スタックは、複数のスイッチを接続し、 仮想的な1台のスイッチとして動作させる機能 です。
スタックの特長について、以下に示します。
スタック機能は、工場出荷時、 無効 に設定されています。
モデル毎にスタック可能な構成について、以下に示します。
本バージョンでは、 A, B, F のみ(同一モデルの二台構成)をサポート します。
なお、スタックは、障害時の影響を少なくすることを考慮し、 必ず、二つのスタックリンクで構成するようにしてください。
スタック機能を有効にすると、メンバー間の接続用ポートとして、以下の SFP+スロット が スタックポート に切り替わります。
スタックポートは通常の通信ポートと異なり、メンバースイッチ間の通信にのみ利用されます。
メンバースイッチ間の接続は、ヤマハが提供する ダイレクトアタッチケーブル(YDAC-10G-1M/3M)、SFP+モジュール(YSFP-10G-SR/LR) でのみ可能です。
他社製品で接続した場合、スタックリンクは強制的にダウンします。
接続するスタックポートは、メンバースイッチの 若番 (Lower number) ポートと 老番 (Higher number) ポート を接続します。
マスタースイッチの選出とMACアドレスの付与ルールについて、以下に示します。
なお、スタック構成時に使用するMACアドレスは、通信への影響をなくすため、以下のルールで適用します。
No | スタック構成 | マスター選択ルール | |
---|---|---|---|
1 | 初期構成 | スタックID 1が設定されているスイッチがマスタースイッチに選出されます。 このとき、仮想スイッチのMAC アドレスは、スタックID 1の MAC アドレスを使用します。 |
|
2 | 障害発生 | マスタースイッチで異常が発生した場合、メンバースイッチの中で一番小さなスタックIDをもつスイッチがマスタースイッチに選出されます。 このとき、仮想スイッチのMAC アドレスは、スタックID 1の MAC アドレスを維持します。 |
|
3 | 異常状態の回復 | 障害発生スイッチを再度スタックに組み込んだ場合、現在選出中のマスタースイッチがそのままマスタースイッチとして機能します。 このとき、仮想スイッチのMAC アドレスは、異常発生した スタックID 1の MAC アドレスを維持します。 |
スタック構成中の仮想スイッチに対する操作は、 基本的にマスタースイッチから制御します。
オペレーションに関する仕様について、以下に示します。
Yamaha>
Yamaha-2> ... (ホスト名の後ろに スタックID が表示される)
メンバースイッチは、スタック構成中の状態を以下で管理します。
本状態は、 show stack コマンドで参照することができます。
スタック構成中のメンバースイッチは、異常を検出すると、ネットワークサービスに影響がないように仮想スイッチ内で自律的に解決しようとします。
本スイッチは、以下の異常状態を監視します。
ハートビートは、メンバースイッチが正常に稼働しているかどうかを確認するための機能です。
ハートビートフレームが一定期間 (現在は4秒) 受信できなかった場合、メンバースイッチに異常が発生したと判断します。
以下に異常検出時の動作について、示します。
検出ノード | 検出内容 | 検出後の動作 | 検出後の状態 | 備 考 | |
---|---|---|---|---|---|
マスター | 設定異常 | スタックID、ファームバージョン異常 | 仮想スイッチとして処理継続不可と判断し、ネットワークポート、スタックリンクを強制的にダウンさせ、スタック構成から切り離す。 | Inactive | |
スタックリンクダウン | 二本のうち、片方がリンクダウン | マスターを維持し、一本で双方向通信を実現。 | Active | ||
両リンクダウン | マスターを維持する。 | Standalone | ダブルマスター状態の可能性あり | ||
HW異常 | FAN停止, 温度異常, 電圧/電流値異常 | マスターとして処理継続不可と判断し、ネットワークポート、スタックリンクを強制的にダウンさせ、スタック構成から切り離す。 | Inactive | ||
ハートビートエラー | スレーブからの通知が無くなった | マスターとして動作を継続する。 | Standalone or Active | 残構成台数が1つの場合、Standalone | |
スレーブ | 設定異常 | スタックID、ファームバージョン異常 | 仮想スイッチとして処理継続不可と判断し、ネットワークポート、スタックリンクを強制的にダウンさせ、スタック構成から切り離す。 | Inactive | |
スタックリンクダウン | 二本のうち、片方がリンクダウン | スレーブを維持し、一本で双方向通信を実現。 | Active | ||
両リンクダウン | サービスを継続させるため、マスターに昇格する。 | Standalone | ダブルマスター状態の可能性あり | ||
HW異常 | FAN停止, 温度異常, 電圧/電流値異常 | スレーブとして処理継続不可と判断し、ネットワークポート、スタックリンクを強制的にダウンさせ、スタック構成から切り離す。 | Inactive | ||
ハートビートエラー | マスターからの通知が無くなった | サービスを継続させるため、マスターに昇格する。 | Standalone or Active | 残構成台数が1つの場合、Standalone |
関連コマンドについて、以下に示します。
詳細は、コマンドリファレンスを参照願います。
操作項目 | 操作コマンド |
---|---|
スタック機能の有効/無効設定 | stack |
スタックメンバーのID変更 | stack renumber |
スタック情報の表示 | show stack |
スタック構成時の初期設定フローについて、以下に示します。
スタックを構成するために必要な機材を準備します。
スタックを構成するメンバースイッチの設定を行います。
設定を開始する前に、以下について、検討します。
検討後、以下の手順で メンバースイッチを個別に設定 します。
Yamaha> show environment SWX3200-52GT BootROM Ver.1.00 SWX3200-52GT Rev.4.00.05 (Fri Mar 9 09:34:05 2018) ... (ファームウェアバージョンの確認) main=SWX3200-52GT ver=00 serial=S00000000 MAC-Address=00a0.de00.0000 ...
Yamaha> enable Yamaha# startup-config description 2 Stack ... (startup-config #2 に "Stack" と説明文を設定) Yamaha# startup-config select 2 ... (startup-config #2を選択) reboot system? (y/n): y ... (再起動する)
Yamaha> enable Yamaha# Yamaha# show stack Stack: Disable Configured ID: 1 ID Model Status Role ------------------------------------- Yamaha#
Yamaha(config)# stack 1 renumber 2 ... (スタックID を #1 から #2 に 変更する) Yamaha(config)# do show stack Stack: Disable Configured ID: 2 ID Model Status Role ------------------------------------- Yamaha#
SWX3200(config)#stack enable ... (スタック機能を有効化) reset configuration and reboot system? (y/n): y ... (再起動の実行)
Yamaha> enable Yamaha# Yamaha# show stack Stack: Enable ... (スタック機能が有効になっている) Configured ID: 1 Running ID : 1 Status : Standalone ID Model Status Role ------------------------------------- 1 SWX3200-52GT Standalone Master ... (1台で動作しているため、Standalone で Master となる) Yamaha>show environment SWX3200-52GT BootROM Ver.1.00 SWX3200-52GT Rev.4.00.05 (Fri Mar 9 09:34:05 2018) main=SWX3200-52GT ver=00 serial=S00000000 MAC-Address=00a0.de00.0000 CPU: 2%(5sec) 2%(1min) 1%(5min) Memory: 10% used Fan status: Normal Fan speed: FAN1=4000RPM FAN2=3870RPM Startup firmware: exec0 Startup Configuration file: config2 ... (設定したスタートアップコンフィグになっていることを確認) Serial Baudrate: 9600 Boot time: 2018/01/01 11:06:36 +09:00 Current time: 2018/01/02 16:12:23 +09:00 Elapsed time from boot: 1days 05:05:49 Temperature status: Normal Temperature: 37 degree C Voltage: 11.99V Current: 0.741A
スタックを有効化したスイッチを、 ダイレクトアタッチケーブル または、 SFP+モジュール を使用して接続します。
接続方法は 3.2 メンバースイッチ間の接続 を参照ください。
なお、メンバースイッチの接続は、 電源を落とした状態、電源を入れた状態、どちらで行っても問題ありません。
メンバースイッチの接続後、 show stack コマンドでシステムの状態を確認してください。
Yamaha# show stack Stack: Enable Configured ID: 1 Running ID : 1 Status : Active ID Model Status Role ------------------------------------- 1 SWX3200-52GT Active Master ... (スタックID 1 のスイッチが マスター) 2 SWX3200-52GT Active Slave ... (スタックID 2 のスイッチが スレーブ)
メンバースイッチの初期設定状態を copy startup-config コマンドを使用してバックアップします。
メンバースイッチの異常時の復旧を考え、外部メモリ (SDカード) にバックアップすることをお勧めします。
Yamaha> enable Yamaha# copy startup-config 2 sd ... (マスタースイッチの スタートアップコンフィグ #2 を SDカードへコピー) Suceeded to copy configuration Yamaha# remote-login 2 ... (スレーブスイッチ (スタックID: 2) にリモートログイン) Entering character mode Escape character is '^]'. SWX3200-52GT Rev.4.00.XX Copyright (c) 2018 Yamaha Corporation. All Rights Reserved. Yamaha-2> enable Yamaha-2# copy startup-config 2 sd ... (スレーブスイッチの スタートアップコンフィグ #2 を SDカードへコピー)
スタックの初期設定は、以上で終了となります。
利用ネットワークに仮想スイッチを組み込み、運用に必要な設定を行います。
運用に必要な設定を完了した後は、初期設定後と同じく、異常時に備え、コンフィグのバックアップを行うようにしてください。
メンバースイッチで異常が発生した場合の交換方法について、2台の SWX3200-52GT を使用した構成を例に以下に示します。
スタック構成時のファームウェア更新方法として、以下の二つの方法を提供します。
パラレル更新は、サービス停止が発生してもよい時間を確保できる場合には、有効な方法です。
しかし、 スタック構成中は、サービス停止を伴わないシーケンシャル更新をお勧めします。
なお、スタック構成中のファームウェア更新は、以下のみに対応します。
詳細は、 ファームウェア更新 を参照ください。
ファームウェアのパラレル更新は、スタック構成中のメンバースイッチのファームウェアを同時に更新します。
仮想スイッチ全体で更新のための再起動が発生するため、サービス停止が伴います。
パラレル更新を行う場合には、以下の点に注意をしてください。
パラレル更新の概要について、以下に示します。
ファームウェアのシリアル更新は、スタック構成中のメンバースイッチのファームウェアを順次更新します。
仮想スイッチ全体で更新のための再起動が発生しないため、サービス停止を伴いません。
シーケンシャル更新を行う場合には、以下の点に注意をしてください。
シーケンシャル更新の概要について、以下に示します。