$Date: 2020/03/25 01:05:03 $
この文書ではRev.8.01系以降で搭載されたSIP-NAT機能について,主に制限事項と設定例について解説します.文書の最後ではSIP-NATの仕組みについても解説しておきます.
通常のNATでは,IPヘッダのIPアドレスのみを変換し,IPヘッダよりも後の部分に含まれるIPアドレスは変換しません.したがって,通常のNATでSIPのパケットを処理すると,IPヘッダのIPアドレスとIPヘッダ以降のIPアドレスが一致しなくなります.SIP-NAT機能は,SIPのパケットに対してNATを適用するときに,IPヘッダのIPアドレスだけではなく,SIPのメッセージに含まれるIPアドレスを同時に変換します.これにより,NATを使って回線に接続するような環境で,LAN側にVoIP端末を配置して使用することが可能になります.
○SIP メッセージに含まれる IP アドレスを書き換えるか否かの設定
設定値 | 説明 |
---|---|
on | 変換する |
off | 変換しない |
auto | sip use コマンドの設定値に従う |
上記コマンド設定でSIP-NAT機能を「使用する」に設定しただけでは配下に置いたVoIP機器での音声通話は出来ません.ネットボランチ製品やRTV700ではSIPメッセージにポート5060を使用し,RTP/RTCPにはポート5004-5059を使用しています.これらについてNATやIPマスカレードの設定を行う必要があります.また,IPパケット・フィルタの設定がある場合には,それについても設定する必要があります.それぞれの詳細については,技術資料:ファイアウォール,技術資料:NAT、IPマスカレードなどを参照してください.
プロバイダ接続 : : +--------+--------+ | [ LAN2 ] | | | | | [ SIP-NAT ] | | | | | [ LAN1 ] | RTX1000 +--------+--------+ |192.168.0.1 | 192.168.0.0/24 -------------+----+-------------------------------------------------- | |192.168.0.2 +----+----+ | RTV700 | +---------+ | | | | PBX等と接続
上記のようなネットワーク接続の場合,LAN1に繋がっているRTV700にSIPで使用するポート5060とRTP/RTCPで使用するポート5004-5059を192.168.0.2に向ける設定にすれば,RTV700のVoIP機能を利用することが可能になります.以下はRTX1000の設定例です.配下に置くVoIP機器の設定については,各機器のマニュアル等を参考にしてください.
===RTX1000=== ip route default gateway pp 1 ip lan1 address 192.168.0.1/24 pp select 1 pppoe use lan2 pp auth accept pap chap pp auth myname *** *** ppp lcp mru on 1454 ppp ipcp ipaddress on ppp ccp type none ip pp secure filter in 1 ip pp nat descriptor 1 pp enable 1 ip filter 1 pass * * udp * 5004-5060 nat descriptor type 1 masquerade nat descriptor masquerade static 1 1 192.168.0.2 udp 5004-5060 nat descriptor sip 1 on
SIP-NAT機能では,送信先ポート番号または送信元ポート番号が5060ならば,SIPのリクエストメッセージかレスポンスメッセージかを判別し,SIPメッセージの以下の条件に一致した部分の書き換えを行います.また,ヘッダはコンパクトヘッダにも対応しています.
(※1)o=行の書き換えに関しては、Rev.8.01.18、Rev.8.02.28、以降の全てのリビジョンで対応
(※2)Rev.8.01.18、Rev.8.02.40、以降の全てのリビジョンで対応
(※3)Rev.8.01.24、Rev.8.03.37、Rev.9.00.15、以降の全てのリビジョンで対応
(※4)Rev.8.03.82、Rev.9.00.43、Rev.9.01.41、Rev.10.00.44、Rev.10.01.11以降の全てのリビジョンで対応