ポート認証機能


1 機能概要

ポート認証機能は機器またはユーザーを認証する機能です。
LAN/SFPポートに接続された機器を認証し、認証に成功した機器のみLANへのアクセスを許可することができます。
また、未認証の機器や認証に失敗した機器は、LANへのアクセスを拒否したり、特定のVLANへのアクセスのみ許可することができます。


2 用語の定義

IEEE 802.1X

LAN接続時に使用する認証規格。

オーセンティケータ

LAN/SFPポートに接続されたサプリカントを認証する機器またはソフトウェア。
サプリカントと認証サーバーの間を中継し、認証の成否によりLANへのアクセスを制御します。

サプリカント

オーセンティケータに接続して認証を受ける機器またはソフトウェア。

認証サーバー

オーセンティケータを介して、接続されたサプリカントを認証する機器またはソフトウェア。
ユーザー名、パスワード、MACアドレス、所属VLAN等の認証情報を管理します。

EAP (Extended authentication protocol)

PPPを拡張して各種の認証方式を使用できるようにした認証プロトコル。
RFC3748で規定されます。

EAP over LAN (EAPOL)

EAPパケットをサプリカントとオーセンティケータ間で伝送するためのプロトコル。

EAP over Radius

EAPパケットをオーセンティケータと認証サーバー(RADIUSサーバー)間で伝送するためのプロトコル。

EAP-MD5 (Message digest algorithm 5)

ユーザー名とパスワードによるクライアント認証。
MD5ハッシュ値を使用して認証します。

EAP-TLS (Transport Layer Security)

サーバーとクライアントの電子証明書による相互認証。
トランスポート層を暗号化して電子証明書を交換して認証します。
RFC2716、RFC5216で規定されます。

EAP-TTLS (Tunneled TLS)

EAP-TLSの拡張版。
サーバーの電子証明書を用いてTLS通信路を構築し、その暗号化された通信路内でパスワードによりクライアントを認証します。
RFC5281で規定されます。

EAP-PEAP (Protected EAP)

動作原理はEAP-TTLSと同等(暗号トンネル内のプロトコルの違いのみ)。
サーバーの電子証明書を用いてTLS通信路を構築し、その暗号化された通信路内でパスワードによりクライアントを認証します。


3 機能詳細

ポート認証機能の動作仕様について以下に示します。
本製品は、ポート認証機能としてIEEE 802.1X認証方式をサポートします。
各認証方式には、以下の表に示す特徴があります。

本製品は、認証サーバーとしてRADIUSサーバーを想定します。

また本製品のポート認証機能には以下の制限がありますので、ご注意ください。

3.1 IEEE 802.1X認証

IEEE 802.1X認証では、EAPを使用して機器またはユーザー単位で認証を行います。
認証を受けるサプリカントは、IEEE 802.1X認証に対応している必要があります。

本製品は、サプリカントとはEAP over LAN、RADIUSサーバーとはEAP over RADIUSを使用して通信を行うオーセンティケータとして動作します。
認証処理自体はサプリカントとRADIUSサーバー間で直接行われます。

本製品は、認証方式として、EAP-MD5、EAP-TLS、EAP-TTLS、EAP-PEAPに対応します。
各認証方式の特徴を以下の表に示します。

使用する認証方式にあわせて、サプリカント、RADIUSサーバーの設定をしてください。

IEEE 802.1X認証の基本的な手順は以下の図のようになります。

サプリカントがLANへ接続され、サプリカントが通信開始メッセージ(EAPOL-Start)を送信することで認証を開始されます。

認証に成功すると、サプリカントに認証成功(Success)を通知し、サプリカントのMACアドレスをFDBに登録することで、サプリカントのネットワークアクセスを許可します。

認証に失敗すると、サプリカントに認証失敗(Failure)を通知され、サプリカントのネットワークアクセスを拒否します。
(未認証の状態でもゲストVLANが設定されている場合、特定のVLANへのアクセスを許可することも可能です。)

3.2 MAC認証

MAC認証では、機器のMACアドレスを使用して機器単位で認証を行います。
認証を受けるサプリカントに特別な機能が不要なため、IEEE 802.1X認証に対応していない機器でも認証可能です。

MAC認証の基本的な手順は以下の図のようになります。

本製品は、サプリカントから任意のイーサネットフレームを受信すると、サプリカントのMACアドレスをユーザー名およびパスワードとしてRADIUSサーバーに問い合わせます。
本製品とRADIUSサーバー間の認証方式は、EAP-MD5を使用します。

認証に成功すると、FDBにサプリカントのMACアドレスを登録して、サプリカントのネットワークアクセスを許可します。
なお、MAC認証のスタティック登録の設定(auth-mac static コマンド)により、スタティックエントリーとして登録することができます。

認証に失敗すると、サプリカントのネットワークアクセスを拒否します。
(未認証の状態でもゲストVLANが設定されている場合、特定のVLANへのアクセスを許可することも可能です。)

RADIUSサーバーには、ユーザー名とパスワードとして、以下のいずれかの形式で、サプリカントのMACアドレスを登録しておく必要があります。

本製品では、 auth-mac auth-user コマンドで、RADIUSサーバーに問い合わせるMACアドレスの形式を変更できます。
RADIUSサーバーに登録されているMACアドレスの形式にしたがってコマンドを適切に設定してください。

3.3 認証機能の併用

本製品では、同一ポート上でIEEE 802.1X認証、MAC認証をそれぞれ併用することができます。
併用時の認証は、認証順序の設定(auth orderコマンド)にしたがって順番に行われ、デフォルト設定の場合はIEEE 802.1X認証が優先されます。

複数の認証方式が併用されている場合の基本動作は以下のようになります。



note

3.4 ホストモード

本製品では、ポート認証機能において、ホストモードを選択できます。
ホストモードとは、認証ポートで対象サプリカントの通信をどのように許可するかを示すものです。

本製品では、ホストモードして以下を選択できます。

3.5 ダイナミックVLAN

本製品のIEEE802.1X認証およびMAC認証でダイナミックVLANに対応します。
ダイナミックVLANとは、RADIUSサーバーから通知された認証情報のVLAN属性値に基づいて、認証ポートの所属VLANを変更する機能です。

上の図のように、ポートの所属VLANが1、認証情報で通知されたVLAN属性値が10の場合、認証成功後、認証ポートの所属VLANは10として、VLAN 10上で通信を許可します。

RADIUSサーバーに対して、サーバーからの認証情報に以下の属性値が含まれるように設定してください。

ダイナミックVLANを利用する場合、各ホストモードで以下の動作となります。

3.6 未認証・認証失敗ポートのVLAN

本製品のIEEE802.1X認証とMAC認証では、ゲストVLAN設定をすることにより、未認証のポートや認証に失敗したポートを特定のVLANに割り当てることができます。
マルチサプリカントモードの場合は、サプリカント単位で指定することができます。

上の図のように、認証に成功していないサプリカントにも制限されたネットワークで一部の機能を提供したい場合に有用です。

3.7 RADIUSサーバー無応答時の認証

本製品では、RADIUSサーバー無応答時に、認証が成功したものとして動作させることができます。
RADIUSサーバー無応答時の認証の設定 (auth no-response-authorized コマンド) を有効にすることで、IEEE802.1X認証、MAC認証の各認証において、
RADIUSサーバーからの応答がなくタイムアウトした場合、それぞれの認証方式で認証が成功したものとして動作します。
なお、本機能を使用する場合は再認証の設定をしてください。再認証の間隔を適切に設定することで、一時的に認証許可された状態を限定的にすることができます。

3.8 EAPパススルー機能

EAPパススルーの有効/無効を切り替え、EAPOLフレームの転送可否を設定することができます。
802.1X認証機能が有効なインターフェースについては認証機能を優先し、EAPパススルーの設定は適用されません。

3.9 RADIUSサーバーに通知する属性値

RADIUSサーバーに、NAS-Identifier属性値を通知することができます。
auth radius attribute nas-identifier コマンドで設定した文字列を、NAS-Identifier属性値としてRADIUSサーバーへ通知します。


4 関連コマンド

関連コマンドについて、以下に示します。
コマンドの詳細は、コマンドリファレンスを参照願います。


5 コマンド実行例

5.1 IEEE 802.1X認証の設定

IEEE 802.1X認証を使用できるように設定します。

  1. システム全体で、IEEE 802.1X認証機能を有効にします。
    Yamaha(config)#aaa authentication dot1x
    
  2. LANポート #1 で、IEEE 802.1X認証の設定を行います。
    Yamaha(config)#interface port1.1
    Yamaha(config-if)#dot1x port-control auto         ... (IEEE 802.1X認証の動作モードをautoにする)
    Yamaha(config-if)#auth host-mode multi-supplicant ... (ホストモードをマルチサプリカントモードにする)
    Yamaha(config-if)#exit
    
  3. RADIUSサーバーの設定を行います。
    Yamaha(config)#radius-server host 192.168.100.101 key test1
                         (ホストを192.168.100.101、共有パスワードを"test1"にする)
  4. RADIUSサーバー設定情報を確認します。
    Yamaha#show radius-server
    Server Host : 192.168.100.101
     Authentication Port : 1812
     Secret Key          : test1
     Timeout             : 5 sec
     Retransmit Count    : 3
     Deadtime            : 0 min
    
  5. ポート認証情報を確認します。
    Yamaha#show auth status
    [System information]
      802.1X Port-Based Authentication : Enabled
      MAC-Based Authentication         : Enabled
    
      Clear-state time : Not configured
      No-response Authorized           : Disabled
    
      RADIUS server address :
        192.168.100.101 (port:1812)
    
      NAS-Identifier :
    
    [Interface information]
      Interface port1.1 (up)
       802.1X Authentication      : Auto (configured:auto)
       MAC Authentication         : Disabled (configured:disabled)
       Host mode                  : Multi-supplicant
       Authentication order       : 802.1X -> MAC
       Dynamic VLAN creation      : Disabled
       Guest VLAN                 : Disabled
       Reauthentication           : Disabled
       Reauthentication period    : 3600 sec
       MAX request                : 2 times
       TX period                  : 30 sec
       Supplicant timeout         : 30 sec
       Server timeout             : 30 sec
       Quiet period               : 60 sec
       Controlled directions      : In (configured:both)
       Protocol version           : 1
       Clear-state time           : Not configured
    

6 注意事項

本製品は、EAPOLバージョン1で動作します。


7 関連文書

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