ftp://ftp.rtpro.yamaha.co.jp/pub/rt/relnote/relnote.03.00.16 Revision : 03.00.16 Release : June 1998, ヤマハ株式会社 RT100i/RT102i/RT200i/RT80i/RT140[iep] Rev.3.00.16リリースノート ========================================================================== ○ Rev.3.00.09からの変更点 ========================================================================== ■機能追加 [1] 優先制御機能を追加した。 仕組み 優先制御は、RT内部において、LAN側から受け取ったパケットをPP側(回線側) に出力する時に、パケットの順番を入れ換えることで実現する。 PP側はLAN側に比べて回線速度が遅いので、LAN側から入ってきたパケットはRT 内部でキューに溜ることになる。キューの長さがある程度以上長くなると、そ れ以上キューにパケットを追加できなくなり、パケット廃棄が発生する。TCP などは、このパケット廃棄が発生しないぎりぎりのタイミングでパケットを送 信することにより、回線速度ぎりぎりのスループットを得ることができるよう 工夫している。 RT内部にキューを複数本用意し、入力側ではパケットをクラス分けすることに より、どのキューにパケットを追加するか選択し、出力側では、複数本あるキュー のどれから次に出力するパケットを選択するかによって、入力された順番では ない順序でパケットを出力することができる。キューの間に優先順位をつけ、 必ず優先順位の高いキューからパケットを出力していくことで、優先制御が実 現できる。 クラス分け 入力されたパケットは、複数のクラスに分類することができる。クラスへの分 類は、以下のとおりに行われる。 IP、IPX、ブリッジ 各プロトコルにおけるフィルタ設定 最大4つのクラスが設定できる。違うクラスに分類されたパケットの間では、 クラスの優先度に応じて転送されるパケットの順番が入れ替わることがある。 同じクラスに分類されたパケットは同じ優先度として扱われ、クラス内では Tail Drop FIFOで管理される。RED(Random Early Detection)はまだ実装され ていない。 優先制御 1〜4の4つのクラスの間で、優先制御を行う。クラスは、数字が大きいほど優 先順位が高い。 インタフェースへの出力ルーチンでは、優先順位が高い方から順番にキューを 見ていき、見つかったパケットを出力する。そのため、優先順位が高いキュー にパケットがある限り、優先順位が低いキューに入っているパケットは、いつ までも出力されない。 コマンド クラス分けのためのフィルタ設定 [コマンドフォーマット] queue class filter NUM CLASS PROTOCOL FILTER [パラメータ] NUM ... クラスフィルタの識別番号、1〜100 CLASS ... クラス、1〜4 PROTOCOL ... パケットのプロトコル ip ... IP ipx ... IPX bridge ... ブリッジ FILTER ... プロトコル毎にパケットフィルタを記述する IP ... SRC-ADDR [DST-ADDR [PROTO [SRC-PORT [DST-PORT]]]] IPX ... SRC-NET [SRC-NODE [DST-NET [DST-NODE [TYPE [SRC-SOCKET [DST-SOCKET]]]]]] ブリッジ ... SRC-MAC [DST-MAC [OFFSET BYTE-LIST]] [説明] クラス分けのためのフィルタを設定する。 パケットフィルタに該当したパケットは、指定したクラスに分類される。 このコマンドで設定したフィルタを使用するかどうか、 あるいはどのような順番で適用するかは、 各インタフェースにおけるqueue class filter listコマンドで設定する。 クラス分けフィルタの削除 [コマンドフォーマット] queue class filter delete NUM [パラメータ] NUM ... クラスフィルタの識別番号、1〜100 [説明] 指定したクラス分けフィルタを削除する。 クラス毎のキュー長の設定 [コマンドフォーマット] pp queue length LEN0 [LEN1...] [パラメータ] LENn ... n番目のクラスのキュー長 [説明] 指定したクラスのキューに入ることのできるパケットの個数を指定する。 設定を省略したクラスに関しては、 最後に指定されたキュー長が残りのクラスにも適用される。 [デフォルト] 20 クラス分けフィルタの適用 [コマンドフォーマット] pp queue class filter list FILTER-NUM... [パラメータ] FILTER-NUM ... フィルタ番号、指定された順番で適用される clear ... 消去 [説明] 選択されているPPに対して、 queue class filterコマンドで設定したフィルタを適用する順番を設定する。 フィルタにマッチしなかったパケットは、 pp queue class defaultコマンドで指定したデフォルトクラスに分類される。 デフォルトクラスの設定 [コマンドフォーマット] pp queue default class CLASS [パラメータ] CLASS ... デフォルトクラス、1〜4 [説明] フィルタにマッチしないパケットを、 デフォルトでどのクラスに分類するかを指定する。 [デフォルト] 2 キューイングアルゴリズムタイプの選択 [コマンドフォーマット] pp queue type TYPE [パラメータ] TYPE ... キューイングアルゴリズム fifo ... 優先制御なし priority ... 優先制御キューイング [説明] 選択したPPに対して、キューイングアルゴリズムタイプを選択する。 [デフォルト] fifo キュークラスフィルタの表示 [コマンドフォーマット] show queue class filter [FILTER_NUM] [パラメータ] FILTER_NUM ... フィルタ番号 [説明] キュークラスフィルタを表示する PP毎のキューの表示 [コマンドフォーマット] show pp queue [PP_NUM] [パラメータ] PP_NUM ... PP番号 [説明] 選択した相手に対して、キューの設定および状態を表示する ■仕様変更 [1] セキュリティゲートウェイ機能で、管理できるSAの最大数を、RT140シリー ズおよびRT200iでは128個に増やした。 [2] セキュリティゲートウェイ機能で、リブート時に新規SAの要求を連続的に 送出するように変更した。これにより、リブート後、通信できるようにな るまでの時間が短くなる。 [3] セキュリティゲートウェイ機能で、連続的に鍵交換に失敗したら自動更新 を止めるようにした。 自動更新を設定しているときに、鍵交換に失敗すると、成功するまで鍵交 換を試みるので、回線が接続したままになってしまう。そこで、自動更新 に失敗し続けたら、自動更新を止めるようにした。 自動更新を復活させるには、再びipsec auto refresh onコマンドを設定 するか、ipsec refresh saコマンドを実行させれば良い。 [4] DHCPサーバ機能で、chaddrフィールドに処理できない値が入っていた場合 にはエラーとするようにした。 [5] ARP要求を発行する場合、必ず自分のプライマリIPアドレスで発行してい たのを、セカンダリネットワーク向けにはセカンダリIPアドレスを使用す るようにした。 [6] (1998/07/15追記) 従来から、PP向けには以下のような限定された優先制御機能が非公開に実 装されていたが、これらは優先制御機能の実装にともない削除された。 ・IPヘッダ中のpriorityフィールドが非0のパケットはpriorityフィール ドが0のパケットより優先される ・TCP/TELNETのパケットは、priorityフィールドが0であっても非0である ものとして扱われ、他のプロトコルでかつpriorityフィールドが0のパ ケットより優先される ・TCP/TELNETを優先するかどうかは'ip fast telnet'コマンドにより制御 できる ■バグ修正 [1] セキュリティゲートウェイ機能で、鍵交換に失敗した時にメモリリークを 生じることがあったのを修正した。 [2] RT140pで、起動時のPRIループバックテストに失敗して、PRIが使えなくな る可能性があったのを排除した。 [3] DHCPサーバ機能で、UNIX系のDHCPクライアントからのリクエストを正しく 処理できないことがあったのを修正した。 [4] セキュリティゲートウェイ機能で、鍵交換を二重に受け付けてしまうバグ を修正した。 [5] bridge groupコマンドで、入力できないインタフェースの組合せがあった のを修正した。 [6] console line infinityの設定で、telnetでの設定中にshow logなどして、 それが終わらないうちにtelnetが切断されると、その後動作が止まってし まうバグを修正した。 [7] rdateコマンドやtelnetコマンドを64回実行すると、65回目で実行できな くなるバグを修正した。 ========================================================================== ○ Rev.2.02.33〜Rev.3.00.09の変更点 ========================================================================== ■機能追加 [1] RT140p/RT140eに対応した。 [2] セキュリティゲートウェイ機能を搭載した。 以上2点に関して、詳しくはコマンドリファレンスやクイックスタートガ イドを参照して欲しい コマンドリファレンス ftp://ftp.rtpro.yamaha.co.jp/rt100i/manual/cmdref.pdf クイックスタートガイド ftp://ftp.rtpro.yamaha.co.jp/rt100i/manual/quick.pdf ■仕様変更 [1] PPPの圧縮で、Predictor-1のサポートを止めた。 [2] show configなどで、PP側のネットマスクをip pp local addressコマンド で表示するよう変更した。 [3] RT140i/e/p、RT80iで、Initスイッチを押していない時にはBRIループバッ クテストをスキップするようにした。 [4] フレームリレーで、静的に設定できるDLCIの数を、BRI/PRIに関わらず1PP あたり96個に増やした。 [5] pp queue lengthコマンドのデフォルト値を10に変更した。