WLX402 反射板の効果

$Date: 2017/06/23 06:33:06 $

  1. 方向の定義
  2. 概要
  3. 注意事項
  4. 詳細


本ドキュメントは、ヤマハ無線LANアクセスポイントWLX402の反射板の効果について記述しています。


1. 方向の定義

本ドキュメントでは放射される電波の方向を、製品面で説明します。

オモテ面 
WLX402において、ヤマハロゴが記載している面です。
ウラ面 
WLX402において、反射板やマウントキットを取付ける面です。
側面
WLX402において、ランプのある面、セキュリティスロットのある面、コネクタのある面を総じて側面と記載します。

Fig.1_各面の呼称

               Fig.1 本資料における製品面の定義


2. 概要


同梱の反射板を装着することで、内蔵アンテナの指向性を変化させることができます。
指向性を変化させることで、下記の効果があります。

反射板によって放射した電波を製品オモテ面方向へ集中させることで通信距離が長くなります。
また、ウラ面へ放射する電力が小さくなり通信距離が短くなります。
通信距離が短くなることで、その方向に構築された他の無線LAN環境への干渉が低減できます。
アンテナの性能は送信・受信で可逆性があるので、受信時も同等の効果があります。

設置時の注意点

反射板は特定の方向の通信エリアを拡大したいときや、特定の方向への干渉を低減したいときにご使用ください。
通信距離を伸ばしたい方向にオモテ面を向けてご使用ください。
干渉を低減したい場合は、製品ウラ面を干渉を抑えたい方向に向けてご使用ください。

反射板を取付けることで、製品側面・ウラ面への電力は小さくなり、通信距離は短くなります。
反射板を取付けて使用される際は、無線端末が配置される方向に製品オモテ面を向けて設置ください。

Fig.2_設置の際の注意点
                          Fig.2 設置時の注意点


3. 注意事項


4. 詳細

指向性の変化

反射板を装着することで、製品オモテ面のアンテナ利得を増加させ、ウラ面の利得を小さくします。
WLX402は反射板を装着することで、Fig.1のように指向性が変化します。

Fig.3_指向性
    Fig.3 WLX402オモテ面、ウラ面のアンテナ指向性(5GHz帯)

反射板による変化量は以下の特徴があります。

製品オモテ面では視野角150°以上の範囲でアンテナ利得が大きくなります。
Fig.3の通り、方向によって変化量に差があるため、無線端末との位置関係によって効果の見え方は変動しますが、
広範囲で効果が得られます。
ウラ面でも90-270°にわたって利得が小さくなり、広範囲で効果が得られます。

反射板を装着すると、製品側面方向への電力は小さくなります。(Fig.1の90°,180°方向)
Fig.4はWLX402側面方向のアンテナ指向性です。反射板を取付けることで全体的に利得が低下します。


Fig.4_指向性
    Fig.4 WLX402側面のアンテナ指向性(5GHz帯)

反射板は壁掛け・天井設置で効果を発揮することを想定しております。
よって、WLX402の側面方向に無線端末が配置されることを想定しておりません。

机上平置きのように、側面方向に無線端末が配置されるようなケースでご使用いただく場合は、
反射板を取付けずにご使用いただくことを推奨します。
さらに、机上でご使用いただく場合は、同梱のブラケットでVESAスタンドに取付け、タテ置きの状態でご使用いただくと    
より快適にご使用いただけます。

通信距離に対する効果

反射板によってアンテナ利得が変化することにより、WLX402の電波強度の分布も変化します。

先述の通り、反射板によって製品オモテ面のアンテナ利得が3dB程度増加します。
これにより、製品オモテ面に放射される送信電力も3dB大きくなります。
電力が3dB増加するということは、電力が2倍になることを意味します。
電波強度は距離の2乗に反比例するため、電力が2倍になると、同じ電波強度となる距離は√2倍になります。
つまり、反射板を取付けることで、オモテ面方向の通信距離は約1.4倍に伸びます。

Fig.5は見通しのよい環境で、WLX402の正面に設置した受信機が受信したビーコン信号のレベルと
距離の関係を測定した結果です。
※実測データをプロットで示します。実線は実測値を近似したものです。

Fig.5_距離vs受信レベル

                Fig.5 WLX402オモテ面のビーコン信号の受信レベル

Fig.5右表の通り、同等の受信電力となる距離は、反射板によって約1.4倍になっていることが分かります。
  

また、製品ウラ面は利得が低下するので、電波強度が小さくなります。
Fig.3の180°方向では、反射板により電力が10dB程度小さくなります。これは電力が1/10となることを意味します。
電力が1/10になるとき、同じ電波強度となる距離は√(1/10)、つまり約0.3倍となります。

Fig.6は見通しの良い環境で、WLX402のウラ面に設置した受信機が受信したビーコン信号のレベルと
距離の関係を測定したデータです。
※実測データをプロットで示します。実線は実測値を近似したものです。

Fig.6_距離vs受信レベル
                Fig.6 WLX402ウラ面のビーコン信号の受信レベル

Fig.6右表の通り、同等の受信電力となる距離は、反射板によって約0.3倍になっていることが分かります。


このように、反射板によってアンテナ利得を変化させることで、通信可能距離が変化することがわかります。
製品オモテ面方向の通信エリアは拡大し、ウラ面の通信エリアは狭くなります。
天井設置した場合、製品ウラ面は上階のフロアや屋上が想定されます。上階で独立した無線LANの環境を
構築している場合、反射板により上階の環境への干渉を低減することができます。


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