VLAN
1 機能概要
VLAN ( Virtual LAN ) は、物理的な接続構成と関係なく、仮想的にLANを構成することができる技術です。
本製品でVLANを使用するとLANを複数のブロードキャストドメインに分割することができます。
本製品でサポートするVLANについて、以下に示します。
- サポートVLANの種類
VLANの種類 |
概要 |
ポートベースVLAN |
LANポート単位で通信可能なグループを構成します。 |
タグVLAN |
イーサーネットフレームに付加した固定長のタグ情報で通信可能なグループを識別します。 1つのLANポートで複数の異なるVLANを通信させることができます。 |
2 用語の定義
ブロードキャストドメイン
Ethernetなどのネットワークで、ブロードキャストフレームが届く範囲のこと。
スイッチングハブなどのデータリンク層(MAC層)を中継する機器によって接続された端末同士が同じブロードキャストドメインに所属することになります。
一般的にEthernetにおけるネットワークとはこのブロードキャストドメインのことを指します。
3 機能詳細
3.1 VLAN IDの定義
本製品は、VLAN IDとして2~4094の範囲で最大31個定義することが可能です。(ID #1はデフォルトVLAN IDとして使用します。)
3.2 LANポートに対するVLAN設定
本製品でVLANを利用するためには、使用するVLANを定義した後に、以下の設定を行う必要があります。
- LANポートのモードを設定する
- LANポートの所属VLANを設定する
- 本製品のLANポートは、以下に示すどちらかのモードに設定します。
- アクセスポート
タグなしフレームを扱うポート。1つのVLANに所属することができます。
- トランクポート
タグなし/タグ付き両方のフレームを扱うポート。
複数のVLANに所属することができ、主にスイッチ同士を接続する際に使用します。
本製品では、 IEEE 802.1Q のみをサポートします。
- トランクポートに設定する際、指定したVLAN IDが設定されているフレームのみを扱います。
- トランクポートに対して、タグなしフレームを扱うVLAN( ネイティブVLAN )を指定することができます。
3.3 デフォルトVLAN
デフォルトVLANとは、本スイッチの初期状態から存在する VLAN #1 (vlan1) のことです。
デフォルトVLANは特殊なVLANであるため、常に存在し、削除することはできません。
なお、以下の操作を行うと、該当ポートは自動的にデフォルトVLANから削除されます。
- アクセスポートに対してデフォルトVLAN以外のVLAN を設定した
- トランクポートに対してデフォルトVLAN以外をネイティブVLANに設定した
- トランクポートに対してネイティブVLANをなし(none)にした
3.4 ネイティブVLAN
ネイティブVLANとは、トランクポートに設定したLANポートで、受信したタグなしフレームを所属させるVLANのことです。
LANポートをトランクポートとして定義すると、デフォルトVLAN(VLAN #1)がネイティブVLANとして設定されます。
特定のVLANをネイティブVLANとして定義することも可能です。
該当LANポートでタグなしフレームを扱わないようにしたい場合は、ネイティブVLANをなしに設定することも可能です。
4 設定例
VLANの設定は、L2MSマネージャー機能に対応したヤマハルーター、ヤマハスイッチもしくは「Yamaha LAN Monitor」から行うことができます。
以下の設定例では、L2MSマネージャーとしてRTX1210を使用します。
4.1 1台のL2MSエージェントのポートごとにVLAN設定する
- L2MSマネージャーのWeb GUIにアクセスし、「LANマップ」ページを開きます。
- [タグVLAN] ボタンをクリックして「タグVLAN」タブを開き [新規] ボタンをクリックします。
「Yamaha LAN Monitor」を使用する場合、VLANの作成方法が異なります。設定方法は「Yamaha LAN Monitor」のマニュアルをご参照ください。
- 設定したいVLANをあらかじめ作成します。
- [マップ] ボタンをクリックして「マップ」タブを開きます。
- ツリービューで本製品を選択し、設定対象のポートを選択した後、 [ポートの設定] ボタンをクリックします。
- 「ポートの設定」ダイアログで、「タグVLAN」の [設定] ボタンをクリックします。
ポートベースVLANの設定を行う場合も、「タグVLANの設定」ダイアログから行います。
- 「タグVLANの設定」ダイアログで、動作モード、アクセスVLAN ID、トランクVLAN IDを選択し、 [設定の確定] ボタンをクリックします。
アクセスVLAN IDとトランクVLAN IDには、L2MSマネージャーで既に作成されているVLAN ID、もしくは設定対象のポートに既に設定されているVLAN IDから選択できます。
ポートベースVLANの設定を行う場合、動作モードで「アクセスポート」を選択し、アクセスVLAN IDを選択してください。
タグVLANの設定を行う場合、動作モードで「トランクポート」を選択し、ネイティブVLAN IDとトランクVLAN IDを選択してください。
4.2 複数のL2MSエージェントを一括でVLAN設定する(LANマップのみ)
タグVLANの一括設定はヤマハルーターもしくはヤマハスイッチの「LANマップ」から設定することができます。「Yamaha LAN Monitor」はタグVLANの一括設定に対応していないためご注意ください。
- L2MSマネージャーのWeb GUIにアクセスし、「LANマップ」ページを開きます。(4.1 手順1と同様)
- [タグVLAN] ボタンをクリックして「タグVLAN」タブを開き [新規] ボタンをクリックします。(4.1 手順2と同様)
- 設定したいVLANをあらかじめ作成します。(4.1 手順3と同様)
- 設定したいVLANの [参加ポート選択] ボタンをクリックします。
- VLANに参加させたいポートを選択して、 [設定の確定] ボタンをクリックします。
ポートをクリックすると、そのポートは選択したVLAN IDに所属します。
また、アップリンクポートと上流スイッチのアップリンク/ダウンリンクポートも自動的に選択されます。
アップリンクポートと上流スイッチのアップリンク/ダウンリンクポートは、自動的にトランクモードかつネイティブVLAN 1に設定され、トランクVLANには選択したVLAN IDが追加されます。
5 注意事項
本製品は、初期設定で全てのLANポートがアクセスモードに設定され、デフォルトVLAN(vlan1)に所属しています。
初期設定ではタグ付きフレームは受信ポートで破棄されるため、タグ付きフレームを送受信するポートはトランクポートに設定し、適切に所属VLANを設定してください。
6 関連文書
特になし