1. はじめに

本資料は、ヤマハ株式会社(以降、当社)が開発した無線LANアクセスポイントWLX333(以降、本製品)に関する機能・性能や測定データについての技術情報を記載した参考資料です。本製品の導入をご検討いただく際に、本製品の性能確認や設置場所の検討用にご参考ください。本製品は、2種類の筐体色を提供しておりますが、筐体色の違いによる無線性能の差異はありません。
本資料中のデータは、当社の測定環境における結果です。お客様の環境での性能を保証するものではありません。本資料は以下の内容をご了承の上でご使用ください。

  1. 本製品の運用目的の範囲内でのみ使用可能です。

  2. 当社以外の改変は禁止します。

  3. 当社の承諾なく掲示、転載等を禁止します。

  4. 権利やライセンスの移転および許諾を与えるものではありません。

  5. 正確性、有用性、適合性のいかなる保証をするものではありません。

  6. いかなる損害についても責任を負うものではありません。

  7. 断りなく更新、修正、変更、削除をすることがあります。


本資料では、以下の項目について解説します。

2. 電波伝搬特性

2.1. 概要

本章では本製品の電波伝搬性能について記載します。

2.2. 電波伝搬のしくみ

本製品は2.4GHz帯と5GHz帯、6GHz帯(WLX323のみ)の電波を使用して無線通信を行います。無線通信は送信機から放射された電波が受信機に届いたときに、ある一定の電力が保たれていることで成立します。しかし、電力は空間に放射されると大きく2つの要因で減衰します。一つは距離減衰です。電波は空間に放射されると球面状に拡散しながら伝搬していきます。そのため放射点からの距離が離れるほど単位面積あたりの電力密度が小さくなります。すなわち通信距離が長いほど受信機が受信する電力は小さくなります。もう一つは物体による遮蔽や透過減衰です。電波は物体にぶつかると物体の特性により遮蔽されたり透過したりして伝搬していきます。そのため屋内のように構造物が多い環境では遮蔽や透過が発生する頻度が高くなります。電波が遮蔽されると受信機まで到達することができないため通信は成立しません。また電波が物体を透過する場合、物体の特性に応じて電力は減衰してしまうため構造物が多い環境では通信が成立しなくなる可能性が高くなります。屋内環境で良好な通信を成立させるためには、通信距離や構造物の影響を考慮する必要があります。

2.3. サイトサーベイ

良好な通信が成立するエリアを確認する方法としてサイトサーベイがあります。サイトサーベイとは電波調査のことで設置した無線LANアクセスポイントの電波がどのように伝搬しているかを実際に測定して確認する手法です。測定は専用の受信端末と測定した電力をヒートマップ状に可視化して表示するアプリケーションで行います。このヒートマップを見れば通信可能エリアが確認できるため、無線LANアクセスポイントの設置位置の設計にとても効果的です。

2.4. 本製品のヒートマップ

ここからは Ekahau社( https://www.ekahau.com/ ) のサイトサーベイツールのSidekick2を使用して測定した本製品のヒートマップについて記載します。記載するヒートマップは、とあるオフィス環境において本製品/ WLX313(以降、前モデル)を下表の条件で設置した場合の測定結果です。また、WLX212/WLX222のヒートマップとは、測定機器が異なるため、比較できません。測定結果は建物の構造やレイアウト等によって異なります。そのため、実際に設置する環境においてもサイトサーベイを実施し、通信可能エリアの検証を行うことを推奨します。ここで記載するヒートマップは、本製品の通信可能エリアの傾向を示すものとして、設置場所の検討の際に参考情報としてご活用ください。
本製品の主な設置方法である天井設置と壁面設置について測定を行います。測定条件を下表に示します。

Table 1. サイトサーベイ 測定条件
No. 設置 製品 高さ条件

1

天井設置

WLX232

本製品: 2.4m / 測定端末: 0.8m

2

WLX323/WLX322

3

壁面設置

WLX232

本製品: 2.2m / 測定端末: 0.8m

4

WLX323/WLX322

2.4.1. サイトサーベイの実施風景

測定風景
測定風景(三脚に設置されているものが電波受信機)
天井設置を想定
天井設置を想定
壁面設置を想定
壁面設置を想定

2.4.2. 本製品の指向性の特徴

本製品は、天井設置に適した指向性で設計されています。天井設置時に求められる指向性とその効果について、以下に示します。

  • 底面側への弱い指向性
    →上階など不要な範囲の電波放射・干渉を抑えたい。

  • 対称な指向性
    →均一な通信エリアを確保することで、無線LANアクセスポイントの配置設計がしやすい。

  • 側面方向へ広がる指向性
    →側面方向に電波が広がることで、天面方向に集中した指向性よりも広い範囲で電波が届きやすい。

本製品の指向性から、ヒートマップに表れる特徴を以下に示します。

  • 天面方向よりも、側面方向への強く放射する特徴より、以下の傾向がみられる。

    • 天井設置では、半径20mの円において、指向性に偏りが少なく、円を描くように電波が広がっている。

    • 壁面設置では、天面方向よりも、側面方向へ電波が広がっている。

天井設置

壁面設置

WLX333ヒートマップ 天井設置
WLX333ヒートマップ 壁面設置

ヒートマップ 色分け

以上の特性より、本製品は天井設置時において、偏りの少ない指向性から、配置検討が行いやすい通信エリアを実現しています。また、本節で説明した内容を踏まえて、次節で示されるヒートマップをご確認ください。

2.4.3. 天井設置の場合

本製品を天井設置して測定したヒートマップついて、前モデルのヒートマップと比較しながら、本製品の特徴を示します。

  • 半径20mの円において、指向性に偏りが少なく、円を描くように電波が広がっている。

  • 電波の広がりは、各周波数帯においてもほぼ同等である。

  • 半径20mの範囲において前モデルと同等な電波強度である。

2.4GHz帯/5GHz(1)帯
2.4GHz 5GHz(1)

WLX333

2.4GHz帯ヒートマップ WLX333
5GHz(1)帯ヒートマップ WLX333

WLX323/WLX322

2.4GHz帯ヒートマップ WLX323/WLX322
5GHz(1)帯ヒートマップ WLX323/WLX322

ヒートマップ 色分け

5GHz(2)帯/6GHz帯
5GHz(2) 6GHz

WLX333

データなし
6GHz帯ヒートマップ WLX333

WLX323/WLX322

5GHz(2)帯ヒートマップ WLX323/WLX322
6GHz帯ヒートマップ WLX323/WLX322

ヒートマップ 色分け

2.4.4. 壁面設置の場合

本製品を壁面設置して測定したヒートマップついて、前モデルのヒートマップと比較しながら、本製品の特徴を示します。

  • 半径20mの円において、指向性に偏りが少なく、円を描くように電波が広がっている。

  • 電波の広がりは、天面方向よりも側面方向へ広がっている。

  • 半径20mの範囲において前モデルと同等な電波強度である。

2.4GHz帯/5GHz(1)帯
2.4GHz 5GHz(1)

WLX333

2.4GHz帯ヒートマップ WLX333
5GHz(1)帯ヒートマップ WLX333

WLX323/WLX322

2.4GHz帯ヒートマップ WLX323/WLX322
5GHz(1)帯ヒートマップ WLX323/WLX322

ヒートマップ 色分け

5GHz(2)帯/6GHz帯
5GHz(2) 6GHz

WLX333

データなし
6GHz帯ヒートマップ WLX333

WLX323/WLX322

5GHz(2)帯ヒートマップ WLX323/WLX322
6GHz帯ヒートマップ WLX323/WLX322

ヒートマップ 色分け

2.5. 本製品の電波伝搬特性と設置時のポイント

測定したヒートマップから確認できる本装置の電波伝搬特性を整理します。

  • 天井設置

    • 半径20mの円において、指向性に偏りが少なく、円を描くように電波が広がっている。

    • 電波の広がりは、各周波数帯においてもほぼ同等である。

    • 半径20mの範囲において前モデルと同等な電波強度である。

  • 壁面設置

    • 半径20mの円において、指向性に偏りが少なく、円を描くように電波が広がっている。

    • 電波の広がりは、天面方向よりも側面方向へ広がっている。

    • 半径20mの範囲において前モデルと同等な電波強度である。

安定した無線LAN環境を実現するためには、本製品の電波伝搬特性をご理解いただき目的に応じて設置場所やアンテナ選択を適切に行う必要があります。本製品の電波伝搬特性に基づき、推奨する設置条件を下表に示します。

設置場所

設置条件

天井設置

  • 快適な通信は、半径20m程度の範囲以内

  • 複数台設置する場合は、余分な電波放射・干渉を抑えるため、半径20m前後の間隔で本製品を設置する。

天井設置 WLX232

壁面設置
卓上設置

  • 横長の空間(本製品の水平方向)で環境構築する場合は、長辺側の壁へ設置することでエリアを広くカバーしやすい。

  • 設置壁面の裏側への不要な電波放射を抑えたい。

壁面設置 WLX232 卓上設置 WLX232

本製品と前モデルの電波伝搬特性は同等であることから、置き換えをご検討の場合は基本的に同じ設置条件でご使用可能です。ただし、設置環境により電波伝搬特性が完全に一致はしないため、事前に所望の範囲で通信が可能かどうかご確認いただくことを推奨します。

本製品の設置方法については、 設置方法 もご参照ください。