ホワイトペーパー
1. はじめに
本資料は、ヤマハ株式会社(以降、当社)製の無線LANアクセスポイントWLX222(以降、本製品)に関する機能・性能や測定データについての技術情報を記載した参考資料です。本製品の導入をご検討いただく際に、本製品の性能確認や設置場所の検討用にご参考ください。
本資料中のデータは、当社の測定環境における結果です。お客様の環境での性能を保証するものではありません。本資料は以下の内容をご了承の上でご使用ください。
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本製品の運用目的の範囲内でのみ利用可能とします。
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当社以外の改変は禁止します。
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承諾なしに、掲示、転載等を禁止します。
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権利やライセンスの移転および許諾を与えるものではありません。
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正確性、有用性、適合性等のいかなる保証をするものではありません。
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いかなる損害についても責任を負うものではありません。
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断りなく更新、修正、変更、削除することがあります。
本資料では、以下の項目について解説します。
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電波伝搬特性
本製品の電波伝搬性能について記載します。 -
データ転送処理性能
本製品のデータ転送性能について記載します。 -
エイリアンクロストーク
本製品のエイリアンクロストークに対する性能について記載します。 -
Zoom同時50台の接続検証
本製品に無線端末を50台接続し、Zoomを同時に使用した場合の接続検証結果を動画で公開しています。 -
IEEE 802.11k/v 機能の機能改善
本製品の IEEE 802.11k/v 機能の機能改善について記載します。
2. 電波伝搬特性
2.1. 概要
本章では本製品の電波伝搬性能について記載します。
2.2. 電波伝搬のしくみ
本製品は2.4GHz帯と5GHz帯の電波を使用して無線通信を行います。無線通信は送信機から放射された電波が受信機に届いたときに、ある一定の電力が保たれていることで成立します。しかし電力は空間に放射されると大きく2つの要因で減衰します。一つは距離減衰です。電波は空間に放射されると球面状に拡散しながら伝搬していきます。そのため放射点からの距離が離れるほど単位面積あたりの電力密度が小さくなります。すなわち通信距離が長いほど受信機が受信する電力は小さくなります。もう一つは物体による遮蔽や透過減衰です。電波は物体にぶつかると物体の特性により遮蔽されたり透過したりして伝搬していきます。そのため屋内のように構造物が多い環境では遮蔽や透過が発生する頻度が高くなります。電波が遮蔽されると受信機まで到達することができないため通信は成立しません。また電波が物体を透過する場合、物体の特性に応じて電力は減衰してしまうため構造物が多い環境では通信が成立しなくなる可能性が高くなります。屋内環境で良好な通信を成立させるためには、通信距離や構造物の影響を考慮する必要があります。
2.3. サイトサーベイ
良好な通信が成立するエリアを確認する方法としてサイトサーベイがあります。サイトサーベイとは電波調査のことで設置した無線LANアクセスポイントの電波がどのように伝搬しているかを実際に測定して確認する手法です。測定は専用の受信端末と測定した電力をヒートマップ状に可視化して表示するアプリケーションで行います。このヒートマップを見れば通信可能エリアが確認できるため、無線LANアクセスポイントの設置位置の設計にとても効果的です。
2.4. 本製品のヒートマップ
ここからは Ekahau社( https://www.ekahau.com/ ) のサイトサーベイツールを使用して測定した本製品のヒートマップについて記載します。記載するヒートマップは、とあるオフィス環境において本製品を下表の条件で設置した場合の測定結果です。測定結果は建物の構造やレイアウト等によって異なります。そのため実際に設置する環境においてもサイトサーベイを実施し、通信可能エリアの検証を行うことを推奨します。ここで記載するヒートマップは、本装置の通信可能エリアの傾向を示すものとして、設置場所の検討の際に参考情報としてご活用ください。
本製品の主な設置方法である天井設置と壁面設置について測定を行います。またそれぞれの設置においてアンテナ指向性あり/なしについて測定します。測定条件を下表に示します。
| No. | 設置 | アンテナ | 高さ条件 |
|---|---|---|---|
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1 |
天井設置 |
指向性あり |
本製品: 2.4m / 測定端末: 0.8m |
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2 |
指向性なし |
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3 |
壁面設置 |
指向性あり |
本製品: 2.2m / 測定端末: 0.8m |
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4 |
指向性なし |
2.5. 天井設置の場合
本製品を天井設置して測定したヒートマップを下図に示します。図から読み取れる本製品の電波伝搬特性を以下に挙げます。
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指向性ありは電波が特定の範囲に集中している
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指向性なしは電波がより広い範囲に広がっている
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電波の広がりは2.4GHz帯も5GHz帯もほぼ同等である
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電波の広がりは本製品と前モデル(WLX212)もほぼ同等である
2.5.1. 2.4GHz帯 (天井設置)
| 本製品(WLX222) | 前モデル(WLX212) | |
|---|---|---|
|
指向性あり |
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指向性なし |
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2.5.2. 5GHz帯
| 本製品(WLX222) | 前モデル(WLX212) | |
|---|---|---|
|
指向性あり |
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指向性なし |
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2.6. 壁面設置の場合
本製品を壁面設置して測定したヒートマップを下図に示します。図から読み取れる本製品の電波伝搬特性を以下に挙げます。
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指向性ありは本製品の天面方向(図の縦方向)に電波が広がっている
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指向性なしは本製品の側面方向(図の左右方向)に電波が広がっている。
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電波の広がりは2.4GHz帯も5GHz帯もほぼ同等である
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電波の広がりは本製品と前モデル(WLX212)もほぼ同等である
2.6.1. 2.4GHz帯 (壁面設置)
| 本製品(WLX222) | 前モデル(WLX212) | |
|---|---|---|
|
指向性あり |
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指向性なし |
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2.6.2. 5GHz帯 (壁面設置)
| 本製品(WLX222) | 前モデル(WLX212) | |
|---|---|---|
|
指向性あり |
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|
|
指向性なし |
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2.7. 本製品の電波伝搬特性と設置時のポイント
測定したヒートマップから確認できる本装置の電波伝搬特性を整理します。
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アンテナ指向性ありは製品天面方向に電波が集中する
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アンテナ指向性なしは全方向に電波が広がる
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2.4GHz帯と5GHz帯の電波の広がりはほぼ同じ
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本製品と前モデル(WLX212)の電波の広がりはほぼ同じ
安定した無線LAN環境を実現するためには、本製品の電波伝搬特性をご理解いただき目的に応じて設置場所やアンテナ選択を適切に行う必要があります。本製品の電波伝搬特性に基づき、推奨する設置条件を下表に示します。
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設置場所 |
アンテナ選択 |
想定シーン |
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天井設置 |
指向性あり |
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指向性なし |
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壁面設置
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指向性あり |
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|
指向性なし |
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本製品と前モデル(WLX212)の電波伝搬特性はほぼ同じであることから、置き換えをご検討の場合は基本的に同じ設置条件でご使用可能です。ただし、設置環境により電波伝搬特性が完全に一致はしないため、事前に所望の範囲で通信が可能かどうかご確認いただくことを推奨します。
本製品の設置方法やアンテナ指向性の設定方法等については、 設置方法とアンテナ選択 ・ アンテナ指向性 もご参照ください。
3. データ転送処理性能
3.1. 概要
本章では本製品のデータ転送処理性能について記載します。通信内容や接続台数などの使用環境によって、推奨される無線環境の構成は変化します。そこで、本測定では本製品のデータ転送処理性能を、ロングフレーム・ショートフレームの双方の観点で測定し、使用環境ごとの推奨構成について考察します。
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本製品に搭載される Radio Optimization機能 では「事務作業が快適に利用できる」基準として5Mbps、「多台数で同時に動画を視聴しても快適に利用できる」基準として20Mbpsを採用しています。本資料の考察でもこの基準を使用します。 |
3.2. フレームのサイズによる違い
アクセスポイントを通過・処理されるデータはフレームという単位で表現されます。フレームは通信データのサイズが大きいものがロングフレーム、小さいものがショートフレームと呼ばれています。ロングフレームとショートフレームにはそれぞれに以下のような特徴があります。
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ロングフレーム(ロングパケット)
ロングフレームはメールの送受信、動画のストリーミング再生などの通信量が多い通信で利用されています。
従来の通信では主にロングフレームが利用されています。-
使用されているものの例
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Web検索
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メール送受信
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ストリーミング再生
-
-
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ショートフレーム(ショートパケット)
ショートフレームは遠隔会議などのリアルタイム性が求められる通信で利用されています。
テレワークやサテライトオフィスなどの普及で遠隔会議の利用が拡大したことで、ショートフレームの利用機会が増加しています。
また、ショートフレームはロングフレームよりも通信頻度が高いため、スループットが低くなる傾向があります。-
使用されているものの例
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ビデオ会議
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IP電話
-
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本資料ではデータサイズが400Byte以下のフレームをショートフレーム、400Byteより大きく1518Byte以下のフレームをロングフレームと呼称します。
3.3. 測定機材
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AP: WLX222(本製品)
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測定ツール: IxVeriwave (WaveTest6 / デバイスとネットワークのパフォーマンステスター)
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無線端末: IxVeriWaveによる仮想端末最大70台(Wi-Fi 6:802.11ax対応 2x2)
3.5. フレームサイズ
測定に使用するフレームのサイズは以下の通りです。
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ショートフレーム:370 Byte (※1)
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ロングフレーム: 1518 Byte (※2)
※1. 事前にZoomやTeamsのWeb会議で送受信されているフレームを観測し、その中で多く使用されていたフレームサイズ(環境やバージョンにより異なる可能性があります)
※2. 転送データの最大フレームサイズ
3.6. 測定方法
APの有線LANポート・無線LANポートそれぞれにIxVeriWaveの仮想端末を台数を変化させて接続し、有線LAN側から無線LAN側に向けてショートフレーム・ロングフレームを送信し、スループットを測定します。また、それぞれの台数における各端末ごとのスループットも測定します。
3.7. 測定結果
3.7.1. ロングフレーム
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トータルスループット
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接続端末ごとのスループット
※表のエラーバーは端末ごとのスループットの標準偏差(ばらつき)を表しています。
結果
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本製品の最大接続数の70台では各端末のスループットが約8Mbps出ています。これはRO機能の基準での「事務作業が快適に利用できる」ラインの5Mbps以上の結果です。
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接続台数が30台では各端末のスループットが約23Mbps出ています。これはRO機能の基準での「多台数で同時に動画を視聴しても快適に利用できる」ラインの20Mbps以上の結果です。
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端末ごとのスループットのばらつきが少ない結果と読み取れます。
3.7.2. ショートフレーム
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トータルスループット
-
接続端末ごとのスループット
※表のエラーバーは端末ごとのスループットの標準偏差(ばらつき)を表しています。
結果
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接続台数が30台では各端末のスループットが約12Mbps出ています。これはRO機能の基準での「遠隔会議が快適に利用できる」ラインの5Mbps以上の結果です。
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端末ごとのスループットのばらつきが少ない結果と読み取れます。
3.8. 結論
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同時動画視聴や遠隔会議などを頻繁に行う通信負荷が高い環境では、本製品1台あたりの接続台数が30台になるように環境を構築すると快適に利用していただけます。
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事務作業などのみを行う通信負荷が低い環境では、本製品1台あたりの接続台数が最大の70台でも問題なく接続していただけます。
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ロングフレーム・ショートフレームともに各端末ごとのスループットにほぼ差がないことから、どの接続端末でも同様の作業が出来ると言えます。
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本測定結果は製品の処理能力を表しており、お客様の使用される無線端末や環境により得られるスループットは異なります。そのため本測定結果は目安とし、必要に応じて運用開始前に試験をされることを推奨します。 |
4. エイリアンクロストーク
4.1. 概要
本章では本製品のエイリアンクロストークに対する性能について記載します。
Cat.5eなどシールド対策されていないLANケーブルを複数並列して敷設すると、エイリアンクロストークが発生し通信性能が劣化する場合があります。通信性能の劣化を軽減するには、並列するケーブル間の距離を話したり、束ねるケーブルの本数を減らしたりする対策が必要です。
4.2. エイリアンクロストークとは
本製品の有線LANは2.5GBASE-Tに対応しています。2.5GBASE-TはCat.5eケーブル100m以上で2.5Gbpsの通信速度を指定した規格です。この規格は企業ネットワークの既設ケーブルの大半を占めるCat.5eケーブルを使用して最長100mで2.5Gbpsを実現することを目的として策定されました。
Cat.5eケーブルを使用して2.5Gbpsを実現する場合に課題となるのがエイリアンクロストークです。エイリアンクロストークとは、複数のLANケーブルを並列して敷設した場合に隣接するケーブルから受けるノイズのことです。ノイズは信号速度や隣接するケーブルの本数などに比例して大きくなります。ノイズの量が大きくなると通信性能の劣化や最悪リンクダウンが発生する場合があります。
| エイリアンクロストークの影響 | 大 >>> 小 |
|---|---|
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信号速度(レート) |
高速 低速 |
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隣接ケーブルの本数 |
多い 少ない |
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ケーブル束の長さ |
長い 短い |
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隣接ケーブルとの距離 |
近い 遠い |
4.3. エイリアンクロストークの影響リスク
エイリアンクロストークの影響を軽減するためには、シールド対策されたケーブルの使用が推奨されています。しかし、2.5GBASE-Tではシールド対策されていないCat.5eケーブルもサポートされています。そのためシールド対策されていないCat.5e/Cat.6ケーブルを使用する場合は、敷設ケーブルの状態を評価しエイリアンクロストークに対するリスクを把握しておくことが大切です。
| 規格 | レート | 信号帯域幅 | 対応ケーブル |
|---|---|---|---|
|
100BASE-TX |
100Mbps |
31.25MHz |
Cat.5 |
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1000BASE-T |
1Gbps |
62.5MHz |
Cat.5 |
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2.5GBASE-T |
2.5Gbps |
100MHz |
Cat.5e |
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5GBASE-T |
5Gbps |
200MHz |
Cat.6 |
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10GBASE-T |
10Gbps |
400MHz |
Cat.6a以上 |
既設ケーブルが2.5GBASE-Tに対応しているかを評価するために、TIA TSB-5021では敷設状態におけるエイリアンクロストークの影響リスクの指標を掲示しています。ここで言えることは、2.5GBASE-TはCat.5e/Cat.6ケーブルをサポートしているものの、全ての場合において通信性能を保証するものではないということです。敷設状態におけるエイリアンクロストークの影響を把握し、可能な範囲で緩和策を講じることが大切です。
4.4. 本製品のエイリアンクロストークに対する性能
ここからは本製品を使用したある特定の環境下におけるエイリアンクロストークの検証結果を記載します。
エイリアンクロストークは、隣接するケーブルの本数、距離、束ね長に比例して大きくなります。その状態を模擬した試験方法として6-around-1(シックス・アラウンド・ワン)があります。6-around-1では1本の通信ケーブルを中心に6本の妨害ケーブルを束ねた状態で通信試験を行います。妨害ケーブルで通信を行うことでエイリアンクロストークが発生し、通信ケーブルの通信に影響を与えます。
4.4.1. 試験内容
6-around-1における本製品の通信性能を確認します。本製品の対向製品はSWX2221P-10NTとSWX2322P-16MTを使用します。全てのケーブルはCat.5eで全長は100mです。6-around-1の束ね長が長いほどエイリアンクロストークの影響が大きいため、束ね長の違いによる通信性能(リンク速度)を確認します。
4.4.2. 試験結果
試験結果を下表に示します。エイリアンクロストークがない場合は、2.5GBASE-Tの指定どおり100mのCat.5eケーブルで2.5Gbpsの通信性能を満たします。一方でエイリアンクロストークがある場合は、6-around-1の束ね長が90m以下で2.5Gbpsの通信性能を満たす結果となりました。図" エイリアンクロストークの影響リスク (出典:TIA TSB-5021) "によると、束ね長が75m以上のCat.5eケーブルで2.5GBASE-Tの通信を行う場合のリスク度は“Medium”に指定されています。すなわち、90mで2.5Gbpsの通信性能を満たす本製品の結果は概ね妥当であると言えます。
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対向製品 |
エイリアンクロストークなし |
エイリアンクロストークあり |
||||
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束ね長[m] |
||||||
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100m |
95m |
90m |
85m |
80m |
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SWX2221P-10NT |
2.5Gbps |
1Gbps |
1Gbps |
2.5Gbps |
2.5Gbps |
2.5Gbps |
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SWX2322P-16MT |
2.5Gbps |
1Gbps |
1Gbps |
2.5Gbps |
2.5Gbps |
2.5Gbps |
4.4.3. エイリアンクロストークの軽減策
既設ケーブルを使用する場合、その状態によっては少なからずエイリアンクロストークの影響を受けてしまいます。本製品を設置後、エイリアンクロストークの影響と思われる通信性能の低下がみられた場合は、以下の軽減策をご検討ください。
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ケーブルが束ねられている場合は、できるだけばらした状態にする
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ケーブルを束ねる場合は、部分的に束ねるなど束ねられた長さができるだけ短くなるようにする
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ケーブルを束ねる場合は、できるだけ少ない本数で束ねるようにする
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通信性能の低下がみられたケーブルをできるだけ他のケーブルから離す
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通信性能の低下がみられたケーブルをCat.6a以上のシールド対策されたケーブルに変更する
5. Zoom同時50台の接続検証
本製品に無線端末を50台接続し、Zoomを同時に使用した場合の接続検証結果を動画で公開しています。以下をご参照ください。
ヤマハ無線LANアクセスポイント WLXシリーズ Wi-Fi 6対応モデル Zoom同時50台の接続検証
6. IEEE 802.11k/v 機能の機能改善
6.1. 概要
本章では本製品の
ローミングアシスト機能 - IEEE 802.11k/v
の機能改善について記載します。
接続分散の効果を確認するため、100台の無線端末を4台のAPに接続させたとき、時間経過に伴って接続先が分散していく様子を測定した結果を記載します。比較のために本機能改善前の従来バージョンを使用した場合でも測定します。
6.1.1. 対応ファームウェアリビジョン
IEEE 802.11k/v 機能の従来バージョンと機能改善後のバージョン
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モデル |
ファームウェア |
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|---|---|---|
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従来バージョン |
機能改善バージョン |
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WLX413 |
Rev.22.00.08 |
Rev.22.00.09以降 |
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WLX222 |
Rev.24.00.08 |
Rev.24.00.12以降 |
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WLX322 |
Rev.25.00.03 |
Rev.25.00.07以降 |
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WLX323 |
Rev.25.01.03 |
Rev.25.01.07以降 |
6.1.2. 改善点① IEEE 802.11k/v 従来機能の改善
本機能の改善点の一つ目は、ローミング誘導を開始する閾値の調整です。
APは接続している無線端末の受信信号強度を監視します。その値が特定の閾値を下回ると、APはIEEE 802.11k/v によるローミングを促す動作を開始します。
この閾値を高くしたことで、より早いタイミングで接続状態の悪化を検知し、ローミング誘導を開始できるようになりました。
6.1.3. 改善点② IEEE 802.11k/v を用いた接続分散機能の追加
本機能の改善点の二つ目は、接続分散機能の追加です。
狭い範囲に複数のAPを設置して多数の無線端末を使用する環境(高密度無線LAN)においては、APごとに無線端末が適切に接続分散(ロードバランス)されることが、大容量の通信帯域を確保するための要所の1つとして考えられます。
IEEE 802.11k/vを用いた接続分散機能を使用することで、各APに接続した端末台数をトリガーにしてローミングを促すことができるようになります。
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接続台数が10台を超えたとき、接続中の全無線端末に対して IEEE 802.11k によるリクエスト(無線端末から周辺の無線情報収集するための要求)を送信します。
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接続台数が10台を超えている状態が続いているとき、10分毎に同様のリクエストを送信します。
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-
接続先APを決定するスコアの計算式において、端末接続台数パラメータに対する重み付けを従来よりも高く設定しました。
6.2. 測定機材
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AP: WLX322、4台
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無線端末:PC、100台
6.3. 測定方法
15m四方のエリアの四隅にAPを設置、エリアの内側に25台ずつまとめて無線端末を設置します。
APに無線端末を接続し、接続開始から1分/2分/3分/4分/5分/10分/15分/20分のタイミングで各APのWebGUIやシステムログから接続端末台数を記録します。
6.4. 測定結果
6.4.1. 結果
機能改善後の IEEE 802.11k/v 機能を用いる場合、時間経過に伴って端末がより条件の良いAPへと移動(IEEE 802.11k/vによるローミング動作)し、接続分散が適切に行われる様子を確認できました。
接続台数が10台を超えると IEEE 802.11k/v を用いた接続分散機能の動作が始まるため、接続開始から2,3分経過後から端末のローミング動作が頻発して各APの接続台数がダイナミックに変化します。その後は受信信号強度閾値によるローミングで緩やかに接続台数が変化していき、5分程経過すると収束に向かい安定してくる様子が見えます。
改善前の従来バージョンの場合、始めに接続したAPに接続し続ける様子を確認しました。受信信号強度の閾値が低いため下回らず、IEEE 802.11k/v 機能によるローミング動作は発生しませんでした。
6.5. 結論
IEEE 802.11k/v 機能の機能改善によって、ローミング動作が積極的に発生するようになり、より最適な接続環境を目指す動きが見られます。