$Date: 2022/09/08 09:07:11 $
LANケーブル二重化機能とは、ヤマハルーターとヤマハスイッチの間や、ヤマハスイッチ同士の間でLANケーブルを二重化して、ネットワークの信頼性を向上させるための機能です。二重化することで、主ケーブルの断線や抜けによって接続が切れてしまったときに、自動的にバックアップケーブルがリンクアップして、ネットワークを継続して利用することができます。
本機能では主ケーブルが接続されている機器間のことをメイン経路、バックアップアップケーブルが接続されている機器間のことをバックアップ経路と呼びます。
ヤマハルーターでは以下の機種およびファームウェアで、LANケーブル二重化機能をサポートしています。
機種 | ファームウェア |
---|---|
RTX1300 | Rev.23.00.03 以降 |
RTX1220 | Rev.15.04.01 以降 |
RTX830 | Rev.15.02.01 以降 |
NVR510 | Rev.15.01.02 以降 |
NVR700W | Rev.15.00.02 以降 |
RTX1210 | Rev.14.01.05 以降 |
FWX120 | Rev.11.03.04 以降 |
RTX810 | Rev.11.01.12 以降 |
NVR500 | Rev.11.00.23 以降 |
RTX1200 | Rev.10.01.45 以降 |
ヤマハスイッチでは以下の機種およびファームウェアで、LANケーブル二重化機能をサポートしています。
機種 | ファームウェア |
---|---|
SWX2200-24G | Rev.1.00.07 |
SWX2200-8G | |
SWX2200-8PoE | Rev.1.01.03 |
下図のようにスイッチAとスイッチBの間を二重化する場合を例にして説明します。
メイン経路は既にLANケーブルが接続されていて、通信が行われているものとします。
初めにswitch control route backupコマンドを用いてメイン経路とバックアップ経路を設定します。
メイン経路は、ヤマハルーターのスイッチングハブまたはヤマハスイッチのポートを、ルーターを基点とする経路として指定します。経路の記述方法について、詳しくはスイッチの指定方法を参照してください。
バックアップ経路は、同じ機器上でバックアップ経路として使用するポート番号を指定します。
本機能の設定前にバックアップ経路にケーブルを接続するとループが発生してしまうことがあります。ケーブルの接続は、本機能の設定後に行ってください。
[構成A]では、スイッチAのポート5をメイン経路、ポート6をバックアップ経路とするので、設定は
switch control route backup lan1:2-5 6
となります。
本機能の動作状態はshow status switch control route backupコマンドで確認することができます。
メイン経路がリンクアップ中に、show status switch control route backupコマンドでバックアップ経路の状態を表示すると、"force-linkdown"となります。このときバックアップ経路では、LANケーブルが接続されてもリンクアップしません。
次にバックアップ経路にLANケーブルを接続して二重化を行います。LANケーブルを接続する際は、show status switch control route backupコマンドによる動作状態の確認と、接続するポートの確認を十分に行ってください。
誤った接続を行うと、ループが発生してしまうことがありますのでご注意ください。
メイン経路で通信を行っているときにメイン経路がリンクダウンすると、以下のように経路の切り替えが行われます。
経路の切り替えが起きた場合、SYSLOGが出力されます。以下はポート5がリンクダウンして経路の切り替えが起きたときの例です。
2013/02/26 15:38:54: [SWCTL] lan1:2(00:a0:de:7e:4e:b7): PORT5 link down 2013/02/26 15:38:56: [SWCTL] lan1:2-5-13(00:a0:de:2a:db:94): detect down 2013/02/26 15:38:56: [SWCTL] lan1:2-5(00:a0:de:82:70:8a): detect down 2013/02/26 15:38:58: [SWCTL] lan1:2-5: switched to backup 2013/02/26 15:39:00: [SWCTL] lan1:2(00:a0:de:7e:4e:b7): PORT6 link up (1000-fdx) 2013/02/26 15:39:05: [SWCTL] lan1:2-6(00:a0:de:82:70:8a): find switch 2013/02/26 15:39:05: [SWCTL] lan1:2-6-13(00:a0:de:2a:db:94): find switch
バックアップ経路で通信を行っているときにメイン経路がリンクアップすると、以下のように経路の切り戻しが行われます。
経路の切り戻しが起きた場合も、同様にSYSLOGが出力されます。以下はポート5がリンクアップして経路の切り戻しが起きたときの例です。
2013/02/26 15:39:43: [SWCTL] lan1:2(00:a0:de:7e:4e:b7): PORT5 link up (1000-fdx) 2013/02/26 15:39:43: [SWCTL] lan1:2-6(00:a0:de:82:70:8a): PORT7 link up (1000-fdx) 2013/02/26 15:39:47: [SWCTL] lan1:2(00:a0:de:7e:4e:b7): PORT6 link down 2013/02/26 15:39:47: [SWCTL] lan1:2-5: recovered from backup 2013/02/26 15:39:47: [SWCTL] lan1:2-6-13(00:a0:de:2a:db:94): detect down 2013/02/26 15:39:47: [SWCTL] lan1:2-6(00:a0:de:82:70:8a): detect down 2013/02/26 15:39:50: [SWCTL] lan1:2-5(00:a0:de:82:70:8a): find switch 2013/02/26 15:39:50: [SWCTL] lan1:2-5-13(00:a0:de:2a:db:94): find switch
バックアップ経路の先で認識したスイッチに対して、経路を指定してスイッチを操作する場合、バックアップ経路ではなく、メイン経路を指定します。 また設定の同期も同様で、バックアップ経路の先でスイッチが接続された場合、メイン経路の設定を用いて同期を行います。
このため、バックアップ経路に切り替わった場合を考慮して、ルーターにバックアップ経路を指定した設定を用意しておく必要はありません。
バックアップ経路を指定してスイッチの操作を行おうとすると、対象となるスイッチが見つからずにコマンドエラーとなりますのでご注意ください。
[構成A]で、スイッチBにメイン経路(lan1:2-5)を指定した設定を行った状態でバックアップ経路に切り替わった場合、バックアップ経路(lan1:2-6)でスイッチBが認識されると、スイッチBにはメイン経路(lan1:2-5)を指定した設定が適用されます。
スイッチを操作するときに指定する経路は、show status switch controlコマンドで確認できます。[構成A]において、バックアップ経路でスイッチを認識しているときのコマンド実行結果を以下に示します。
# show status switch control lan1 [00:a0:de:7e:4e:b7] 機種名 : SWX2200-8G 機器名 : SWX2200-8G_S36006291 経路 : lan1:2 アップリンク: 1 設定用経路 : lan1:2 設定 : なし [00:a0:de:2a:db:e9] 機種名 : SWX2200-24G 機器名 : SWX2200-24G_X00000315 経路 : lan1:2-6 アップリンク: 10 設定用経路 : lan1:2-5 設定 : switch select lan1:2-5 [00:a0:de:7d:83:18] 機種名 : SWX2200-8G 機器名 : SWX2200-8G_S37001004 経路 : lan1:2-6-13 アップリンク: 7 設定用経路 : lan1:2-5-13 設定 : switch select lan1:2-5-13 #
switch control route backupコマンドの設定は、switch control function setコマンドによる設定と同様に、設定の同期が行われます。
[構成A]では、スイッチAにも設定内容が保存されています。
またswitch control route backupコマンドは、switch control function setコマンドの設定状態に関わらず、設定することができます。このため、MACアドレス指定の設定が適用されているスイッチに対しても、本機能を設定することができます。
switch control function defaultコマンドでは、switch control route backupコマンドの設定は削除されません。no switch control route backupコマンドで削除してください。
ルーターのスイッチングハブでは、LANインタフェースでswitch control useコマンドがonに設定されている場合にのみ、本機能が動作します。
本機能を使用しながら、ファームウェアの更新や設定の同期が起こるようなスイッチの操作を行わないでください。これらの処理の中には、一度スイッチの全設定を初期化する処理が含まれており、このため本機能の設定も削除されてループが発生してしまうことがあります。
本機能を使用する場合、設定方法やLANケーブルを接続するポートを誤るとループが発生してしまうことがあります。show status switch control route backupコマンドで本機能の動作状態をよく確認して、設定を行ってください。
switch control route backup lan1:2-5 6
状態 | 説明 |
none | LANケーブル二重化機能が動作していない |
active | 通信が可能な経路として動作している |
force-linkdown | LANケーブル二重化機能によってリンクダウンしている |
blocking | LANケーブル二重化機能によって通信が遮断されている |
本機能をGUIから設定・動作確認することができます。
LANケーブル二重化機能の設定・動作確認方法は機種によって異なります。
機種 | ファームウェア | 詳細 |
---|---|---|
RTX1300 | Rev.23.00.03 以降 | LANマップ |
RTX1220 | Rev.15.04.01 以降 | |
RTX830 | Rev.15.02.01 以降 | |
NVR510 | Rev.15.01.02 以降 | |
NVR700W | Rev.15.00.02 以降 | |
RTX1210 | Rev.14.01.05 以降 | |
FWX120 | Rev.11.03.04 以降 | スイッチ制御GUI |
RTX810 | Rev.11.01.12 以降 | |
NVR500 | Rev.11.00.23 以降 | |
RTX1200 | Rev.10.01.45 以降 |
本機能において出力されるSYSLOGメッセージを以下に示します。実際に出力されるメッセージには "[SWCTL] route:" というプレフィックスが付加されます。routeはLANケーブル二重化機能が設定されているメイン経路です。
レベル | 出力メッセージ | 意味 |
---|---|---|
INFO | switched to backup | メイン経路からバックアップ経路に切り替わった |
recovered from backup | バックアップ経路からメイン経路に切り戻った |
[EOF]