IPv6 コマンド仕様

1. IPv6アドレスの管理

1.1. インタフェースのIPv6アドレスの設定

[入力形式]
	ipv6 INTERFACE address IPV6_ADDRESS/PREFIX_LEN
[パラメータ]
	INTERFACE ... インタフェース名
		- lan
		- pp
		- tunnel
	IPV6_ADDRESS ... IPv6アドレス
	PREFIX_LEN ... プレフィックス長
[説明]
	インタフェースにIPv6アドレスを付与する。
[ノート]
	このコマンドで付与したアドレスは、show ipv6 addressコマンドで
	確認することができる。

1.2. インタフェースのIPv6アドレスの削除

[入力形式]
	ipv6 INTERFACE address delete IPV6_ADDRESS/PREFIX_LEN	(Rev.6以前)
	no ipv6 INTERFACE address IPV6_ADDRESS/PREFIX_LEN	(Rev.6以降)
[パラメータ]
	INTERFACE ... インタフェース名
		- lan
		- pp
		- tunnel
	IPV6_ADDRESS ... IPv6アドレス
	PREFIX_LEN ... プレフィックス長
[説明]
	インタフェースに設定されたIPv6アドレスを削除する。

1.3. インタフェースに付与されているIPv6アドレスの表示

[入力形式]
	show ipv6 address
[説明]
	すべてのインタフェースについて、付与されているIPv6アドレスを
	表示する。

2. 近隣探索

2.1. ルータ広告で配布するプレフィックスの定義

[入力形式]
	ipv6 prefix PREFIX_ID PREFIX/PREFIX_LEN [valid_lifetime=TIME] [preferred_lifetime=TIME] [l_flag=SW] [a_flag=SW]
	ipv6 prefix PREFIX_ID clear	(Rev.6以前)
	no ipv6 prefix PREFIX_ID	(Rev.6以降)
[パラメータ]
	PREFIX_ID ... プレフィックス番号
	PREFIX ... プレフィックス
	PREFIX_LEN ... プレフィックス長	
	TIME ... プレフィックスの寿命
	SW ... 'on' または'off'
[説明]
	ルータ広告で配布するプレフィックスを定義する。実際に広告するためには、
	ipv6 INTERFACE rtadv prefixコマンドの設定が必要である。

	TIMEでは寿命を秒数または寿命が尽きる時刻のいずれかを設定できる。
	TIMEとして数値(60以上15552000以下)を設定すると、その秒数を寿命
	として広告する。
	TIMEとして時刻を設定すると、その時刻に寿命が尽きるものとして寿
	命を計算し、広告する。時刻を設定する時は、以下のようなフォーマッ
	トに従う。

		YYYY-MM-DD,hh:mm[:ss]

		YYYY: 年、1980〜2079
		  MM: 月、01〜12
		  DD: 日、01〜31
		  hh: 時、00〜23
		  mm: 分、00〜59
		  ss: 秒、00〜59、省略時は00
[ノート]
	リンクローカルのプレフィックスを設定することはできない。

2.2. ルータ広告の送信を制御する

[入力形式]
	ipv6 INTERFACE rtadv send PREFIX_ID [PREFIX_ID...] [m_flag=SW] [o_flag=SW]
	ipv6 INTERFACE rtadv send off	(Rev.6以前)
	no ipv6 INTERFACE rtadv send	(Rev.6以降)
[パラメータ]
	INTERFACE ... インタフェース名
		- lan
	PREFIX_ID ... プレフィックス番号
	SW ... 'on' または 'off'
[説明]
	インタフェースごとにルータ広告の送信を制御する。送信される
	プレフィックスとして、ipv6 prefixコマンドで設定されたものが
	用いられる。
[デフォルト値]
	off

2.3. 近隣キャッシュの表示

[入力形式]
	show ipv6 neighbor cache
[説明]
	近隣キャッシュの状態を表示する

2.4. 近隣キャッシュの消去

[入力形式]
	clear ipv6 neighbor cache
[説明]
	近隣キャッシュを消去する

3. 経路制御

3.1. IPv6の経路情報の追加

[入力形式]
	ipv6 route DESTINATION gateway GATEWAY [filter FILTER_NUM ...] [metric METRIC] [hide]...
[パラメータ]
	DESTINATION ... 送信先
		- IPv6アドレス/プレフィックス長
		- default
	GATEWAY ... ゲートウェイ
		- IPアドレス (RTA50i/RTA52i)
		- IPアドレス%スコープ識別子 (RT300i/RT140シリーズ/RT60w)
		- pp PP番号 [dlci=DLCI]
		- name 名前
		- tunnel TUNNEL番号
[説明]
	IPv6の経路情報を追加する。

3.2. IPv6の経路情報の削除

[入力形式]
	
	ipv6 route delete DESTINATION	(Rev.6以前)
	no ipv6 route DESTINATION	(Rev.6以降)
[パラメータ]
	DESTINATION ... 送信先
		- IPアドレス/プレフィックス長
		- default 
[説明]
	IPv6の経路情報を削除する。

3.3. IPv6の経路情報の表示

[入力形式]
	show ipv6 route
[説明]
	IPv6の経路情報を表示する。

3.4. IPv6の動的経路情報の消去

[入力形式]
	clear ipv6 dynamic routing
[説明]
	経路制御プロトコルが得たIPv6の経路情報を消去する。

3.5. RIPng

3.5.1 RIPngを使うかどうか

[入力形式]
	ipv6 rip use SW
	no ipv6 rip use		(Rev.6以降)
[パラメータ]
	SW ... スイッチ
		- on ...  RIPngを使う
		- off ... RIPngを使わない
[説明]
	RIPngを使うかどうかを設定する。
[デフォルト値]
	off

3.5.2 インタフェースにおけるRIPngの送信ポリシーの設定

[入力形式]
	ipv6 INTERFACE rip send SW
	no ipv6 INTERFACE rip send	(Rev.6以降)
[パラメータ]
	INTERFACE ... インタフェース名
		- lan
		- pp
		- tunnel
	SW ... スイッチ
		- on ...  RIPngを送信する
		- off ... RIPngを送信しない
[説明]
	RIPngの送信ポリシーを設定する。
[デフォルト値]
	off

3.5.3. インタフェースにおけるRIPngの受信ポリシーの設定

[入力形式]
	ipv6 INTERFACE rip receive SW
	no ipv6 INTERFACE rip receive	(Rev.6以降)
[パラメータ]
	INTERFACE ... インタフェース名
		- lan
		- pp
		- tunnel
	SW ... スイッチ
		- on ... 受信したRIPngパケットを処理する
		- off ... 受信したRIPngパケットを無視する
[説明]
	RIPngの受信ポリシーを設定する。
[デフォルト値]
	on

3.5.4. インタフェースにおける信頼できるRIPngゲートウェイの設定

[入力形式]
	ipv6 INTERFACE rip trust gateway [except] GATEWAY [GATEWAY ... ]
	ipv6 INTERFACE rip trust gateway clear	(Rev.6以前)
	no ipv6 INTERFACE rip trust gateway	(Rev.6以降)
[パラメータ]
	INTERFACE ... インタフェース名
		- lan, lan1, lan2
		- pp
	GATEWAY ... IPv6アドレス
[説明]
	信頼できるRIPngゲートウェイを設定する。
[デフォルト値]
	clear

3.5.5. RIPngの加算ホップ数の設定

[入力形式]
	ipv6 pp rip hop DIRECTION HOP
	no ipv6 pp rip hop		(Rev.6以降)
[パラメータ]
	DIRECTION ... 方向
		- in ... 受信時に加算する
		- out ... 送信時に加算する
	HOP ... 加算ホップ数
		- 1 - 15
[説明]
	PPインタフェースで送受信するRIPngのメトリックに対して
	加算するホップ数を設定する。
[デフォルト値]
	0

3.5.6. RIPngで送受信する経路に対するフィルタリングの設定

[入力形式]
	ipv6 INTERFACE rip filter DIRECTION FILTER_LIST
	ipv6 INTERFACE rip filter clear	(Rev.6以前)
	no ipv6 INTERFACE rip filter	(Rev.6以降)
[パラメータ]
	INTERFACE ... インタフェース名
		- lan, lan1, lan2
		- pp
		- tunnel
	DIRECTION ... 方向
		- in ... 内向きのパケットを対象にする
		- out ... 外向きのパケットを対象にする
	FILTER_LIST ... フィルタ番号
		- フィルタ番号の列
[説明]
	PPインタフェースで送受信するRIPngパケットに対して適用する
	フィルタを設定する。
[デフォルト値]
	clear

3.5.7. 回線接続時のPP側のRIPngの動作の設定

[入力形式]
	ipv6 pp rip connect send ACTION
	no ipv6 pp rip connect send	(Rev.6以降)
[パラメータ]
	ACTION ... 動作
		- interval ... 一定の間隔でRIPngを送信する
		- update ... 経路情報が変化したときのみRIPngを送信する
[説明]
	選択されている相手について回線接続時にRIPを送出する条件を設定する。
[デフォルト値]
	update

3.5.8. 回線接続時のPP側のRIPng送出の時間間隔の設定

[入力形式]
	ipv6 pp rip connect interval TIME
	no ipv6 pp rip connect interval	(Rev.6以降)
[パラメータ]
	TIME ... 送出間隔
		- 30〜21474836 (秒)
[説明]
	選択されている相手について回線接続時にRIPを送出する時間間隔を設定する。
[デフォルト値]
	30

3.5.9. 回線切断時のPP側のRIPngの動作の設定

[入力形式]
	ipv6 pp rip disconnect send ACTION
	no ipv6 pp rip disconnect send	(Rev.6以降)
[パラメータ]
	ACTION ... 動作
		- none ... RIPngを送信しない
		- interval ... 一定の間隔でRIPngを送信する
		- update ... 経路情報が変化したときのみRIPngを送信する
[説明]
	選択されている相手について回線接続時にRIPを送出する条件を設定する。
[デフォルト値]
	none

3.5.10. 回線切断時のPP側のRIPng送出の時間間隔の設定

[入力形式]
	ipv6 pp rip disconnect interval TIME
	no ipv6 pp rip disconnect interval	(Rev.6以降)
[パラメータ]
	TIME ... 送出間隔
		- 30〜21474836 (秒)
[説明]
	選択されている相手について回線切断時にRIPを送出する時間間隔を設定する。
[デフォルト値]
	3600

3.5.11. RIPngによる経路を回線切断時に保持するか否かの設定

[入力形式]
	ipv6 pp rip hold routing HOLD
	no ipv6 pp rip hold routing	(Rev.6以降)
[パラメータ]
	HOLD ... 保持するか否か
		- on ... 保持する
		- off ... 保持しない
[説明]
	PPインタフェースからRIPngで得られた経路を、回線が切断されたときに
	保持するか否かを設定する。
[デフォルト値]
	off

4. フィルタの設定

4.1. IPv6フィルタの定義

[入力形式]
	ipv6 filter FILTER_NUM TYPE SRC_ADDRESS[/PREFIX_LEN] [DST_ADDRESS[/PREFIX_LEN] [PROTOCOL [SRC_PORT_LIST [DST_PORT_LIST]]]]
[パラメータ]
	FILTER_NUM ... フィルタ番号
		- 1-100
	TYPE ... フィルタのタイプ (ip filterコマンドに準ずる)
		- pass
		- pass-log
		- reject
		- reject-nolog
		- restrict
		- restrict-log
		- restrict-nolog
[説明]
	IPv6のフィルタを定義する。

4.2. IPv6フィルタの削除

[入力形式]
	ipv6 filter delete FILTER_NUM	(Rev.6以前)
	no ipv6 filter FILTER_NUM	(Rev.6以降)
[パラメータ]
	FILTER_NUM ... フィルタ番号
		- 1 - 100
[説明]
	IPv6のフィルタを削除する。

4.3. IPv6フィルタの適用

[入力形式]
	ipv6 INTERFACE secure filter DIRECTION FILTER_LIST
	ipv6 INTERFACE secure filter DIRECTION clear	(Rev.6以前)
	no ipv6 INTERFACE secure filter DIRECTION	(Rev.6以降)
[パラメータ]
	INTERFACE ... インタフェース名
		- lan, lan1, lan2
		- pp
		- tunnel
	DIRECTION ... 方向
		- in ... 内向きのパケットを対象にする
		- out ... 外向きのパケットを対象にする
	FILTER_LIST ... フィルタ番号
		- フィルタ番号の列
[説明]
	IPv6フィルタをインタフェースに適用する。

5. トンネルリング

5.1. トンネルインタフェースの種別の設定

[入力形式]
	tunnel encapsulation TYPE
	no tunnel encapsulation
[パラメータ]
	TYPE ... トンネルインタフェースの種別
		- ipip  ... IPv4/IPv6 over IPv4/IPv6 tunnel
		- ipsec ... IPsec tunnel mode
[説明]
	トンネルインタフェースの種別を設定する。
	'ipip'を指定した場合は、IPv4 over IPv4、IPv4 over IPv6、
	IPv6 over IPv4、IPv6 over IPv6トンネルが利用できる。どのような
	トンネルが構成されるかは、tunnel endpoint addressコマンドの
	設定により決定される。
[デフォルト値]
	ipsec (IPsecを搭載している機種)
	ipip (IPsecを搭載していない機種)
[ノート]
	Rev.4.04.04、Rev.6.02.07以前のファームウェアではパラメータと
	して'4over6'と'6over4'が指定できたが、それらはすべて'ipip'に
	まとめられた。

5.2. トンネルインタフェースの端点IPアドレスの設定

[入力形式]
	tunnel endpoint address [LOCAL] REMOTE
	tunnel endpoint address clear	(Rev.6以前)
	no tunnel endpoint address	(Rev.6以降)
[パラメータ]
	LOCAL  ... 自分側のトンネルインタフェース端点のIPアドレス
	REMOTE ... 相手側のトンネルインタフェース端点のIPアドレス
[説明]
	トンネルインタフェース端点のIPアドレスを設定する。IPアドレスは
	IPv4/IPv6いずれのアドレスも設定できるが、LOCALとREMOTEでは
	IPv4/IPv6の種別が揃っていなくてはいけない。トンネルインタフェー
	ス端点としてIPv4アドレスを設定した場合には、IPv4 over IPv4トン
	ネルとIPv6 over IPv4トンネルが、IPv6アドレスを設定した場合には、
	IPv4 over IPv6トンネルとIPv6 over IPv6トンネルが利用できる。

	LOCALを省略した時には、適当なインタフェースのIPアドレスが利用
	される。
[ノート]
	このコマンドにより設定したIPアドレスが利用されるのは、tunnel
	encapsulationコマンドの設定値が'pptp'と'ipip'の場合だけである。IPsec
	トンネルでは、トンネル端点はipsec ike local/remote addressコマン
	ドにより設定される。
[ノート2]
	Rev.4.04.04、Rev.6.02.07以前のファームウェアではこのコマンドは
	ip tunnel local/remote addressコマンドとして設定されていた。

	トンネルインタフェースの相手側のIPv4アドレスを設定する。
[ノート]
        IPv6 over IPv4トンネルを使うときには、このコマンドを設定する
        必要がある。

6. 管理ツール

6.1. pingの実行

[入力形式]
	ping6 DESTINATION [COUNT]
	ping6 DESTINATION%SCOPE_ID [COUNT]
	ping6 DESTINATION LAN_INTERFACE [COUNT]
	ping6 DESTINATION pp PP_NUM [COUNT]
	ping6 DESTINATION tunnel TUNNEL_NUM [COUNT]
[パラメータ]
	DESTINATION ... 送信する宛先のIPv6アドレス
	SCOPE_ID ... スコープID
	LAN_INTERFACE ... LANインタフェース
		- lan, lan1, lan2
	PP_NUM ... PP番号
	TUNNEL_NUM ... TUNNEL番号
	COUNT ... 送信回数
		- 1 - 21474836
[説明]
	指定した宛先に対してICMPv6 Echo Requestを送信する。
	スコープIDは、show ipv6 addressコマンドで表示できる。

6.2. tracerouteの実行

[入力形式]
	traceroute6 DESTINATION
[パラメータ]
	DESTINATION ... 送信する宛先のIPv6アドレス
[説明]
	指定した宛先までの経路を調べて表示する。

7. コマンドの仕様変更

7.1. tftp hostコマンド

[入力形式]
	tftp host any
	tftp host ADDRESS
	tftp host none
	no tftp host		(Rev.6以降)
[パラメータ]
	ADDRESS 
		- IPv4/IPv6 アドレス ... 指定されたホストからのアクセスのみを許可する
		- any ... すべてのアクセスを許可する
		- none ... アクセスを許可しない
[説明]
	TFTPのアクセス権限を制御する。
[デフォルト値]
	none

7.2. syslog hostコマンド

[入力形式]
	syslog host HOST [HOST...]
	syslog host clear	(Rev.6以前)
	no syslog host		(Rev.6以降)
[パラメータ]
	HOST ... ホスト名、IPv4/IPv6アドレスのいずれか
[説明]
	指定したホストにSYSLOGを送信する。
[ノート]
	ホスト名を指定した場合は、DNSのAレコードしか参照されない。
[デフォルト値]
	clear

7.3. radius serverコマンド (Rev.6以降)

[入力形式]
	radius server ADDRESS [ADDRESS]
	radius auth server ADDRESS [ADDRESS]
	radius account server ADDRESS [ADDRESS]
	no radius server [ADDRESS...]
	no radius auth server [ADDRESS...]
	no radius account server [ADDRESS...]
[パラメータ]
	ADDRESS ... IPv4/IPv6アドレスのいずれか
[説明]
	指定したRADIUSサーバを利用する。