RTX1500の優先制御の性能

$Date: 2004/9/16 19:27:18 $


概要

本ページではRTX1500の優先制御の性能について説明します。

処理能力

RTX1500の優先制御は、ロングパケットにおいては100Mbit/sでも帯域制限規定 値に近い制御を実現できます。ショートパケットにおいても80Mbit/s以下であ れば帯域制限規定値に近い制御が実現できます。

トラフィック状況やパケットの種類

ショートパケットはロングパケットと比較してルーティング等のQoS以外の内 部処理負荷も高いので、ショートパケットが多く流れる環境下では優先制御が 有効に機能する速度が低下します。

また優先すべきパケットの種類が多い場合はキュー処理に時間を要しますので、 制御が可能となる速度が低下します。

なお受信負荷が高い場合には受信側での取りこぼしが発生し、送信側での優先 制御の効果が現れませんので注意が必要です。RTX1500ではLAN1側スイッチング ハブの複数のポートからルータのLAN1の受信に対して同時に負荷を与えられま すが、この時LAN1の受信処理能力をオーバーしパケットロスが生じる可能性が あります。ロスパケットの有無はshow status lan1コマンドで確認できます。 パケットロスが生じる場合には、インタフェースの出力側で行われる優先制御 の効果を期待することはできません。


性能測定データ

パケットサイズと帯域制限実行時のスループットの関係

性能限界と優先制御が有効に機能する速度の目安を示すため、パケットサイズ と帯域制限実行時のスループットの関係を示します。各帯域制限設定値のスルー プット曲線よりも下の領域が、能力的に制御が可能な領域となります。

図3において、パケットサイズが大きくなる程、帯域制限値を超える現象が確認 できます。これは、パケット送出を止めた後にRTX1500の内部キューにたまった パケットが送出されるために帯域制限値を超えた値を計測してしまうことが原因 です。図には表れませんが単位時間あたりで確認すると帯域設定値を守った制御 が行われています。

パケットサイズと帯域制限実行時のスループットの関係(RTX1500) パケットサイズと帯域制限実行時のスループットの関係 サイズ大 パケットサイズと帯域制限実行時のスループットの関係 サイズ中 パケットサイズと帯域制限実行時のスループットの関係 サイズ小

動作実施例

優先制御の動作の一例(RTX1500)

この例では、以下のような条件で測定しています。優先制御を行わない場合は UDPパケットのロス及びレイテンシは TCP と同じですが、優先制御を行うこと でUDPパケットのロスとレイテンシが抑えられることが分かります

帯域制限指定のみで、クラス分け設定がない場合

ip lan1 address 192.168.0.1/24
speed lan2 50m
queue lan2 type priority
ip lan2 address 192.168.1.1/24
帯域制限指定でクラス分け設定がない場合 パケットロス 帯域制限指定でクラス分け設定がない場合 レイテンシ

UDP優先の優先制御を行う場合

ip lan1 address 192.168.0.1/24
speed lan2 50m
queue lan2 type priority
queue lan2 class filter list 1
ip lan2 address 192.168.1.1/24
queue class filter 1 4 ip * * udp * *
UDP優先の優先制御を行う場合 パケットロス UDP優先の優先制御を行う場合 レイテンシ

TOS値をキーとした優先制御を行う場合

TCPパケットのTOS値を"0"、UDPパケットのTOS値を"1"と設定(UDPが優先)

ip lan1 address 192.168.0.1/24
speed lan2 50m
queue lan2 type priority
queue lan2 class filter list 1
ip lan2 address 192.168.1.1/24
queue class filter 1 precedence ip * * * * *
TOS値をキーとした優先制御を行う場合 パケットロス TOS値をキーとした優先制御を行う場合 レイテンシ