28.13 指定インタフェースの OSPF エリア設定

[書式]

[設定値及び初期値]

[説明]


指定したインタフェースの属する OSPF エリアを設定する。
NAME パラメータの type はインタフェースのネットワークがどのようなタイプであるかを設定する。
parameters では、リンクパラメータを設定する。パラメータは NAME=VALUE の形で指定され、以下の種類がある。

NAME VALUE 説明
type broadcast ブロードキャスト
point-to-point ポイント・ポイント
point-to-multipoint ポイント・マルチポイント
non-broadcast NBMA
passive   インタフェースに対して、OSPF パケットを送信しない。該当インタフェースに他の OSPF ルーターがいない場合に設定する。
cost コスト
インタフェースのコストを設定する。初期値は、インタフェースの種類と回線速度によって決定される。LAN インタフェースの場合は 1、PP インタフェースの場合は、バインドされている回線の回線速度を S[kbit/s]とすると、以下の計算式で決定される。例えば、64kbit/s の場合は 1562、1.536Mbit/s の場合には 65 となる。(0..65535)
  • COST=100000/S
TUNNEL インタフェースの場合は、1562 がデフォルト値となる。
priority 優先度 指定ルーターの選択の際の優先度を設定する。PRIORITY 値が大きいルーターが指定ルーターに選ばれる。0 を設定すると、指定ルーターに選ばれなくなる。(0..255)
retransmit-interval 秒数 LSA を連続して送る場合の再送間隔を秒単位で設定する。 (1..)
transmit-delay 秒数 リンクの状態が変わってから LSA を送信するまでの時間を秒単位で設定する。 (1..)
hello-interval 秒数 HELLO パケットの送信間隔を秒単位で設定する。 (1..)
dead-interval 秒数 近隣ルーターから HELLO を受け取れない場合に、近隣ルーターがダウンしたと判断するまでの時間を秒単位で設定する。 (1..)
poll-interval 秒数 非ブロードキャストリンクでのみ有効なパラメータで、近隣ルーターがダウンしている場合の HELLO パケットの送信間隔を秒単位で設定する。 (1..)
authkey 文字列 プレーンテキスト認証の認証鍵を表す文字列を設定する。(8 文字以内)
md5key "(ID),(KEY)" MD5 認証の認証鍵を表す ID と鍵文字列 KEY を設定する。ID は十進数で 0~255、KEY は文字列で 16 文字以内。MD5 認証鍵は 2 つまで設定できる。複数の MD5 認証鍵が設定されている場合には、送信パケットは同じ内容のパケットを複数個、それぞれの鍵による認証データを付加して送信する。受信時には鍵 ID が一致する鍵が比較対象となる。
md5-sequence-mode "second" 送信時刻の秒数
"increment" 単調増加
LOOPBACK インタフェースに設定する場合は、type パラメータでインタフェースタイプを、cost パラメータでインタフェースのコストを指定できる。LOOPBACK インタフェースのタイプで指定できるのは、以下の 2 種類だけとなる。
NAME VALUE 広告される経路の種類 OSPF 的なインタフェースの扱い  
タイプ 状態
type loopback LOOPBACK インタフェースの IP アドレスのみのホスト経路 point-to-point Loopback
loopback-network LOOPBACK インタフェースの implicit なネットワーク経路 NBMA DROther

[ノート]


・NAME パラメータの type について
NAME パラメータの type として、LAN インタフェースは broadcast のみが許される。PP インタフェースは、PPP を利用する場合は point-to-point、フレームリレーを利用する場合は point-to-multipoint と non-broadcast のいずれかが設定できる。
フレームリレーで non-broadcast(NBMA) を利用する場合には、フレームリレーの各拠点間のすべての間で PVC が設定されており、FR に接続された各ルーターは他のルーターと直接通信できるような状態、すなわちフルメッシュになっていなくてはならない。また、non-broadcast では近隣ルーターを自動的に認識することができないため、すべての近隣ルーターをip pp ospf neighbor コマンドで設定する必要がある。
point-to-multipoint を利用する場合には、フレームリレーの PVC はフルメッシュである必要はなく、一部が欠けたパーシャルメッシュでも利用できる。近隣ルーターは InArp を利用して自動的に認識するため、InArp が必須となる。RT では InArp を使うかどうかは fr inarp コマンドで制御できるが、デフォルトでは InArp を使用する設定になっているので、ip pp address コマンドでインタフェースに適切な IP アドレスを与えるだけでよい。


point-to-multipoint と設定されたインタフェースでは、ip pp ospf neighbor コマンドの設定は無視される。
point-to-multipoint の方が non-broadcast よりもネットワークの制約が少なく、また設定も簡単だが、その代わりに回線を流れるトラフィックは大きくなる。non-broadcast では、broadcast と同じように指定ルーターが選定され、HELLO などの OSPF トラフィックは各ルーターと指定ルーターの間だけに限定されるが、point-tomultipoint ではすべての通信可能なルーターペアの間に point-to-point リンクがあるという考え方なので、OSPF トラフィックもすべての通信可能なルーターペアの間でやりとりされる。


・passive について
passive は、インタフェースが接続しているネットワークに他の OSPF ルーターが存在しない場合に指定する。
passive を指定しておくと、インタフェースから OSPF パケットを送信しなくなるので、無駄なトラフィックを抑制したり、受信側で誤動作の原因になるのを防ぐことができる。

LAN インタフェース (type=broadcast であるインタフェース ) の場合には、インタフェースが接続しているネットワークへの経路は、ip interface ospf area コマンドを設定していないと他の OSPF ルーターに広告されない。そのため、OSPF を利用しないネットワークに接続する LAN インタフェースに対しては、passive を付けたip interface ospf area コマンドを設定しておくことでそのネットワークでは OSPF を利用しないまま、そこへの経路を他の OSPF ルーターに広告することができる。

PP インタフェースに対してip interface ospf area コマンドを設定していない場合は、インタフェースが接続するネットワークへの経路は外部経路として扱われる。外部経路なので、他の OSPF ルーターに広告するにはospf import コマンドの設定が必要である。


・hello-interval/dead-interval について
hello-interval/dead-interval の値は、そのインタフェースから直接通信できるすべての近隣ルーターとの間で同じ値でなくてはいけない。これらのパラメータの値が設定値とは異なっている OSPF HELLO パケットを受信した場合には、それは無視される。


・MD5 認証鍵について
MD5 認証鍵を複数設定できる機能は、MD5 認証鍵を円滑に変更するためである。
通常の運用では、MD5 認証鍵は 1 つだけ設定しておく。MD5 認証鍵を変更する場合は、まず 1 つのルーターで新旧の MD5 認証鍵を 2 つ設定し、その後、近隣ルーターで MD5 認証鍵を新しいものに変更していく。そして、最後に 2 つの鍵を設定したルーターで古い鍵を削除すれば良い。

[適用モデル]

RTX5000, RTX3510, RTX3500, RTX1300, RTX1220, RTX1210, RTX830