4.46 LAN インタフェースの動作タイプの設定

[書式]

[設定値及び初期値]

[説明]

指定した LAN インタフェースの速度と動作モードの種類、およびオプション機能について設定する。

スイッチングハブを持つ LAN インタフェースについては、ポート毎に速度と動作モードを指定できる。


"port-based-ks8995m/port-based-option" を設定する場合、コマンド文字列として、Rev.10.01 系以前のファームウェアでは "port-based-ks8995m" を、Rev.10.01 系以降のファームウェアでは "port-based-option" を入力する。
Rev.10.01 系以降のファームウェアでも "port-based-ks8995m" を入力することはできるが、show config の出力には "port-based-option" と表示される。


mtu
インタフェースで送受信できる最大データ長を指定する。データ長には MAC ヘッダと FCS は含まれない。また、タグ VLAN 時のタグ長 (4 バイト ) も含まれない。

指定できるデータ長の範囲は LAN インタフェースによって異なる。ジャンボフレームをサポートしていない LAN インタフェースでは、64~1500 の範囲となる。ジャンボフレームをサポートしている LAN インタフェースでは、以下のようになる。
機種 インタフェース 設定範囲
RTX5000、RTX3500 LAN1、LAN2、LAN3、LAN4 64~9578
RTX3000 LAN1、LAN2 64~9578

インタフェースのmtu を設定して、かつ、ip mtu コマンドまたはipv6 mtu コマンドが設定されずデフォルトのままの場合、IPv4 や IPv6 でのmtu としてはインタフェースのmtu が利用される。一方、ip mtu コマンドまたはipv6 mtu コマンドが設定されている場合には、インタフェースのmtu の設定にかかわらず、ip mtu コマンドまたはipv6 mtu コマンドの設定値がmtu として利用される。インタフェースのmtu も含めてすべて設定されていない時には、デフォルト値である 1500 が利用される。


○オートクロスオーバー機能
LAN ケーブルがストレートケーブルかクロスケーブルかを自動的に判定して接続する機能。この機能が有効になっていると、ケーブルのタイプがどのようなものであるかを気にする必要が無くなる。


○MAC アドレスエージング機能
スイッチングハブを持つ LAN インタフェースでのみ利用できる。


スイッチングハブが持つ MAC アドレステーブル内のエントリを、一定時間で消去していく機能。この機能を off にすると、一度スイッチングハブが記憶した MAC アドレスは自動的に消去されないのはもちろん、clear switching-hub macaddress コマンドを実行しても消去されない。エントリが消去されるのは、この機能を on に設定し直した時だけになる。


以下の機種では設定値に秒数を指定することができる。ただし、コマンドの設定値と実際に消去されるまでの時間に誤差が生じる場合がある。
RTX1220、RTX1210 では、設定した値からその 2 倍の時間までの間に消去される。
RTX830 では、13 秒未満の値を設定しても、実際に消去される時間が 13 秒より短くなることはない。

機種 設定範囲
RTX5000、RTX3500、RTX830 1~3825
RTX1220、RTX1210 10~630
RTX1200 1~86400
RTX810 1~3551


秒数を指定できる機種でonを入力すると初期値である300に変換される。

MAC アドレステーブルの大きさは以下の通りとなる。
機種 最大エントリ数
RTX5000、RTX3500、RTX1220、RTX1210、RTX1200、RTX830 8192
RTX1500、RTX1100、RTX810、RT107e、SRT100 1024


○LAN 分割機能
スイッチングハブを持つ LAN インタフェースでのみ利用できる。
このオプションは RT107e では利用できない。

LAN 分割機能には基本機能と拡張機能があり、拡張機能は Rev.10.01 系以降のファームウェアで利用できる。


基本機能では、スイッチングハブの各ポートが個別の LAN インタフェースとして動作する。各インタフェースにはそれぞれ個別の IP アドレスを付与でき、その間でのルーティグも可能になる。
例えば RTX1100 は通常は LAN インタフェースを 3 つ持つルーターなのだが、LAN 分割機能を使えば LAN インタフェースを 6 個利用できることになる。


拡張機能では、スイッチングハブの各ポートを自由に組み合わせて 1 つの LAN インタフェース (VLAN インタフェース ) とすることができる。
同一の VLAN インタフェースに所属するポート間はスイッチとして動作する。

LAN 分割で使用するインタフェース名は基本機能と拡張機能で異なる。

基本機能における LAN インタフェースのインタフェース名は元の LAN インタフェース名にピリオドとポート番号をつなげることで表される。

例えば、RTX1100 は lan1 が 4 ポートのスイッチングハブを持つ LAN インタフェースなので、以下の LAN インタフェースが使用できるようになる。
ポート番号 インタフェース名
1 lan1.1
2 lan1.2
3 lan1.3
4 lan1.4


拡張機能では、LAN インタフェースのインタフェース名として vlan1、vlan2、vlan3・・・(VLAN インタフェース ) を使用する。基本機能とは異なり、VLAN インタフェースは特定のポートと関連付けられてはいない。
vlan port mapping コマンドを用いて、スイッチングハブの各ポートがどの VLAN インタフェースに所属するかを設定することで、分割方法を自由に変更することができる。

同時にいくつの VLAN インタフェースを使用できるかは機種ごとに異なり、以下の通りとなる。
機種 設定できる VLAN インタフェース
RTX5000、RTX3500 vlan1-vlan4 (LAN1)、vlan5-vlan8 (LAN2)
RTX1220、RTX1210、RTX1200 vlan1-vlan8
RTX830、RTX810 vlan1-vlan4

LAN 分割機能を有効にした場合、lan1 インタフェースに対する設定は、lan1.1( 基本機能の場合 ) もしくは vlan1( 拡張機能の場合 ) に引き継がれる。

LAN 分割で使用する LAN インタフェースの MAC アドレスは元の LAN インタフェースの MAC アドレスに一致する。したがって上記の例では、lan1.1-lan1.4 や vlan1-vlan4 の MAC アドレスはすべて lan1 と同一になる。


○ポート分離機能
Rev.8.03.24 以降のファームウェアで、スイッチングハブを持つ LAN インタフェースでのみ利用できる。

通常は、スイッチングハブの各ポートは他のポートと制限無く通信できるが、ポート分離機能を利用すると、ポート間での通信を制限することができる。

ポート分離機能には基本機能と拡張機能があり、基本機能ではポート間での通信を制限しつつ、ルーターを経由した通信が可能であり、拡張機能では指定ポートからのルーターを経由した通信も制限することができる。

拡張機能は Rev.11.01 系以降のファームウェアで利用できる。

基本機能では、ポートをグループに分離し、グループ内の通信およびルーターとの通信は可能としつつ、他のグループのポートとは通信を制限できる。

LAN 分割機能とは異なり、ポート分離機能によって LAN インタフェースが増減することはない。分離されたポートはすべて同じ LAN インタフェースとして認識され、同一の IP アドレスを持つ。

ポートの分離パターンは、ポート番号の数字の並びで分離する部分に ":" を入れて記述する。例を以下に示す。

スイッチングハブのポート数が 4 の場合
split_pattern   ポー   説明
1 2 3 4
1:234 ←→ ←- -- -→ ポート 1 とその他
1:2:34 ←→ ←→ ←- -→ ポート 1、ポート 2 とその他
1:2:3:4 ←→ ←→ ←→ ←→ 全ポートを分離
RTX1220、RTX1210、 RTX1200 では、最後のグループの記述を省略することができる。以下の表では、省略形を括弧内に示す。
split_pattern       ポー       説明
1 2 3 4 5 6 7 8
123:45678 (123) ←- -- -→ ←- -- -- -- -→ ポート 1-3 とその他
1:234:5678 (1:234) ←→ ←- -- -→ ←- -- -- -→ ポート 1 とポート 2-4 とその他
12:34:56:78 (12:34:56) ←- -→ ←- -→ ←- -→ ←-→ -→ ポート 1、2、ポート 3、4、ポート 5、6 とその他
1:2:3:4:5:6:7:8 (1:2:3:4:5:6:7) ←→ ←→ ←→ ←→ ←→ ←→ ←→ ←→ 全ポートを分離

省略形でコマンドを入力しても、show config の出力には省略しない形で表示される。

同一 LAN インタフェースにおけるプライマリアドレスのネットワークとセカンダリアドレスのネットワーク間の通信はルーターを経由するので、他のグループとの通信も可能である。

拡張機能では、ポート毎に受信したパケットを転送するポートを指定することで、ポート間やルーター自身、ルーターを経由した通信を制限することができる。 具体的には、以下のように設定する。

  lan type lan1 port-based-option=X1,X2,X3,X4

Xn(n = 1..4)にはポートnで受信したパケットを転送するポート番号を羅列し、ルーター自身との通信・ルーターを経由した通信を許可する場合は"+"、禁止する場合は"-"を末尾につける。ただし"+"は省略可能である。

"-"を指定した場合、そのポートで受信したパケットはルーティングされなくなる。またそのポートに接続された機器はルーターとの通信ができなくなる。

例えば以下の設定の場合、ポート1から3で受信したパケットはポート4とルーターに転送され、ポート4で受信したパケットはポート1から3に転送されるがルーターには転送されない。つまり、ポート1と4、ポート2と4、ポート3と4の3つのグループに分離された状態となり、ポート1から3はお互いのポートと通信できずポート4とのみ通信可能になる。また、ポート1から3はルーターと通信可能だが、ポート4は通信不可であり受信パケットもルーティングされない。

  lan type lan1 port-based-option=4,4,4,123-


○速度ダウンシフト機能
on に設定すると 1000BASE-T で使用できないケーブルを接続された時に、速度を落としてリンクを試みる。
RTX5000、RTX3500、RTX1220、RTX1210、RTX1200、RTX830、RTX810 で利用可能。


○省電力機能
on に設定すると通信していない LAN ポートで消費電力を抑えることができる。
RTX1220、RTX1210、RTX1200、RTX830 で利用可能。
RTX1220、RTX1210、RTX830 は EEE(Energy Efficient Ethernet)に対応している。この機能を有効にするには、接続する機器もEEEをサポートしている必要がある。
RTX1200 は 独自方式である。

[ノート]

本コマンドの実行後、LAN インタフェースのリセットが自動で行われ、その後に設定が有効となる。

RTX5000、RTX3500、RTX3000、RTX1220、RTX1210、RTX1200 は、このコマンドを実行すると、対象のlan インタフェースのみがリセットされる。

RTX1500、RTX1100 は、lan1 または lan2 に対してこのコマンドを実行すると、lan1 および lan2 インタフェースが同時にリセットされる。 lan3 に対してこのコマンドを実行すると、lan3 インタフェースのみがリセットされる。

RTX830、RTX810、RT107e、SRT100 は、このコマンドを実行すると、lan1 および lan2 インタフェースが同時にリセットされる。

RT250i は、lan1 インタフェースがリセットされる。

[設定例]

  1. スイッチングハブを持つ LAN インタフェースで、ポート 1、2 は 100BASE-TX 全二重、その他のポートはオートネゴシエーションで接続する。
    # lan type lan1 100-fdx 1 2
    
  2. スイッチングハブを持つ LAN インタフェースで、ポート 1 は 100BASE-TX 全二重、その他のポートはオートネゴシエーションで接続し、LAN 分割機能を使用する。
    • Rev.10.01 系以前のファームウェアの場合
      # lan type lan1 100-fdx 1 port-based-ks8995m=divide-network
      
    • Rev.10.01 系以降のファームウェアの場合
      # lan type lan1 100-fdx 1 port-based-option=divide-network
      
  3. スイッチングハブを持つ LAN インタフェースで、すべてのポートでオートネゴシエーションで接続する。ポート分離機能でポートを分離する。
    • Rev.10.01 系以前のファームウェアで、4 つのポートを持つスイッチングハブの 1、2 と 3、4 を分離する場合
      # lan type lan1 port-based-ks8995m=split-into-12:34
      
    • Rev.10.01 系以降のファームウェアで、8 つのポートを持つスイッチングハブの 1、2、3 と 4、5、6 とその他を分離する場合
      # lan type lan1 port-based-option=split-into-123:456:78
      
    • 分離パターンを省略して記述する場合
      # lan type lan1 port-based-option=split-into-123:456
      
  4. LAN1 で、ジャンボフレーム (9000 バイト ) を使用できるようにする。
    # lan type lan1 auto mtu=9000
    

[適用モデル]

RTX5000, RTX3500, RTX3000, RTX1500, RTX1220, RTX1210, RTX1200, RTX1100, RTX830, RTX810, RT250i, RT107e, SRT100