IPv6 FAQ

IPv6に関する一般的な質問


1. IPv6の利点は何ですか?

IPv6の大きな利点はNATが不要になることです。 IPv4では、IPアドレスの不足を解決するためにNATが広く使われていますが、 NATには以下の問題があります。

IPv6では、アドレスを潤沢に利用できるのでNATは不必要であり、 以上の問題は解消されることになります。

NATがなくなることによって、端末間で双方向の通信を実現できるようになります。 たとえば、ファイルを送信したいときに、 IPv4ではメールサーバやWWWサーバを介してファイルを送信しますが、 IPv6では直接ファイルを送信できるようになります。


2. IPv6のセキュリティはどのように確保されますか?

IPv4では、セキュリティを高めるために、しばしばNATが用いられてきました。 NATは通信の双方向性を阻害し、外敵の侵入を防ぎます。 しかしながら、 IPv6ではNATを使用するメリットは減り、 NATを使用しない構成が主流になるでしょう。 また、IPv6で獲得された双方向性を生かすためには、 双方向性を前提としたセキュリティを考えていく必要もあります。

これに対する直接的な対応としては、 端末のセキュリティを高めることが考えられます。たとえば、 IPsecやParsonal Firewallなどの導入があげられます。 しかしながら、世の中のすべての端末がこのような機能を持つことは、 現実的ではありません。したがって、実際には、 経路の途中でファイアウォールなどの装置を設置し、 両者を併用することになると思われます。

IPv4で広く用いられているパケットフィルタは IPv6でも広く利用されると思われます。 また、NATのような通信の非対称性(片方向性)を保証するために、 ダイナミックフィルタが使われることになるでしょう。


3. 既存のネットワークに影響を与えないで IPv6ファームウェアを導入できますか?

RTシリーズでは、IPv4の機能を維持しているので、 IPv6対応ファームウェアをインストールしても、 既存のネットワークに影響を与えることは少ないと思われます。 しかしながら、接続先がRTシリーズでないときには、 PPPの接続に問題が生じる可能性があります。たとえば、 RTシリーズがIPv6の接続を要求したときに、 この要求を不正に解釈し、間違って動作する機器があるかもしれません。


4. IPv6ではアドレスを設定する必要はないのですか?

IPv6ではアドレスを自動的に設定する機構が備わっています。ただし、 この機構はホストに対するものであり、ルータには適用されません。 つまり、ルータではアドレスを手動で設定する必要があります。 なお、 最近になって、 ルータのアドレスを自動で設定する仕組みが用意されつつあるので、 近い将来においては、 ルータについてもアドレスを設定する必要がなくなるかもしれません。


5. IPv4のようにISPからアドレスを割り当ててもらう仕組みはないのですか?

ルータにアドレスを割り当ててもらう仕組みはありませんので、 手動でIPv6アドレスを設定して使用してください。 なお、リンクローカルアドレスについては、接続時に自動的に設定されますが、 これはひとつのリンクの中でしか通用しないアドレスなので、 一般の通信で使われることはありません。


6. IPsecをサポートしていますか?

IPv6の仕様にはIPsecが取り込まれており、 Router RenumberingのようにIPsecに依存するプロトコルも多いため、 IPv6のIPsecはIPv4のIPsecよりも広く使われるようになるでしょう。 しかしながら、現時点では、 RTA54iのような低価格の機器にはIPsecを搭載していません。 これらの機器については、 現実の需要に応じてサポートするか否かを判断する予定です。


7. Networld + Interop Tokyo 2001のデモについて教えてください。

この展示会では、 展示会場のIPv6ネットワークを経由して音声を伝送する実験を行います。 実験では、RT60wでサポートされている「機器間アナログ通話機能」 をIPv6に対応させたものをRTA54iに搭載します。 なお、今回の実験で使用するファームウェアは特別仕様であり、 正式にサポートされるファームウェアではありません。

機器間の通話を制御するために MGCP(Media Gateway Control Protocol、RFC2805)を使用しています。 MGCPは、IETFのMegaco Working Groupで議論されている呼制御プロトコルです。 なお、音声圧縮には対応していません。