DHCPスヌーピングは、DHCPサーバーとクライアント間でやりとりされるDHCPメッセージを監視して、不正なDHCPメッセージをフィルタリングする機能です。
本機能を利用することで、以下のようなセキュリティー向上の効果が期待できます。
DHCPスヌーピングによるDHCPメッセージのフィルタリングが無効なポート。信頼されたDHCPサーバーを接続する。
DHCPスヌーピングによるDHCPメッセージのフィルタリングが有効なポート。DHCPクライアントを接続する。
インターフェースの識別番号。IfIndexの割り当てはインターフェース基本機能を参照。
DHCPスヌーピングを有効にするには、グローバルコンフィグレーションモードで ip dhcp snooping enable コマンドを実行したうえで、
さらに、DHCPスヌーピングを有効にするVLANのインターフェースモードで ip dhcp snooping enable コマンドを実行する必要があります。
DHCPスヌーピング機能に関するシステムの設定状況は、 show ip dhcp snooping コマンドで確認することができます。
DHCPスヌーピング機能に関するインターフェースの設定状況は、 show ip dhcp snooping interface コマンドで確認することができます。
DHCPスヌーピングを有効にすると、DHCPサーバーとDHCPクライアント間のメッセージを監視して、バインディングデータベースを構築します。
DHCPサーバーからIPアドレスが配布されたときに、以下のDHCPクライアントの情報がバインディングデータベースに登録されます。
バインディングデータベースのエントリー情報は、 show ip dhcp snooping binding コマンドで確認することができます。
登録されたエントリー情報は、エントリーのリース時間が満了するか、DHCPクライアントからDHCP RELEASEメッセージを受信したときに削除されます。
また、 clear ip dhcp snooping binding コマンドでバインディングデータベースをクリアすることができます。
バインディングデータベースのエントリーは最大 1024 件登録できます。
DHCPスヌーピングでは、 ip dhcp snooping trust コマンドでLAN/SFPポートを「Trustedポート」と「Untrustedポート」の2つに分類します。
Trustedポートには信頼されたDHCPサーバーを接続し、UntrustedポートにはDHCPクライアントを接続します。
それぞれの動作仕様は以下のとおりです。
Untrustedポートでは、MACアドレス検証はデフォルトで 有効 になっており、 ip dhcp snooping verify mac-address コマンドで無効にすることができます。
UntrustedポートにDHCPエージェントを接続する必要がある場合、DHCPエージェントはDHCPクライアントからのDHCPパケットの送信元MACアドレスを書き換えるため、MACアドレス検証を無効にする必要があります。
DHCPスヌーピングが有効のとき、Option 82を有効にすると、UntrustedポートでDHCPクライアントから受信したDHCPパケットにOption 82情報を付与します。
また、UntrustedポートにDHCPクライアントが直接接続されているとき、DHCPサーバーからDHCPクライアント宛てに送信された戻りパケットのOption 82情報を削除して転送します。
Option 82はデフォルトで 有効 です。Option 82情報として、以下の情報が付与されます。
Option 82が有効のとき、Untrustedポートで既にOption 82情報が付与されたDHCPパケットを受信した場合、Option 82情報の詐称を抑止するために、そのDHCPパケットを破棄します。
UntrustedポートにOption 82を付与するDHCPリレーエージェントを接続する場合、 ip dhcp snooping information option allow-untrusted コマンドで、UntrustedポートにおけるOption 82を含むDHCPパケットの転送を許可する必要があります。
DHCPスヌーピングが有効のとき、 ip dhcp snooping limit rate コマンドで、 システム全体で1秒あたりに受信可能なDHCPパケット数を設定することができます。
受信レートの上限を超過した場合、受信レートを超えた受信DHCPパケットは破棄されます。デフォルトではレート制限は行いません。
DHCPスヌーピングにより破棄されたDHCPパケットの統計情報は、 show ip dhcp snooping statistics コマンドで確認することができます。
ただし、DHCPパケットのレート制限により破棄されたパケットは本統計情報に含まれません。
統計情報は、 clear ip dhcp snooping statistics コマンドで削除することができます。
DHCPスヌーピングの受信DHCPパケット検査によりDHCPパケットが破棄された場合、INFOレベルのSYLOGに破棄理由を出力することができます。
SYSLOGへの出力の有効/無効の設定は ip dhcp snooping logging コマンドで設定することができ、 デフォルトではSYSLOGに出力します。
出力されるSYSLOGメッセージは以下のとおりです。
レベル | 出力条件 | SYSLOGメッセージ |
---|---|---|
INFO | UntrustedポートでDHCPサーバーパケットを受信した | 2022/07/21 09:00:00: [DHCPSN]:inf: DHCP dropped due to prohibited message type, VLAN 1, port1.1, DHCPOFFER, 1234.4567.abcd |
INFO | 登録外インターフェースからDHCP RELEASE/DECLINEを受信した | 2022/07/21 09:00:00: [DHCPSN]:inf: DHCP dropped due to source interface mismatch, VLAN 1, port1.1, DHCPRELEASE, 5c5a.c7d6.9e1e |
INFO | 送信元MACとchaddrが一致しない | 2022/07/21 09:00:00: [DHCPSN]:inf: DHCP dropped due to source mac mismatch, VLAN 1, port1.1, DHCPINFORM, 001c.4321.abcd |
INFO | UntrustedポートでOption 82付きパケットを受信した | 2022/07/21 09:00:00: [DHCPSN]:inf: DHCP dropped due to option82 value, VLAN 1, port1.1, DHCPINFORM, 5c5a.c7d6.9e1e |
関連コマンドについて、以下に示します。
操作項目 | 操作コマンド |
---|---|
DHCPスヌーピングの有効/無効設定(システム) | ip dhcp snooping enable/disable |
DHCPスヌーピングの有効/無効設定(VLAN) | ip dhcp snooping enable/disable |
DHCPスヌーピングのポート種別設定 | ip dhcp snooping trust |
MACアドレス検証の有効/無効設定 | ip dhcp snooping verify mac-address enable/disable |
Option 82の有効/無効設定 | ip dhcp snooping information option enable/disable |
Option 82付きパケットのUntrustedポート受信許可設定 | ip dhcp snooping information option allow-untrusted |
Option 82のRemote-IDの設定 | ip dhcp snooping information option format remote-id |
Option 82のCircuit-IDの設定 | ip dhcp snooping information option format-type circuit-id |
Subscriber-IDの設定 | ip dhcp snooping subscriber-id |
DHCPパケット受信レート制限の設定 | ip dhcp snooping limit rate |
DHCPパケット破棄時SYSLOG出力の有効/無効設定 | ip dhcp snooping logging enable/disable |
DHCPスヌーピングのシステム設定情報表示 | show ip dhcp snooping |
DHCPスヌーピングのインターフェース設定情報表示 | show ip dhcp snooping interface |
バインディングデータベースの表示 | show ip dhcp snooping binding |
DHCPスヌーピングの統計情報表示 | show ip dhcp snooping statistics |
バインディングデータベースのクリア | clear ip dhcp snooping binding |
DHCPスヌーピングの統計情報クリア | clear ip dhcp snooping statistics |
信頼されたDHCPサーバーを接続するインターフェース(LANポート #1)を指定する。
Yamaha(config)#interface port1.1 Yamaha(config-if)#ip dhcp snooping trust Yamaha(config-if)#exit
システム及びVLAN #1 のDHCPスヌーピングを有効にする。
Yamaha(config)#ip dhcp snooping enable Yamaha(config)#interface vlan1 Yamaha(config-if)#ip dhcp snooping enable Yamaha(config-if)#exit