ブリッジインタフェース(ブリッジ機能)

$Date: 2019/02/08 04:16:05 $

概要

ブリッジインタフェースは複数のインタフェースを1つの仮想インタフェース に収容し、収容したインタフェース間でブリッジングを行う機能です。

収容された各インタフェースが接続する物理的なセグメントは 1つのセグメントとして扱います。


注意事項


対応機種とファームウェアリビジョン

ヤマハRTシリーズでは、以下の機種およびファームウェアで、 ブリッジインタフェースをサポートしています。

機種 ファームウェア
FWX120 Rev.11.03.02以降
SRT100 Rev.10.00.38以降

用語定義

ブリッジインタフェース機能を利用する場合、ブリッジ処理の過程において 各インタフェースがどのような関係になるのかを意識する必要があります。

特に各種フィルターを適用する場合、どのインタフェースにフィルターを 適用すべきなのかが重要となります。

そこで、ブリッジインタフェースを利用する上で区別が必要な用語を次の ように定義します。

ブリッジインタフェース

実インタフェースを収容した仮想インタフェース。収容された インタフェース間でブリッジ動作が行われる。

特に断りなくブリッジインタフェースと記述した場合、 IP層(L3)から見たインタフェース名を表す。

収容インタフェース

ブリッジインタフェースに収容された実インタフェース。

特に断りなく収容インタフェースと記述した場合、 データリンク層(L2)から見たインタフェース名を表す。

フィルターを適用するうえでは、上記の定義を踏まえて インタフェースとフィルターの関係を ご覧ください。


詳細

ブリッジインタフェースを端点として利用できる機能

仮想インタフェースであるブリッジインタフェースを端点とした通信 (自己宛または自己発となる通信)では次の機能に対応しています。 その他の機能には対応していません。

上記を除く機能はご利用頂けません。

ブリッジ機能

ブリッジ機能を使用する場合、ブリッジ動作を行いたい実インタフェースを ブリッジインタフェースに収容する必要があります。

ブリッジインタフェースは仮想的なインタフェースです。 ブリッジインタフェースに収容したインタフェース間でブリッジ動作が行われます。

収容したインタフェースで受信したパケットは、受信時に必要な処理 (例:フィルター)が行われた後に出力先が決定され、 必要であれば出力先の数だけパケットがコピーされます(ブリッジ処理)。 出力先が決定したパケットは、 ポリシーフィルターで処理されたのち、 決定した出力インタフェースから出力されます。


ブリッジのラーニング機能と出力インタフェースの決定

ブリッジインタフェースを設定してブリッジ機能を有効にした場合、 収容したインタフェースで受信したパケットの始点MACアドレスと受信 インタフェースを自動的に学習し、ラーニングテーブルに登録します。 このとき、ラーニング可能な最大数に逹していた場合は、もっとも古い エントリーを削除した上で登録します。

ブリッジ処理を行うとき、受信したパケットの終点MACアドレスが ラーニングテーブルに登録されたMACアドレスと一致するかを調べます。 一致するエントリーが発見された場合、対応するインタフェースのみに パケットを出力します。

これにより、不要なパケットが他のインタフェースに出力されることを 抑制することができます。 学習したエントリーに一致するものがなかった場合には、受信インタフェースを除くすべての収容インタフェースにパケットが出力されます。

各機種におけるラーニング可能なMACアドレス数は下記の通りです。

機種 ラーニング可能な最大数
FWX120 256
SRT100

また、自動的に学習するMACアドレスとは別に、静的にMACアドレスを登録 することができます。物理セグメント内に確実に存在するサーバーなどの MACアドレスを明示的に登録しておきたい場合は、静的に登録します。

各機種における静的登録可能なMACアドレス数は下記の通りです。

機種 静的登録可能な最大数
FWX120 32
SRT100

なお、自動的に学習したMACアドレスと、静的登録可能なMACアドレスは 内部的に別々に管理されます。ブリッジ処理で登録内容を参照する場合は 静的登録されたものが優先して参照されます。


ブリッジインタフェース

ブリッジインタフェースはIP層(L3)からひとつのインタフェースとして扱われます。 よって、ブリッジインタフェースにはIPv4, IPv6アドレスを設定することができます。

各機種で利用できるブリッジインタフェース名は下記の通りです。

機種 ブリッジインタフェース名
FWX120 bridge1
SRT100

例えば、ブリッジインタフェースに192.168.100.100/24というアドレスを設定する場合、 次のようにします。

# ip bridge1 address 192.168.100.100/24
# ip route default gateway 192.168.100.1

ブリッジインタフェースからインターネットへアクセスする必要がある場合 (例: 外部データベース参照型URLフィルター使用時)、 上記のようにインターネット側へアクセスするための経路を設定する必要があります。


インタフェースとフィルターの関係(透過型ファイアウォール)

収容インタフェースには次のフィルターを設定することができます。

一方でブリッジインタフェースには次のフィルターを設定することができます。

収容インタフェースにフィルターを適用した場合、それらのフィルターは 下図のようにブリッジングの過程で処理されます。言い換えればこれらの フィルターはデータリンク層(L2)で適用されるようになります。 (処理自体はL2で行われますが、必要に応じてパケットのIPヘッダ以降をチェックします)

[透過型動作におけるフィルターの概念図]
透過型動作におけるフィルターの概念図
※1 out方向(送信方向)では、侵入検知機能はポリシーフィルターの後に適用されます
※2 out方向(送信方向)では、入力遮断フィルターは適用されません。in方向(受信方向)でのみ適用されます

よって、収容インタフェース単位でイーサネットフィルター、侵入検知、 入力遮断フィルター、URLフィルター、ポリシーフィルターを適用することで 透過型ファイアウォールとして利用することができます。

ここで、フィルターを設定するにあたっては以下の注意が必要です。

自己宛てのパケットはIP層(L3)以降の処理においては収容元のブリッジインタフェース で送受信したものとして扱われます。 例えば、上図でLAN側のlan1インタフェースで受信したパケットが自己宛ての パケットだった(宛先のMACアドレスが自己のものだった)場合、 IP層で受信処理された以降は受信インタフェースがbridge1であるものとして 扱われます。つまり、IP層より上位でフィルターを適用したい場合には、 収容インタフェース名ではなく、ブリッジインタフェース名を指定する必要が あります。

ですから、IP層より上位で適用されるIPフィルターやサーバー機能に対する ホストアクセス制御では、ブリッジインタフェース名を指定します。 IPフィルター、ホストアクセス制御では収容インタフェースを指定しても評価されないことに注意してください。

また、収容インタフェースがスイッチングハブを持つインタフェースである場合、 スイッチングハブのポート間で完結する通信にはフィルターが適用されません。

透過型ファイアウォールとして利用するときに指定可能なインタフェース名と 各フィルターの関係は次の表のようになります。

  ブリッジング時に適用可能なフィルター
イーサネットフィルター
ethernet IF filter
侵入検知機能
ip IF intrusion detection
入力遮断フィルター
ip IF inbound filter
ipv6 IF inbound filter
URLフィルター
url IF filter
ポリシーフィルター
ip policy filter
ipv6 policy filter
IPフィルター
ip IF secure filter
ipv6 IF secure filter
lanX ×
pp × × × × × ×
tunnel × × × × × ×
bridgeX × × × × ×(※1) ○(※2)

※1 ブリッジインタフェースで送受信するパケットは LOCAL(自己宛、自己発)に含まれます
※2 ブリッジインタフェースで受信したパケット(自己宛てのパケット)は IP層においてIPフィルターが適用されます

ブリッジインタフェースを利用して透過型ファイアウォール機能を利用する場合、 関連文書もご覧ください。


ブリッジ機能とファストパス

収容インタフェースで受信したパケットをブリッジングする場合、ルーターと してファストパスに対応した機種ではブリッジングもファストパスで処理されます。

ルーターとしてファストパス動作する場合と同様に、 次の条件に該当するパケットはノーマルパスで動作します。

IPv4、IPv6パケットがファストパスで処理されるか否かは、ルーターの場合と 同様に次のコマンドの設定に従います。

ファストパスにおける制限事項

ファストパスで処理されたパケットに関しては次の制限があります。

上記のいずれも、ファストパスでパケットが処理された場合だけの制限であるため、 パケットがノーマルパスで処理される場合にはこれらの機能は正しく働きます。 例えば、pass-logフィルタを利用していると、最初の1パケットだけは フローテーブルを作るためにノーマルパスで処理されるためログに記録されるが、 その後のパケットはファストパスで処理されるため 記録されなくなるといった 動作になります。

ルーター動作におけるファストパスについては関連文書を ご覧ください。


SYSLOGメッセージ一覧

本機能において出力されるSYSLOGメッセージの一覧を以下に示します。 なお、出力メッセージには先頭に"[ブリッジインタフェース名]"という文字列が付加されます。

レベル 出力メッセージ 意味
INFO link up ブリッジインタフェースがアップ状態になった
INFO link down ブリッジインタフェースがダウン状態になった
DEBUG suspicious learning MACアドレス(出力インタフェース名) MACアドレスに対応した出力インタフェースがブリッジに収容されていない

設定

コマンド

ブリッジインタフェースを指定できるようになるコマンド


設定・操作例

  1. LAN1とLAN2をブリッジする
    # bridge member bridge1 lan1 lan2
    
  2. ブリッジインタフェースbridge1にIPv4アドレスを設定する
    # ip bridge1 address 192.168.100.1/24
    
  3. ブリッジの設定を確認する
    # show status bridge1
    BRIDGE1
    リンク状態:                     UP
    ブリッジ:                       LAN1 LAN2
    イーサネットアドレス:           00:a0:de:01:02:03
    送信パケット:                   1 パケット(78 オクテット)
      IPv4:                         0 パケット
      IPv6:                         1 パケット
    受信パケット:                   243 パケット(18912 オクテット)
      IPv4:                         16 パケット
      IPv6:                         17 パケット
    非IPパケット:                   101 パケット
    LAN1
    説明:
    イーサネットアドレス:           00:a0:de:01:02:03
    動作モード設定:                 Type (Link status)
                   PORT1:           Auto Negotiation (100BASE-TX Full Duplex)
                   PORT2:           Auto Negotiation (Link Down)
                   PORT3:           Auto Negotiation (Link Down)
                   PORT4:           Auto Negotiation (Link Down)
    最大パケット長(MTU):            1500 オクテット
    プロミスキャスモード:           ON
    送信パケット:                   856 パケット(676350 オクテット)
      IPv4(全体/ファストパス):      727 パケット / 597 パケット
      IPv6(全体/ファストパス):      11 パケット / 0 パケット
    受信パケット:                   570 パケット(85036 オクテット)
      IPv4:                         553 パケット
      IPv6:                         10 パケット
    LAN2
    説明:
    イーサネットアドレス:           00:a0:de:01:02:04
    動作モード設定:                 Auto Negotiation (100BASE-TX Full Duplex)
    最大パケット長(MTU):            1500 オクテット
    プロミスキャスモード:           ON
    送信パケット:                   571 パケット(85114 オクテット)
      IPv4(全体/ファストパス):      553 パケット / 449 パケット
      IPv6(全体/ファストパス):      11 パケット / 0 パケット
    受信パケット:                   903 パケット(679446 オクテット)
      IPv4:                         727 パケット
      IPv6:                         10 パケット
    #
    
    
    # show bridge learning bridge1
    カウント数: 4
    MACアドレス            インタフェース  TTL(秒)
    00:0a:de:11:03:01      LAN2            240
    00:0a:de:11:02:01      LAN2            262
    00:0a:de:11:01:02      LAN2            260
    00:0a:de:11:01:01      LAN1            159
    #
    

参考

ルーター型動作におけるインタフェースとフィルターの関係

透過型ファイアウォールとして利用する場合と、ルーター型ファイアウォールと して利用する場合のフィルター動作の違いを説明します。

ルーター型で動作する場合、イーサネットフィルターのみがデータリンク層(L2) で適用されるようになります。それ以外のフィルターは下図のようにIP層(L3)より 上位で適用されます。

[ルーター型動作におけるフィルターの概念図]
ルーター型動作におけるフィルターの概念図
※1 out方向(送信方向)では、侵入検知機能はポリシーフィルターの後に適用されます
※2 out方向(送信方向)では、入力遮断フィルターは適用されません。in方向(受信方向)でのみ適用されます
※3 out方向(送信方向)では、URLフィルターの前にIPフィルターが適用されます

また、自己宛てのパケットはIP層以降の処理においても受信時のインタフェース でそのまま送受信したものとして扱われます。例えば、上図でLAN側の lan1インタフェースで受信したパケットが自己宛てのパケットだった (宛先IPアドレスが自己のものだった)場合、フィルターはその受信インタフェース で適用されます。

ルーター型ファイアウォールとして利用するときに指定可能なインタフェース名と、 各フィルターの関係は次の表のようになります。

  ルーティング時に適用可能なフィルター
イーサネットフィルター
ethernet IF filter
侵入検知機能
ip IF intrusion detection
入力遮断フィルター
ip IF inbound filter
ipv6 IF inbound filter
URLフィルター
url IF filter
ポリシーフィルター
ip policy filter
ipv6 policy filter
IPフィルター
ip IF secure filter
ipv6 IF secure filter
lanX
pp ×
tunnel ×
bridgeX × × × × × ×

関連文書