RTシリーズの優先制御/帯域制御に関するFAQ

帯域検出機能を使った帯域の測り方を教えてください。

[ 目次 ]

• 帯域は、測れますか？
• 帯域を測ってみました。(帯域の測定結果例)
• 2006/1/30の測定例
• 2006/4/3の測定例
• 2006/4/24の測定例
• 基本設定
• 評価用サンプル設定
• tips
• 関連情報

[ 帯域は、測れますか？ ]

• 帯域は測れますか？

  帯域検出機能を利用することで、ルーター間の帯域を測ることができます。

  帯域検出機能は、QoS機能と併用することを想定した帯域を測定する機能ですが、 QoS機能へ適用しないで、帯域測定だけに利用することも可能です。

  詳しい機能説明は、[技術資料]の[帯域検出機能]を参照してください。

[ 帯域を測ってみました。(帯域の測定結果例) ]

• 2006/1/30の測定例

  背景：
  東京と大阪との間をFTTHを利用して、インターネットVPNを張っています。 この回線のVPN装置として、RTX3000を設置し、土曜日、日曜日と2日間、帯域を測定してみた。

  

  レビュー：
  当時は、予想以上に「回線が暴れている」と言う事実がショッキングでした。 時間が経つにつれ、本来60秒周期で測定させているはずなのに、1時間周期(3600秒周期)のグラフになっていることを解明する必要がでてきた。

• 2006/4/3の測定例

  背景：
  東京と大阪との間をFTTHを利用して、インターネットVPNを張っています。 「2006/1/30の測定」では、60秒周期の測定ができなかったので、「測定パケットを100個に増やす」という安定測定のための改善策を確認するために同一回線で再測定を行った。 この回線のVPN装置として、RTX3000を設置し、土曜日、日曜日と2日間、帯域を測定してみた。

  

  レビュー：
  このグラフを「魚群探知機」と呼んでいる。
  「測定パケットを100個に増やす」という安定測定の改善策が有効に働き、本来の目的である60秒周期での測定ができた。しかし、「回線が暴れる」というより「瞬間的な変動がとても大きい」という状態を証明する結果になった。改めて、ベストエフォート回線であることを実感した。
  ここで、この測定は、休日に行っていたのだが、金曜日の夕方と月曜日の朝方に着目した。この時間帯では、「有効利用できる帯域が減っている」という疑念を持った。

• 2006/4/24の測定例

  背景：
  東京と大阪との間をFTTHを利用して、インターネットVPNを張っています。 「2006/4/3の測定」では、やっと安定した帯域測定ができるようになり、実際の帯域変動の把握と実用的なQoSの掛け方を検証するために、「約1週間の帯域測定」と「緩やかに追従するQoS適用」を行った。(帯域検出機能の実証)

  設定を次のようにし、「実際にQoS適用された速度」をグラフ化している。

  cooperation bandwidth-measuring remote 2 server * initial-speed=5m interval=60 sensitivity=low syslog=on apply=on limit-rate=5 number=100

  

  レビュー：
  「2006/4/3の測定結果」で見られる「瞬間的変動」に対して、傾向的に追従している様子がわった。また、金曜日の夕方と月曜日の朝方に着目した「平日の帯域」の様子がわかった。
  2件の期待通りの確認ができた。
  

  1. 瞬間的な変動に対して、「緩やかに追従するQoS適用」している状態の確認
  2. FTTH回線の利用状態として、平日の昼間が混雑している状態の確認

[ 基本設定 ]

• ネットワーク構成の概要

  「拠点#1から拠点#2へ」利用可能な帯域を測ろうとした場合、拠点#1は、 帯域検出機能のクライアントとして設定し、拠点#2は、帯域検出機能の サーバーとして設定する。

  ________________ 　 ＜拠点#1＞ ／ ＼ ＜拠点#2＞ [RTX1500]----| ネットワーク |----[RTX1500] ＼ ／ 172.16.1.1 ~~~~~~~~~~~~~~~~ 172.16.2.1

  帯域検出 測定対象 帯域検出 (クライアント) (サーバー) [測定パケット]→→→→(未知の特性)→→→→[応答パケット] ↓ 帯域測定結果計算←←←←←←←←←←←←←←測定結果

• 基本のクライアント機能設定
  • クライアント機能を有効にする。
  • 通信相手のサーバーを必要なオプションと一緒に登録する。
  • 周期起動しない場合には、"interval=off"を指定する。
  • 測定結果をQoSに適用しない場合には、"apply=off"を指定する。

• 基本のサーバー機能設定
  • サーバー機能を有効にする。
  • 通信相手のクライアントを登録する。

• オプション機能について

  詳しくは、[技術資料]の[帯域検出機能]を参照してください。

  オプション名	説明	初期値
  apply	測定結果をLANインタフェースの速度設定に反映させるか否か、'on' or 'off'	on
  port	相手側が使用するUDPのポート番号	59410
  initial-speed	測定開始値[bit/s]	10000000
  interval	定期監視間隔(60-2147483647)[sec] or 'off'	3600
  sensitivity	測定感度、'high', 'middle' or 'low'	high
  syslog	動作をログに残すか否か、'on' or 'off'	off
  interface	測定結果を反映させるLANインタフェース	設定なし
  class	測定結果を反映させるクラス	設定なし
  limit-rate	設定値の最大変化割合[%]	設定なし
  number	測定に使用するパケット数(5〜100)	30

  • ”apply=off” : 測定のみ
  • ”interval=off” : 手動実行のみ
  • ”sensitivity=low” : パケットロスが多く測定が失敗する場合には、測定感度を下げることで測定が成功しやすいが精度が落ちる。
  • ”syslog=on” : ログを残す

• オプション機能の使い分け

  詳しくは、[技術資料]の[帯域検出機能]を参照してください。

  ◎：	必須の設定
  ○：	設定可能
  ×：	設定不可

  設定項目		設定値	サーバ側設定		クライアント側設定
  			必要性	初期値	必要性	初期値
  ID		1〜100	◎	-	◎	-
  ROLE		server,client	◎	-	◎	-
  ADDRESS		(注1)	◎	-	◎	-
  OPTION	apply	on,off	×	-	○	on
  	port	ポート番号を示す10進数	○	59410	○	59410
  	initial-speed	[bit/s]	×	-	○	10M
  	interval	60〜2147483647[sec],off	×	-	○(注2)	3600
  	sensitivity	high,middle,low	×	-	○	high
  	syslog	on,off	○	off	○	off
  	interface	LANインタフェース	×	-	○	設定なし
  	class	クラス	×	-	○(注3)	設定なし
  	limit-rate	[%]	×	-	○	設定なし
  	number	個	×	-	○	30

  [注意事項]
  

  注1：	IPアドレスまたはFQDNまたはanyが設定可能。クライアント側が不定IPアドレスの場合はサーバ側でanyを設定する。
  注2：	"interval=off"である場合、測定終了後の定期的な確認設定を行わない。また、測定に失敗した場合にはintervalで指定した間隔に関係なく次の測定までに3600秒がセットされる。
  注3：	"class"オプションは、帯域制御機能が実装されている機種だけで利用可能である。帯域検出結果を帯域制御のクラスの上限値に設定する場合に利用する。

• 基本設定 (片方向)

  拠点#1/クライアント側設定 (172.16.1.1)

  cooperation bandwidth-measuring client on cooperation bandwidth-measuring remote 1 server 172.16.2.1 interval=off syslog=on apply=off

  拠点#2/サーバー側設定 (172.16.2.1)

  cooperation bandwidth-measuring server on cooperation bandwidth-measuring remote 1 client 172.16.1.1 syslog=on

• 基本設定 (双方向)

  拠点#1設定 (172.16.1.1)

  cooperation bandwidth-measuring server on cooperation bandwidth-measuring client on cooperation bandwidth-measuring remote 1 server 172.16.2.1 interval=off syslog=on apply=off cooperation bandwidth-measuring remote 1 client 172.16.2.1 syslog=on

  拠点#2設定 (172.16.2.1)

  cooperation bandwidth-measuring server on cooperation bandwidth-measuring client on cooperation bandwidth-measuring remote 1 server 172.16.1.1 interval=off syslog=on apply=off cooperation bandwidth-measuring remote 1 client 172.16.1.1 syslog=on

• クライアント側でログを残す？ (帯域検出機能のクライアント側のsyslogオプション設定)

  syslog=off

  ※測定結果のみ記録する 2006/03/17 16:28:57: [COOPERATION] 1: Measuring was ended at 12273[kbit/s]

  syslog=on

  ※一つ一つの測定の記録を残す 2006/03/17 16:28:55: [COOPERATION] 1: BANDWIDTH-MEASURING STARTS 2006/03/17 16:28:57: [COOPERATION] 1: data loss 1, but acceptable 2006/03/17 16:28:57: [COOPERATION] 1: Tried 12273[kbit/s], Result 12019[kbit/s] 2006/03/17 16:28:57: [COOPERATION] 1: OK 2006/03/17 16:28:57: [COOPERATION] 1: Measuring was ended at 12273[kbit/s] 2006/03/17 16:28:57: [COOPERATION] 1: Next try 13500[kbit/s]

• サーバー側でログを残す？ (帯域検出機能のサーバー側のsyslogオプション設定)

  syslog=off

  ※ログは、残さない。

  syslog=on

  ※一つ一つの測定の記録を残す 2006/03/17 16:30:42: [COOPERATION] 1: BANDWIDTH-MEASURING RESULTS 2006/03/17 16:30:42: [COOPERATION] 1: Client sent at 12273[kbit/s] 2006/03/17 16:30:42: [COOPERATION] 1: Tx timing average 294341[ns] 2006/03/17 16:30:42: [COOPERATION] 1: Rx timing average 294199[ns] at 400/27 2006/03/17 16:30:46: [COOPERATION] 1: Data waiting timeouts

[ 評価用サンプル設定 ]

• サンプル#1: 最もシンプルな構成
• サンプル#2: VPN(IPsec)あり
• サンプル#3: VPN(IPsec)あり、IPマスカレードあり

[ tips ]

• 測定できないときのクライアント側ログの例

  クライアント側でサーバー宛の経路が不足している。

  2005/01/23 16:29:10: [COOPERATION] 1: BANDWIDTH-MEASURING STARTS 2005/01/23 16:29:10: [COOPERATION] 1: Cannot find the route 2005/01/23 16:29:10: [COOPERATION] 1: Cannot make header 2005/01/23 16:29:10: [COOPERATION] 1: Cannot make START packet

  クライアント側でゲートウェイが見つからない。

  2006/03/20 07:53:45: [COOPERATION] 1: BANDWIDTH-MEASURING STARTS 2006/03/20 07:53:46: [COOPERATION] 1: Cannot send packet (no arp reply) 2006/03/20 07:53:46: [COOPERATION] 1: Cannot make header 2006/03/20 07:53:46: [COOPERATION] 1: Cannot make START packet

  サーバーからの返事が返ってこない。3600秒後に再測定を行う。

  2005/01/23 17:28:43: [COOPERATION] 1: BANDWIDTH-MEASURING STARTS 2005/01/23 17:28:46: [COOPERATION] 1: Acknowledgment waiting timeouts 2005/01/23 17:28:46: [COOPERATION] 1: Gives it up by the timeout counter 2005/01/23 17:28:46: [COOPERATION] 1: Next try 10[Mbit/s], wait 3600[secs]

• 帯域測定に失敗しやすい状態(回線)での対策例

  [ 帯域測定に失敗しやすい状態(回線)とは？ ]

  • パケットロスが多い
  • 遅延や揺らぎが多い
  • 太い帯域(高速帯域)で、測定精度誤差の影響が大きくなりやすい

  帯域測定において、上記のような環境要因があると、 測定がうまく行かず、次のようなログを残して、測定を中断することがある。

  サーバーからの返事が返ってこない。3600秒後に再測定を行う。

  2005/01/23 17:28:43: [COOPERATION] 1: BANDWIDTH-MEASURING STARTS 2005/01/23 17:28:46: [COOPERATION] 1: Acknowledgment waiting timeouts 2005/01/23 17:28:46: [COOPERATION] 1: Gives it up by the timeout counter 2005/01/23 17:28:46: [COOPERATION] 1: Next try 10[Mbit/s], wait 3600[secs]

  [ 対策例 ]

  • 測定感度を下げてみる。

    sensitivityオプションにて、'high'から'middle', 'low'に下げてみる。

    パケット 間隔のゆらぎが大きかったりパケットロスのある環境では、測定感度を鈍く することで、頻繁な設定変更を抑制したり測定完了までの時間を短縮するこ とができる。

  • 測定パケット数を増やしてみる。

    numberオプションにて、30個(標準)から増やしてみる。(最大100個)

    パケッ ト間隔のゆらぎが大きい環境ではこの数を多くすることで、より安定した 結果が得られる。ただし測定に使用するパケットの数が増えるため測定パ ケットが他のデータ通信に与える影響も大きくなる可能性がある。

• 回線障害の可能性があるログの例

  クライアント側のログ

  [COOPERATION] 1: End waiting timeouts

  [COOPERATION] 1: Acknowledgment waiting timeouts

  サーバー側のログ

  [COOPERATION] 1: No data

  [COOPERATION] 1: Data waiting timeouts

• 帯域測定の実行状態を把握する。
  • “cooperation bandwidth-measuring go”コマンドには、実行状態を表示する機能がありません。
  • コンソールにログを表示させて、実行状態を把握します。
  • “cooperation bandwidth-measuring remote ID server”コマンドのオプションに“syslog=on”を追加し、帯域測定結果をログに記録させる。
  • “console info on”を設定し、ログをコンソールに表示させる。

• 経路設定を省く。(複数ルーター利用の動作確認)
  • 動的経路制御を利用すると、設定が簡単になる。

    rip use on
    

    ※検証の際は、経路の確認をする。⇒show ip route
    ※未接続のLAN経路は、伝達されない。
    

  • 静的経路を利用すると、経路設定が煩雑になるが、細かく経路を指定できる。

    1. ip route default gateway 172.16.1.100
       

    2. ip route 172.16.2.0/24 gateway 172.16.1.100
       ip route 192.168.2.0/24 gateway 172.16.1.100
       

• 測定パケットなどの確認

  IPフィルタを利用してパケット種別を記録する (擬似ネットワークとして利用するRTX1500のLAN3を通過するパケットの観測)

  ip lan3 secure filter in 1 ip lan3 secure filter out 1 ip filter 1 pass-log * * * * * syslog notice on

  帯域検出の測定パケット(UDP/59410)の記録例

  LAN3 Passed at OUT(1) filter: UDP 172.16.1.1:59410 > 172.16.2.1:59410 LAN3 Passed at IN(1) filter: UDP 172.16.2.1:59410 > 172.16.1.1:59410

  RIPパケット(UDP/500)の記録例

  LAN3 Passed at OUT(1) filter: UDP 172.16.2.100:520 > 172.16.2.255:520 LAN3 Passed at IN(1) filter: UDP 172.16.2.1:520 > 172.16.2.255:520

  ICMPパケット(ping, echo request/reply)の記録例

  LAN3 Passed at OUT(1) filter: ICMP 172.16.1.1 > 172.16.2.1 : echo request LAN3 Passed at IN(1) filter: ICMP 172.16.2.1 > 172.16.1.1: echo reply

  VPNパケット(IKE,UDP/500)の記録例

  LAN3 Passed at OUT(1) filter: UDP 172.16.1.1:500 > 172.16.2.1:500 LAN3 Passed at IN(1) filter: UDP 172.16.2.1:500 > 172.16.1.1:500

  VPNパケット(ESP)の記録例

  LAN3 Passed at OUT(1) filter: ESP 172.16.1.1 > 172.16.2.1(SPI=0xccd18ae3) LAN3 Passed at IN(1) filter: ESP 172.16.2.1 > 172.16.1.1 (SPI=0xa88bb9e0)

• 変動する帯域を擬似する。

  擬似ネットワークとして利用するRTX1500において、“schedule”コマンドで帯域制限速度を変化させる

  擬似ネットワークのRTX1500設定例

  schedule at 1 */* 0:00 * speed lan3 10m schedule at 2 */* 2:05 * speed lan3 12m schedule at 3 */* 4:10 * speed lan3 14m schedule at 4 */* 6:15 * speed lan3 16m schedule at 5 */* 8:20 * speed lan3 18m schedule at 6 */* 10:25 * speed lan3 20m schedule at 7 */* 12:30 * speed lan3 18m schedule at 8 */* 14:35 * speed lan3 16m schedule at 9 */* 16:40 * speed lan3 14m schedule at 10 */* 18:45 * speed lan3 12m schedule at 11 */* 20:50 * speed lan3 10m schedule at 12 */* 22:55 * speed lan3 8m

  schedule実行結果のログ

  2006/01/26 12:30:00: [SCHEDULE] speed lan3 18m 2006/01/26 12:30:10: Configuration saved in "CONFIG0"

[ 関連情報 ]

• FAQ
  • 帯域を測ってみよう
    • サンプル#1: 最もシンプルな構成
    • サンプル#2: VPN(IPsec)あり
    • サンプル#3: VPN(IPsec)あり、IPマスカレードあり
• 技術資料
  • 帯域検出機能
  • 負荷通知機能
• PDF書庫
  • 帯域を測ってみよう(2006/3/27)
  • 帯域測定結果と帯域の測り方(2006/4/24)
• 画像
  • あるFTTHの帯域測定結果例(2006/1/30版,時々測定不能)
  • あるFTTHの帯域測定結果例(2006/4/3版,測定を安定させる方法)
  • あるFTTHの帯域測定結果例(2006/4/24版,バタバタする回線でゆっくり追従するQoSを1週間適用)

[ FAQ for RT-Series ]
[ FAQ for Queue / files ]