1. 概要

WDS(Wireless Distribution System)とは、無線でアクセスポイント同士を接続する機能です。
WDSブリッジ機能を利用することによって、無線の通信距離を延長したり、電波の届きにくいエリアを カバーできます。
WDSブリッジ機能は、アクセスポイントに設定されているすべてのVLANのデータを接続したアクセスポイント間で送受信できます。
また、本製品では従来のWDSブリッジ機能と比較して、WDSブリッジの接続に5GHzだけでなく、6GHzも使用できます。

2. 注意事項

  • WDSブリッジ機能は同じ機種同士の接続でのみ使用できます。

  • WDSブリッジ機能は工場出荷状態のとき設定できます。

  • WDSブリッジ機能を設定するAPは1つのクラスターで1組までになるようにしてください。クラスター内にWDSブリッジ機能を設定したAPが2組存在すると、リーダーAPからフォロワーAPへの設定送信が正しくできない場合があります。

  • WDSブリッジ機能を設定すると機器は初期状態ではなくなるため、DHCPクライアントがアドレス取得できないときであっても"192.168.100.240/24"は割り当てられません。仮想コントローラーもしくはシリアルポートからIPアドレスを設定してください。

  • WDSリピーター機能と併用することはできません。

  • 本製品をYNOで遠隔管理し、かつWDSブリッジ機能を使用する場合は、WDSブリッジ接続する各APの有線LAN側に最低1台ずつAPを用意してください。
    ファームウェアのリビジョンアップ失敗などにより、WDSブリッジ接続するAP間のクラスターバージョンが異なるものになった場合、WDSブリッジ接続するAPの有線LAN側に他のAPが居ないと、YNOエージェント機能が有効にならず、YNOに接続できなくなります。

  • WDSブリッジで接続できるAPは、親機から見て一段目の子機までです。多段接続はできません。

  • WDSブリッジで接続をするときは、図のように構成をループ状にしないように設置してください。ループを作ってしまうと大量のブロードキャストフレームが送信されることになり、通信障害が発生します。

  • WDSブリッジ機能とLAN MAPは併用できません。LAN MAPはWDSブリッジ接続したアクセスポイントを表示できません。

    通信障害が発生する構成

3. 対応ファームウェアリビジョン

以下のファームウェアでWDSブリッジ機能が利用できます。

ファームウェア

Rev.25.01.02以降

4. 詳細

WDSブリッジ接続状態にあるAPは、通常のフォロワーAPと同様にクラスター内で運用管理することができます。仮想コントローラーからWDSアクセスポイント、WDSステーションそれぞれに設定を送信することが可能です。

また、以下のメリットがあります。

  • WDSブリッジ接続に関する設定処理が自動で行われるため、機器の設定が簡略化できる。

  • WDSブリッジ接続はVAPに依存しないため、16個のVAPすべてが無線クライアント用に使用できる。

4.1. WDS ブリッジで転送されるVLAN

以下のいずれかの条件に当てはまるVLANに流れるデータがWDS ブリッジを通過します。

  • タグなしVLAN(アクセスVLAN ID)に設定されいている
    (Web GUIの[基本設定]-[クラスター設定]、"仮想コントローラーとクラスターAPの共通ネットワーク設定"の「アクセスVLAN ID」)

  • IPアドレスが設定されているVLAN
    (Web GUIの[基本設定]-[クラスター設定]、"仮想コントローラーとクラスターAPの共通ネットワーク設定"の「VLAN ID」)

  • VAPの設定で割当されたVLAN ID
    (Web GUIの[無線設定]-[共通]-[SSID 管理]、"VAPX 設定"の「VLAN ID」)

機器内でVLAN IDが定義されていても、上記いずれかの設定に含まれていないVLANはWDS ブリッジでデータ転送されません。

5. 設定・操作方法

WDSブリッジ機能を利用するための手順を以下に示します。

  1. クラスター内でリーダーAPとなるアクセスポイントを用意します。

    (WDS接続で使用するAPはリーダーAPになることができないので別に用意します)

  2. 2台のアクセスポイントをWDSブリッジ接続します。

  3. WDSブリッジ接続された2台のうちWDSアクセスポイントをリーダーAPが接続されているネットワークに接続します。

5.1. WDSブリッジ接続

WDSブリッジ接続はWeb設定画面から設定できません。工場出荷状態で、AP本体のCONFIGボタンを長押しすることで設定を行います。
ここでは、有線LANに接続するAPをWDSアクセスポイント、WDSアクセスポイントに無線接続するAPをWDSステーションとして設定する手順を説明します。

接続構成

5.1.1. 接続手順

WDSアクセスポイントとWDSステーションの無線接続に周波数帯の5GHzを使用するか、6GHzを使用するか選択することができます。
用意したAPに対して無線接続に使用するインターフェース動作モード(WDSアクセスポイント、WDSステーション)と周波数帯(5GHz, 6GHz)を設定するには、AP本体の インジケーター の種類と点滅パターンを利用します。
利用するインジケーター の種類と点滅パターンは以下の通りです。

APの設定 インジケーター 点滅パターン 設定するための手順

WDSアクセスポイント (6GHz)

WLANインジケーター

3回点滅しては1回消灯

CONFIGボタンを離すと決定

WDSステーション (6GHz)

WLANインジケーター

点滅

CONFIGボタンを離すと決定

WDSアクセスポイント (5GHz)

YNOインジケーター

3回点滅しては1回消灯

CONFIGボタンを離すと決定

WDSステーション (5GHz)

YNOインジケーター

点滅

CONFIGボタンを離すと決定

工場出荷状態のAPのCONFIGボタンを押し続けるとAP本体のインジケーターがWDSブリッジ設定用の点滅を開始します。APに設定したいインターフェース動作モードと周波数帯を上の表で定義されているインジケーター点滅パターンのときにCONFIGボタンを離して下さい。
APのインジケーターと点滅パターンは以下に示す図の順番で変化します。

インジケーター点滅パターン
WDSアクセスポイント、WDSステーションで異なる周波数帯を設定すると接続できません。同じ周波数帯を設定して下さい。
設定中CONFIGボタンを離すタイミングを間違えたときはAPを工場出荷状態に戻してからやり直してください。

6GHzでの接続手順

  1. 工場出荷状態のAPを2台用意し、起動させます。

    (工場出荷状態でないと本設定は行えません)

  2. WDSアクセスポイントとして設定するAPのCONFIGボタンを、 WLANインジケーター が3回点滅しては1回消灯を繰り返すまで長押しします。

  3. WDSステーションとして設定するAPのCONFIGボタンを、 WLANインジケーター が点滅するまで長押しします。

  4. 両方のAPの天面と天面を向かい合わせ、WDSブリッジ接続が完了するのを待ちます。 WLANインジケーター が点滅から点灯に変われば接続成功です。点灯は数秒後に消灯します。 WLANインジケーター が点灯せずに消灯してしまった場合は、再度、手順1から行います。

  5. WDSアクセスポイントにするAPを有線LANに接続します。

5GHzでの接続手順

  1. 工場出荷状態のAPを2台用意し、起動させます。

    (工場出荷状態でないと本設定は行えません)

  2. WDSアクセスポイントとして設定するAPのCONFIGボタンを、 YNOインジケーター が3回点滅しては1回消灯を繰り返すまで長押しします。

  3. WDSステーションとして設定するAPのCONFIGボタンを、 YNOインジケーター が点滅するまで長押しします。

  4. 両方のAPの天面と天面を向かい合わせ、WDSブリッジ接続が完了するのを待ちます。 WLANインジケーター が点滅から点灯に変われば接続成功です。点灯は数秒後に消灯します。 WLANインジケーター が点灯せずに消灯してしまった場合は、再度、手順1から行います。

  5. WDSアクセスポイントにするAPを有線LANに接続します。

5.1.2. 状態表示画面

[保守] - [システム / ステータス情報]でWDSの情報を表示します。表示する内容は以下の項目です。

表示項目 説明

No.

無線情報の登録番号を表示します。

CH

使用しているチャンネルを表示します。

インターフェース動作モード

"WDSアクセスポイント"または"WDSステーション"を表示します。
WDSの設定がない場合は、"WDSの設定はありません"を表示します。

ステータス

接続先との接続状態を表示します。

接続先MACアドレス

接続先のMACアドレスを表示します。

SSID

設定しているSSIDを表示します。

VLAN ID

設定しているVLAN IDを表示します。

受信信号強度

受信信号の強度を表示します。

WDSアクセスポイント(6GHz)

WDSアクセスポイント情報(6GHz)

WDSステーション(6GHz)

WDS ステーション情報(6GHz)

WDSアクセスポイント(5GHz)

WDSアクセスポイント情報(5GHz)

WDSステーション(5GHz)

WDS ステーション情報(5GHz)