IGMP Snoopingは、VLAN環境において余分なマルチキャストのフラッディングを制御することで、ネットワークの帯域幅の消費を抑える機能です。
L2スイッチでは、マルチキャストパケットはVLAN単位で配送されるため、VLAN内に1つでもマルチキャストパケットを受信したい端末が存在すると、
同一VLAN内のすべてのポートにパケットが配送されてしまいます。
IGMP Snooping機能を使用すると、受信端末とマルチキャストルーター間で交換されるIGMPメッセージを監視 (Snooping) することで、
マルチキャストパケットを受信したい端末が接続されたポートのみに該当グループのパケットを配信することができます。
マルチキャストグループを制御するためのプロトコル。
マルチキャストルーターはLAN上のどのホストがマルチキャストグループのメンバーであるか判断でき、ホストは自分がどのマルチキャストグループのメンバーかを伝えることができます。
3つのバージョンがあり、 IGMPv1 (RFC1112) 、 IGMPv2 (RFC2236) 、 IGMPv3 (RFC3376) で規定されます。
マルチキャストルーターが接続されているLAN/SFPポートのこと。
IGMPジェネラルクエリーを受信したLAN/SFPポートをマルチキャストルーターポートとして自動で学習します。
マルチキャストルーターとホスト間で行われる通信負荷をスイッチで抑制する機能。
抑制するために本製品がまとめるメッセージは、以下となります。
レポート抑制機能は、IGMPv1/v2/v3に対して動作します。
IGMP Leaveメッセージを受信したLAN/SFPポートを即座にマルチキャスト受信ポートから外す(転送に必要なFDBエントリーを削除する)機能。
本来、IGMPv2の離脱処理では、IGMP Leaveメッセージを受信した際、そのポートにグループスペシフィッククエリーを送信し、レシーバーの存在確認が行われますが、
高速脱退機能が 有効 な場合、本動作を行いません。
このため、高速脱退機能は LAN/SFPポート配下に1つのレシーバーが接続されている場合にのみ効果的な機能 です。
なお、高速脱退機能はIGMPv2のLeaveメッセージ受信時のみ動作します。
IGMP ジェネラルクエリー、スペシフィッククエリーを送信する機能。
マルチキャストルーターがいない環境でIGMP Snoopingを機能させる場合に使用します。
IGMP Snoopingの動作仕様について以下に示します。
関連コマンドについて、以下に示します。
コマンドの詳細は、コマンドリファレンスを参照願います。
操作項目 | 操作コマンド |
---|---|
IGMPスヌーピングの有効/無効設定 | ip igmp snooping |
IGMPスヌーピング高速脱退の設定 | ip igmp snooping fast-leave |
マルチキャストルーターポートの設定 | ip igmp snooping mrouter interface |
クエリー送信機能の設定 | ip igmp snooping querier |
IGMPクエリー送信間隔の設定 | ip igmp snooping query-interval |
IGMPスヌーピングTTLチェックの設定 | ip igmp snooping check ttl |
IGMPバージョンの設定 | ip igmp snooping version |
マルチキャストルーターポートの情報の表示 | show ip igmp snooping mrouter |
IGMPマルチキャスト受信者の情報を表示 | show ip igmp snooping groups |
インターフェースのIGMP関連情報を表示 | show ip igmp snooping interface |
IGMPグループメンバーシップのエントリー削除 | clear ip igmp snooping |
マルチキャストルーターがある環境でIGMP Snooping機能を有効にして、マルチキャストグループに参加している
PC1、PC3にのみデータが配信されるようにします。
Yamaha(config)# vlan database Yamaha(config-vlan)#vlan 10 ... (VLAN #10 の定義) Yamaha(config-vlan)#exit Yamaha(config)#interface vlan10 Yamaha(config-if)#ip igmp snooping enable ... (VLAN #10 のIGMP Snoopingを有効にする) Yamaha(config-if)#no ip igmp snooping querier ... (VLAN #10 のIGMP クエリー送信機能を無効にする) Yamaha(config-if)#ip igmp snooping fast-leave ... (VLAN #10 のIGMP Fast-leave機能を有効にする)
Yamaha(config)# interface port1.1 Yamaha(config-if)# switchport mode access Yamaha(config-if)# switchport access vlan 10 (上記設定をLANポート #2 ~ #4に対しても行います。)
Yamaha#show ip igmp snooping mrouter vlan10 VLAN Interface IP-address Expires 10 port1.1(dynamic) 192.168.100.216 00:00:49
Yamaha#show ip igmp snooping groups IGMP Snooping Group Membership Group source list: (R - Remote, S - Static) Vlan Group/Source Address Interface Flags Uptime Expires Last Reporter Version 10 239.0.0.1 port1.2 R 00:00:13 00:00:41 192.168.100.2 V3 10 239.0.0.1 port1.4 R 00:00:02 00:00:48 192.168.100.4 V3
マルチキャストルーターがいない環境でIGMP Snooping機能を有効にして、マルチキャストグループに参加している
PC1、PC3にのみデータが配信されるようにします。
Yamaha(config)# vlan database Yamaha(config-vlan)#vlan 10 ... (VLAN #10 の定義) Yamaha(config-vlan)#exit Yamaha(config)#interface vlan10 Yamaha(config-if)#ip igmp snooping enable ... (VLAN #10 のIGMP Snoopingを有効にする) Yamaha(config-if)#ip igmp snooping querier ... (VLAN #10 のIGMP クエリー送信機能を有効にする) Yamaha(config-if)#ip igmp snooping query-interval 20 ... (VLAN #10 のIGMP クエリーの送信間隔を20秒にする)
Yamaha(config)# interface port1.1 Yamaha(config-if)# switchport mode access Yamaha(config-if)# switchport access vlan 10 (上記設定をLANポート #2に対しても行います。)
Yamaha(config)# vlan database Yamaha(config-vlan)#vlan 10 ... (VLAN #10 の定義) Yamaha(config-vlan)#exit Yamaha(config)#interface vlan10 Yamaha(config-if)#ip igmp snooping enable ... (VLAN #10 のIGMP Snoopingを有効にする) Yamaha(config-if)#no ip igmp snooping querier ... (VLAN #10 のIGMP クエリー送信機能をに無効する) Yamaha(config-if)#no ip igmp snooping check ttl ... (VLAN #10 のTTLチェック機能を無効にする) Yamaha(config-if)#ip igmp snooping fast-leave ... (VLAN #10 のIGMP Fast-leave機能を有効にする)
Yamaha(config)# interface port1.1 Yamaha(config-if)# switchport mode access Yamaha(config-if)# switchport access vlan 10 (上記設定をLANポート #2 ~ #4に対しても行います。)
Yamaha#show ip igmp snooping mrouter vlan10 VLAN Interface IP-address Expires 10 port1.1(dynamic) 192.168.100.216 00:00:49
Yamaha#show ip igmp snooping groups IGMP Snooping Group Membership Group source list: (R - Remote, S - Static) Vlan Group/Source Address Interface Flags Uptime Expires Last Reporter Version 10 239.0.0.1 port1.2 R 00:00:13 00:00:41 192.168.100.2 V3 10 239.0.0.1 port1.4 R 00:00:02 00:00:48 192.168.100.4 V3
未知のマルチキャストフレームの処理を変更したい場合は、 l2-unknown-mcast コマンドで行ってください。