4.45 LAN インターフェースの動作タイプの設定

[書式]

[設定値及び初期値]

[説明]

指定した LAN インターフェースの速度と動作モードの種類、およびオプション機能について設定する。

スイッチングハブを持つ LAN インターフェースについては、ポート毎に速度と動作モードを指定できる。


mtu
インターフェースで送受信できる最大データ長を指定する。データ長には MAC ヘッダと FCS は含まれない。また、タグ VLAN 時のタグ長 (4 バイト ) も含まれない。

指定できるデータ長の範囲は LAN インターフェースによって異なる。ジャンボフレームをサポートしていない LAN インターフェースでは、64~1500 の範囲となる。ジャンボフレームをサポートしている LAN インターフェースでは、以下のようになる。
機種 インターフェース 設定範囲
RTX3510 LAN1、LAN2、LAN3、LAN4 64~10218
RTX3500、RTX5000 LAN1、LAN2、LAN3、LAN4 64~9578
RTX1300 LAN1~LAN8 64~10218

インターフェースの mtu を設定して、かつ、ip mtu コマンドまたは ipv6 mtu コマンドの設定が初期値のままの場合、IPv4 や IPv6 での MTU にはインターフェースの mtu が利用される。一方、ip mtu コマンドまたは ipv6 mtu コマンドが設定されていて、かつ、その設定値がインターフェースの mtu より小さい場合、ip mtu コマンドまたはipv6 mtu コマンドの設定値が MTU として利用される。インターフェースの mtu も含めてすべて設定されていない時には、初期値である 1500 が利用される。


○オートクロスオーバー機能
LAN ケーブルがストレートケーブルかクロスケーブルかを自動的に判定して接続する機能。この機能が有効になっていると、ケーブルのタイプがどのようなものであるかを気にする必要が無くなる。
このオプションは RTX1300 では利用できない。lan port type コマンドでポート毎に設定する。


○MAC アドレスエージング機能
スイッチングハブを持つ LAN インターフェースでのみ利用できる。
このオプションは RTX3510、RTX1300 では利用できない。switching-hub macaddress-aging コマンドで設定する。


スイッチングハブが持つ MAC アドレステーブル内のエントリを、一定時間で消去していく機能。この機能を off にすると、一度スイッチングハブが記憶した MAC アドレスは自動的に消去されないのはもちろん、clear switching-hub macaddress コマンドを実行しても消去されない。エントリが消去されるのは、この機能を on に設定し直した時だけになる。


以下の機種では設定値に秒数を指定することができる。ただし、コマンドの設定値と実際に消去されるまでの時間に誤差が生じる場合がある。
RTX1220 、RTX1210 では、設定した値からその 2 倍の時間までの間に消去される。
RTX830 では、13 秒未満の値を設定しても、実際に消去される時間が 13 秒より短くなることはない。

機種 設定範囲
RTX5000、RTX3500、RTX830 1~3825
RTX1220、RTX1210 10~630


秒数を指定できる機種で on を入力すると初期値である300に変換される。

MAC アドレステーブルの大きさは以下の通りとなる。
機種 最大エントリ数
RTX5000、RTX3500、RTX1220、RTX1210、RTX830 8192


○LAN 分割機能
スイッチングハブを持つ LAN インターフェースでのみ利用できる。
このオプションは RTX1300 では利用できない。

LAN 分割機能には基本機能と拡張機能がある。


基本機能では、スイッチングハブの各ポートが個別の LAN インターフェースとして動作する。各インターフェースにはそれぞれ個別の IP アドレスを付与でき、その間でのルーティグも可能になる。
例えば RTX830 は通常は LAN インターフェースを 2 つ持つルーターなのだが、LAN 分割機能を使えば LAN インターフェースを 5 個利用できることになる。


拡張機能では、スイッチングハブの各ポートを自由に組み合わせて 1 つの LAN インターフェース (VLAN インターフェース ) とすることができる。
同一の VLAN インターフェースに所属するポート間はスイッチとして動作する。

LAN 分割で使用するインターフェース名は基本機能と拡張機能で異なる。

基本機能における LAN インターフェースのインターフェース名は元の LAN インターフェース名にピリオドとポート番号をつなげることで表される。

例えば、RTX830 は lan1 が 4 ポートのスイッチングハブを持つ LAN インターフェースなので、以下の LAN インターフェースが使用できるようになる。
ポート番号 インターフェース名
1 lan1.1
2 lan1.2
3 lan1.3
4 lan1.4


拡張機能では、LAN インターフェースのインターフェース名として vlan1、vlan2、vlan3・・・(VLAN インターフェース ) を使用する。基本機能とは異なり、VLAN インターフェースは特定のポートと関連付けられてはいない。
vlan port mapping コマンドを用いて、スイッチングハブの各ポートがどの VLAN インターフェースに所属するかを設定することで、分割方法を自由に変更することができる。

同時にいくつの VLAN インターフェースを使用できるかは機種ごとに異なり、以下の通りとなる。
機種 設定できる VLAN インターフェース
RTX5000、RTX3510、RTX3500 vlan1-vlan4 (LAN1)、vlan5-vlan8 (LAN2)
RTX1220、RTX1210 vlan1-vlan8
RTX830 vlan1-vlan4

LAN 分割機能を有効にした場合、lan1 インターフェースに対する設定は、lan1.1( 基本機能の場合 ) もしくは vlan1( 拡張機能の場合 ) に引き継がれる。

LAN 分割で使用する LAN インターフェースの MAC アドレスは元の LAN インターフェースの MAC アドレスに一致する。したがって上記の例では、lan1.1-lan1.4 や vlan1-vlan4 の MAC アドレスはすべて lan1 と同一になる。


○ポート分離機能
スイッチングハブを持つ LAN インターフェースでのみ利用できる。
このオプションは RTX1300 では利用できない。

通常は、スイッチングハブの各ポートは他のポートと制限無く通信できるが、ポート分離機能を利用すると、ポート間での通信を制限することができる。

ポート分離機能には基本機能と拡張機能があり、基本機能ではポート間での通信を制限しつつ、ルーターを経由した通信が可能であり、拡張機能では指定ポートからのルーターを経由した通信も制限することができる。

基本機能では、ポートをグループに分離し、グループ内の通信およびルーターとの通信は可能としつつ、他のグループのポートとは通信を制限できる。

LAN 分割機能とは異なり、ポート分離機能によって LAN インターフェースが増減することはない。分離されたポートはすべて同じ LAN インターフェースとして認識され、同一の IP アドレスを持つ。

ポートの分離パターンは、ポート番号の数字の並びで分離する部分に ":" を入れて記述する。例を以下に示す。

スイッチングハブのポート数が 4 の場合
split_pattern   ポー   説明
1 2 3 4
1:234 ←→ ←- -- -→ ポート 1 とその他
1:2:34 ←→ ←→ ←- -→ ポート 1、ポート 2 とその他
1:2:3:4 ←→ ←→ ←→ ←→ 全ポートを分離
RTX1220、RTX1210 では、最後のグループの記述を省略することができる。以下の表では、省略形を括弧内に示す。
split_pattern       ポー       説明
1 2 3 4 5 6 7 8
123:45678 (123) ←- -- -→ ←- -- -- -- -→ ポート 1-3 とその他
1:234:5678 (1:234) ←→ ←- -- -→ ←- -- -- -→ ポート 1 とポート 2-4 とその他
12:34:56:78 (12:34:56) ←- -→ ←- -→ ←- -→ ←-→ -→ ポート 1、2、ポート 3、4、ポート 5、6 とその他
1:2:3:4:5:6:7:8 (1:2:3:4:5:6:7) ←→ ←→ ←→ ←→ ←→ ←→ ←→ ←→ 全ポートを分離

省略形でコマンドを入力しても、show config の出力には省略しない形で表示される。

同一 LAN インターフェースにおけるプライマリアドレスのネットワークとセカンダリアドレスのネットワーク間の通信はルーターを経由するので、他のグループとの通信も可能である。

拡張機能では、ポート毎に受信したパケットを転送するポートを指定することで、ポート間やルーター自身、ルーターを経由した通信を制限することができる。 具体的には、以下のように設定する。

  lan type lan1 port-based-option=X1,X2,X3,X4

Xn(n = 1..4)にはポートnで受信したパケットを転送するポート番号を羅列し、ルーター自身との通信・ルーターを経由した通信を許可する場合は"+"、禁止する場合は"-"を末尾につける。ただし"+"は省略可能である。

"-"を指定した場合、そのポートで受信したパケットはルーティングされなくなる。またそのポートに接続された機器はルーターとの通信ができなくなる。

例えば以下の設定の場合、ポート1から3で受信したパケットはポート4とルーターに転送され、ポート4で受信したパケットはポート1から3に転送されるがルーターには転送されない。つまり、ポート1と4、ポート2と4、ポート3と4の3つのグループに分離された状態となり、ポート1から3はお互いのポートと通信できずポート4とのみ通信可能になる。また、ポート1から3はルーターと通信可能だが、ポート4は通信不可であり受信パケットもルーティングされない。

  lan type lan1 port-based-option=4,4,4,123-


○速度ダウンシフト機能
on に設定すると 1000BASE-T で使用できないケーブルを接続された時に、速度を落としてリンクを試みる。
このオプションは RTX1300 では利用できない。lan port type コマンドでポート毎に設定する。
RTX5000、RTX3510、RTX3500、RTX1220、RTX1210、RTX830 で利用可能。


○省電力機能
on に設定すると通信していない LAN ポートで消費電力を抑えることができる。
このオプションはRTX1300では利用できない。lan port typeコマンドでポート毎に設定する。
RTX3510、RTX1220、RTX1210、RTX830 で利用可能。
RTX3510、RTX1220、RTX1210、RTX830 は EEE(Energy Efficient Ethernet)に対応している。この機能を有効にするには、接続する機器もEEEをサポートしている必要がある。

[ノート]

本コマンドの実行後、LAN インターフェースのリセットが自動で行われ、その後に設定が有効となる。

RTX5000、RTX3500、RTX1220、RTX1210 は、このコマンドを実行すると、対象のlan インターフェースのみがリセットされる。

RTX830 は、このコマンドを実行すると、lan1 および lan2 インターフェースが同時にリセットされる。


RTX3510、RTX1300は、このコマンドを実行すると、すべてのLANインターフェースがリセットされる。


RTX1300 は、第5書式のみ使用可能である。 macaddress-aging オプションは switching-hub macaddress-aging コマンドで設定できる。port-based-option のうち divide-network(LAN分割機能)は lan flexible-port コマンドで代用できる。split-into(ポート分離機能)は使用できない。その他のオプションは lan port type コマンドで設定できる。

[設定例]

  1. スイッチングハブを持つ LAN インターフェースで、ポート 1、2 は 100BASE-TX 全二重、その他のポートはオートネゴシエーションで接続する。
    # lan type lan1 100-fdx 1 2
    
  2. スイッチングハブを持つ LAN インターフェースで、ポート 1 は 100BASE-TX 全二重、その他のポートはオートネゴシエーションで接続し、LAN 分割機能を使用する。
    # lan type lan1 100-fdx 1 port-based-option=divide-network
    
  3. スイッチングハブを持つ LAN インターフェースで、すべてのポートでオートネゴシエーションで接続する。ポート分離機能でポートを分離する。
    • 4 つのポートを持つスイッチングハブの 1、2 と 3、4 を分離する場合
      # lan type lan1 port-based-option=split-into-12:34
      
    • 8 つのポートを持つスイッチングハブの 1、2、3 と 4、5、6 とその他を分離する場合
      # lan type lan1 port-based-option=split-into-123:456:78
      
    • 分離パターンを省略して記述する場合
      # lan type lan1 port-based-option=split-into-123:456
      
  4. LAN1 で、ジャンボフレーム (9000 バイト ) を使用できるようにする。
    # lan type lan1 auto mtu=9000
    

[適用モデル]

RTX5000, RTX3510, RTX3500, RTX1300, RTX1220, RTX1210, RTX830