RTX1000等の優先制御の性能

$Date: 2003/10/22 10:02:57 $


概要

RTX1000、RT57i、RTV700の優先制御の性能には限界があります。

処理能力

優先制御を実現するためには通常のルーティング処理に加えて、内部キューイ ング処理やパケット送出タイミング処理等が必要となり、それらのオーバーヘッ ドが発生します。このため制御可能な速度域の限界が生じます。

RTX1000、RT57i、RTV700の場合、これらの処理を行い帯域制限設定値に近いス ループットを実現できるのは、最大約30Mbit/sです。

トラフィック状況やパケットの種類

ショートパケットはロングパケットと比較してルーティング等のQoS以外の内 部処理負荷も高いので、ショートパケットが多く流れる環境下では優先制御が 有効に機能する速度が低下します。

また優先すべきパケットの種類が多い場合はキュー処理に時間を要しますので、 制御が可能となる速度が低下します。

なお受信負荷が高い場合には受信側での取りこぼしが発生し、送信側での優先 制御の効果が現れませんので注意が必要です。RTX1000、RT57i、RTV700では LAN1側スイッチングハブの複数のポートからルータのLAN1の受信に対して同時 に負荷を与えられますが、この時LAN1の受信処理能力をオーバーしパケットロ スが生じる可能性があります。ロスパケットの有無はshow status lan1コマン ドで確認できます。パケットロスが生じる場合には、インタフェースの出力側 で行われる優先制御の効果を期待することはできません。


性能測定データ

パケットサイズと帯域制限実行時のスループットの関係

性能限界と優先制御が有効に機能する速度の目安を示すため、パケットサイズ と帯域制限実行時のスループットの関係を示します。各帯域制限設定値のスルー プット曲線よりも下の領域が、能力的に制御が可能な領域となります。

パケットサイズと帯域制限実行時のスループットの関係(RTX1000) パケットサイズと帯域制限実行時のスループットの関係 サイズ大 パケットサイズと帯域制限実行時のスループットの関係 サイズ中 パケットサイズと帯域制限実行時のスループットの関係 サイズ小

動作実施例

優先制御の動作の一例(RTX1000)

この例では、以下のような条件で測定しています。優先制御を行わない場合は UDPパケットのロス及びレイテンシは TCP と同じですが、優先制御を行うこと でUDPパケットのロスとレイテンシが抑えられることが分かります

優先制御を行わない場合

ip lan1 address 192.168.0.1/24
speed lan2 30000000
ip lan2 address 192.168.1.1/24
優先制御を行わない場合 パケットロス 優先制御を行わない場合 レイテンシ

優先制御を行う場合

ip lan1 address 192.168.0.1/24
speed lan2 30000000
queue lan2 type priority
queue lan2 class filter list 1
ip lan2 address 192.168.1.1/24
queue class filter 1 4 ip * * udp * *
優先制御を行う場合 パケットロス 優先制御を行う場合 レイテンシ