに使用を中止し、必ずお買い上げの販売店に修理や点検をご依頼ください。

10.9.2. ファンの異常停止

ファンの異常停止を検出すると、本製品は以下の方法で、ファン異常が発生したことを通知します。

  • ALARMインジケーターが赤点灯する

  • ブザーが一定間隔で鳴る

  • Web GUIのダッシュボードのLive画面で、ファン異常を通知する警告を表示する

お知らせ

  • ファンの回転が復旧すると、上記の通知はすべて解除されます。

  • ファンの状態は、 show environment コマンドでも確認できます。

    > show environment
     :
    ファン1: OK (low speed) ファン2: OK (low speed)
ファンが異常停止したときの対処方法

異物などにより回転が止められていないか、確認してください。
異物などの原因が見当たらない場合は、ファン自体が故障している可能性があります。すぐに使用を中止し、必ずお買い上げの販売店に修理や点検をご依頼ください。

10.9.3. 温度センサーの異常

温度センサーの異常を検出すると、本製品の動作は以下のように変化します。

  • ファンの回転数を最大にする

  • ALARMインジケーターが赤点灯する

温度センサーの異常が発生したときの対処方法

温度センサーが故障している可能性があります。すぐに使用を中止し、必ずお買い上げの販売店に修理や点検をご依頼ください。

10.10. STATUSインジケーターで通信状態を確認する

各種キープアライブ機能を有効にし、接続先機器と常時接続をしている場合は、本製品のSTATUSインジケーターで接続先機器との通信状態を確認できます。
STATUSインジケーターが橙点灯している場合は、接続先機器との通信が不可能な状態になっています。回線障害が発生したり、ネットワークを構成する各通信機器が故障したりしていないか確認してください。
接続先機器との通信が復旧するとSTATUSインジケーターは消灯します。

ご注意
キープアライブ機能は通信が不可能な状態を検出するまでに所定の時間が必要です。そのため、STATUSインジケーターが点灯していない状態でも、接続先の機器と通信ができない場合があります。
お知らせ
DOWNLOADボタンからファームウェアのリビジョンアップを実行した場合も、STATUSインジケーターは点灯します。詳しくは、「 10.3.1. DOWNLOADボタンを用いたリビジョンアップ 」をご覧ください。

10.11. EEE機能を使用する

本製品はEEE(Energy Efficient Ethernet)に対応しています。

  • 10BASE-Te

  • 100BASE-TX/1000BASE-T/2.5GBASE-T/5GBASE-T/10GBASE-T(LPI)

お知らせ

  • 工場出荷時の状態では、EEE機能は無効に設定されています。

  • EEE機能を使用するには、LANポートに接続する機器もEEE機能をサポートしている必要があります。

EEEを有効にする場合は、以下のように設定します。

  • LANのポート1を10BASE-Teに設定する場合:

    # lan port type 1 10-hdx energy-saving=on
    # save
  • LANのポート1をLPIに設定する場合:

    # lan port type 1 auto energy-saving=on
    # save

ご注意
EEE機能を有効にすると、接続する機器によっては通信できない場合があります。
通信できない場合は、EEE機能を無効にしてご使用ください。