OSPFv3外部仕様書
$Date: 2023/07/06 20:30:27 $
概要
OSPFv3はIPv6に対応したインテリアゲートウェイプロトコルの一種で、
グラフ理論をベースとしたリンク状態型の動的ルーティングプロトコルです。
IPv6に対応したインテリアゲートウェイプロトコルであるRIPngと比較すると
以下のような特徴があります。
- 経路情報が変更された時に、経路が安定するまでの時間が短い
- ネットワーク全体を複数のエリアに分割して管理できる
- OSPFv3以外のプロトコルによって取得した経路(外部経路)の取り扱いが規定されている
- プロトコルが複雑で、必要とされるCPUパワー、メモリが多い
- 事前に十分なネットワーク設計を行っておく必要がある
OSPFv3の基本的概念やアルゴリズムはIPv4に対応したOSPFv2とほぼ同様です。
OSPFv3を利用するにあたり、OSPFv2に関する知識や書籍も参考になるでしょう。
ただし、IPv4とIPv6のプロトコル体系の違いや一部概念の変更に伴い、
いくつかの相違点があります。
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仮想リンクを使用する場合を除き、データベースの同期にリンク
ローカルアドレスを利用する
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OSPFパケットの認証はOSPFv3の仕様から削除され、IPsecを利用する
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同一リンクに複数のOSPFv3ルーティングドメイン(*)を設定できるようにするため、
インタフェースにインスタンスIDを付与する
- (*)ルーティングドメイン
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特定の方針や規則(ルーティングプロトコル)に沿って経路を管理している
ネットワークの範囲(集合)のこと
注意事項
ヤマハRTシリーズでのOSPFv3の実装は、RFC2740対応を基本に、以下のように
なっています。
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インタフェースが接続するリンクのタイプとして、以下のタイプをサポートする
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unnumberedリンクをサポートする
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複数のエリアに対応し、エリア境界ルータになることができる
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スタブエリアをサポートする
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仮想リンクをサポートしていますが、使用しているとリブートすることがあります。基本的には使用しないでください。
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OSPFv3で取得した経路をルーティングテーブルに反映するかどうかを
選択することができる。また、反映する経路をフィルタで選ぶことができる
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静的経路や他のルーティングプロトコルで取得した経路をOSPFv3で
再配布するかどうかを選択できる。また、再配布する経路をフィルタ
で選ぶことができる
以下の機能はサポートされていません。
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フレームリレー上でのOSPFv3の動作
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非ブロードキャスト(NBMA)型、ポイント・マルチポイント型リンクのサポート
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IPsecを使ったOSPFパケットの認証 (RFC2740)
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NSSA (RFC3101相当)
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Demand Circuits (RFC1793相当)
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MOSPF (RFC1584相当)
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MIB-II
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複数インスタンスの動作(インスタンスIDは0に固定)
対応機種とファームウェアリビジョン
ヤマハRTシリーズでは以下の機種およびファームウェアで、OSPFv3をサポートしています。
機種 | ファームウェア |
RTX3510
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すべてのリビジョン
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RTX1300
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RTX1220
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RTX830
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NVR700W
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RTX1210
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RTX5000
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RTX3500
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RTX810
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Rev.11.01.21以降
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RTX1200
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Rev.10.01.53以降
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RTX3000
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Rev.9.00.08以降
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