$Date: 2021/01/28 05:20:24 $
ヤマハ仮想ルーターのファイルシステムには、自由に使用できるユーザー領域があります。
ルートディレクトリ "/" の配下にディレクトリ構造を構築したり、TFTP、SFTP、SCP などで任意のファイルを保存することができます。
主な用途としては、Luaスクリプト機能のスクリプトファイルの保存が挙げられます。また、外部ストレージをマウントすることができます。外部ストレージをマウントすることで、SYSLOG ファイルを外部ストレージに保存することができます。
ユーザー領域の仕様は以下の通りです。
書き込み可能容量 | 2 GB |
1ファイルの最大サイズ | 書き込み可能容量と同等 |
ファイル、ディレクトリ数の上限 | 無制限 |
ファイル名、ディレクトリ名の長さの上限 | 255 文字 |
ファイル名、ディレクトリ名に使用できる文字 | 半角アルファベット (A-Z、a-z)
半角数字 (0-9)
ハイフン '-'、アンダースコア '_'、ピリオド '.' |
初期状態ではルートディレクトリ "/" の配下に以下のディレクトリが作成してあります。
ディレクトリ名 | 説明 |
---|---|
/ssh | SSHサーバーの公開鍵情報を格納する |
/yamaha_sys | SYSLOG ファイル、SYSLOG のバックアップファイル、仮想ルーターインスタンスのユーザーデータ情報ファイルなどを格納する /yamaha_sys ディレクトリは削除できない |
/lost+found | ファイルシステムの整合性を保つための情報を格納する /lost+found ディレクトリに対するファイル操作は行えない |
/yamaha_sys ディレクトリには SYSLOG ファイルとバックアップファイルが常時保存されています。初期設定ではユーザー領域を最大で 110 MB 使用します。SYSLOG ファイルの最大サイズやバックアップファイルの最大数は syslog file コマンドで変更できます。SYSLOG ファイルの保存の詳細は「SYSLOG ファイルの保存」を参照してください。
make directory コマンドで任意のディレクトリを作成できます。
# make directory /user
show file list コマンドで任意のディレクトリの内容を表示できます。
# show file list / 2019/09/11 16:28:47 <DIR> ssh 2019/09/12 17:36:41 <DIR> user 2019/09/11 15:52:58 <DIR> yamaha_sys
SFTP でルーターに接続した場合は、以下の仮想ディレクトリにアクセスできます。SFTP の詳細は SFTP サーバー機能を参照してください。
ディレクトリ名 | 説明 |
---|---|
/mount | マウントした外部ストレージにアクセスするディレクトリを格納する 外部ストレージをマウントしていない場合は見えない |
/system | CONFIG ファイルと techinfo を格納する |
ルーターの CONFIG ファイルや外部ストレージに保存されているファイルを SFTP で GET/PUT することができます。
外部ストレージをマウントすることができます。
マウントに対応しているプロトコルは以下のとおりです。
プロトコル | バージョン | 備考 |
---|---|---|
NFS | NFSv2、NFSv3、NFSv4 | NFSv4 の Kerberos 認証は未対応 |
SMB | SMB2.0 |
外部ストレージは合計で 10 個までマウントできます。
NFS でマウントしたファイルシステムに対する操作は root権限 (uid:0, gid:0) で行われます。
このため、作成 または 変更 したファイルにアクセスするためには同様に root権限 が必要になります。
mount コマンドで外部ストレージをマウントできます。プロトコルによって mount コマンドの書式が異なります。
プロトコル | 書式 |
---|---|
NFS | mount NFS_IF [PREFIX] |
SMB | mount SMB_IF username=USERNAME password=PASSWORD [PREFIX] |
mount コマンドの入力例を以下に示します。
# mount nfs://192.168.100.100/share server: 外部ストレージをマウントしました
# mount smb://10.10.10.10/example username=user password=pass 外部ストレージをマウントしました
外部ストレージをマウントしたときに設定したプレフィックスは show status storage interface コマンドで確認できます。
# show status storage interface INTERFACE FILESYSTEM PREFIX ------------------------------------------------------------------------------- 192.168.100.100:/share nfs server: //10.10.10.10/example cifs smb001:
ルーターが再起動すると、マウントした外部ストレージはすべてアンマウントされます。schedule at コマンドで startup に mount コマンドを設定することで、ルーター起動時に外部ストレージをマウントできます。schedule at コマンドの詳細はコマンドリファレンスを参照してください。
unmount コマンドで外部ストレージをアンマウントできます。プロトコルによる違いはありません。
アンマウントする外部ストレージはマウントしたときに設定したプレフィックスで指定します。
例えば、プレフィックスが server: である外部ストレージをアンマウントする場合は以下のように入力します。
# unmount server: 外部ストレージをアンマウントしました
ヤマハルーターの以下のコマンドでマウントした外部ストレージのパスを指定できます。コマンドの詳細はコマンドリファレンスを参照してください。
ヤマハルーターのコマンドで外部ストレージのパスを指定する場合はパスの先頭に外部ストレージのプレフィックスを付与します。
例えば、show file list コマンドでプレフィックスが server: である外部ストレージの /temp ディレクトリの内容を表示する場合は以下のように入力します。
# show file list server:/temp 2019/09/12 15:43:08 <DIR> dir 2019/09/12 16:29:53 5 file.txt
マウントした外部ストレージと通信ができない状態で外部ストレージにアクセスした場合はタイムアウトエラーとなります。タイムアウト時間はプロトコルによって異なります。
プロトコル | タイムアウト時間 |
---|---|
NFS | 約 100 秒 |
SMB | 約 30 秒 |
ルーターの SYSLOG は /yamaha_sys ディレクトリに SYSLOG ファイルとして常時保存されています。ファイル名や上限サイズなどを任意に設定したり、暗号化して保存することができます。
mount コマンドでファイルサーバーをマウントして、ファイルサーバーに直接 SYSLOG ファイルを保存することもできます。
ルーターの SYSLOG は syslog file コマンドの設定に従って、/yamaha_sys ディレクトリに常時保存されます。
syslog file コマンドでは以下の項目が設定できます。
項目 | 初期値 |
---|---|
SYSLOG を暗号化して保存するか否か | 暗号化しない |
SYSLOG ファイルの名前 | syslog.txt |
SYSLOG ファイルの上限サイズ | 10 MB |
バックアップファイルの上限数 | 10 |
SYSLOG をファイルに書き出す間隔 | 3600 秒 |
SYSLOG をファイルに書き出す行数 | 1000 行 |
ルーターの SYSLOG は以下のタイミングで SYSLOG ファイルに書き込まれます。
SYSLOG ファイルのサイズが上限サイズに達するとバックアップファイルを作成します。バックアップファイル名は SYSLOG ファイル名にバックアップ日時 (_yyyymmdd_hhmmss) を付与した名前となります。
バックアップファイルの数が上限数に達した場合は、最も古いバックアップファイルを削除してから新しいバックアップファイルを作成します。
show log file コマンド で /yamaha_sys ディレクトリに保存されている SYSLOG ファイルとバックアップファイルの内容を表示できます。ただし、暗号化されているファイルは表示できません。
SYSLOG を暗号化して保存している場合、 SYSLOG ファイルは PC 上で RT-FileGuard を使用して復号できます。
syslog mount-server filename コマンドを設定すると、SYSLOG を mount コマンドでマウントしたファイルサーバーに保存できます。
syslog mount-server filename コマンドが設定されていても、ファイルサーバーがマウントされていない状態では SYSLOG は保存されません。
syslog mount-server filename コマンドでは以下の項目が設定できます。
項目 |
---|
SYSLOG ファイルを保存するディレクトリとファイルの名前 |
SYSLOG を暗号化して保存するか否か |
SYSLOG ファイルの上限サイズ |
バックアップファイルの上限数 |
ルーターの SYSLOG を SYSLOG ファイルに書き込むタイミングは syslog file の設定に従います。/yamaha_sys ディレクトリの SYSLOG ファイルの書き込みとファイルサーバーの SYSLOG ファイルの書き込みは同じタイミングとなります。
SYSLOG ファイルのサイズが上限サイズに達するとバックアップファイルを作成します。バックアップファイル名は SYSLOG ファイル名にバックアップ日時 (_yyyymmdd_hhmmss) を付与した名前となります。
バックアップファイルの数が上限数に達した場合は、最も古いバックアップファイルを削除してから新しいバックアップファイルを作成します。
SYSLOG を暗号化して保存している場合、 SYSLOG ファイルは PC 上で RT-FileGuard を使用して復号できます。
# show file list server:/temp
# mount nfs://192.168.100.100/share server:
# mount smb://10.10.10.10/example username=user password=pass
# show status storage interface
項目 | 説明 |
---|---|
INTERFACE | 外部ストレージの接続先 |
FILESYSTEM | 外部ストレージのファイルシステム |
PREFIX | ヤマハルーターのコマンドで、パスの先頭に付与するプレフィックス |
# show status storage interface INTERFACE FILESYSTEM PREFIX ------------------------------------------------------------------------------- 192.168.100.100:/share nfs server: //10.10.10.10/example cifs smb001:
# show status storage interface detail INTERFACE: 192.168.100.100:/share FILESYSTEM: nfs PREFIX: server: ------------------------------------------------------------------------------- INTERFACE: //10.10.10.10/example FILESYSTEM: cifs PREFIX: smb001:
設定値 | 説明 |
---|---|
aes128 | AES128 で暗号化する |
aes256 | AES256 で暗号化する |
設定値 | 説明 |
---|---|
aes128 | AES128 で暗号化する |
aes256 | AES256 で暗号化する |
# mount nfs://192.168.100.100/share server:
# make directory server:/syslog
# # syslog mount-server filename server:/syslog/log.txt
ファイルシステムに関連する SYSLOG メッセージを以下に示します。
レベル | 出力メッセージ | 意味 |
---|---|---|
DEBUG | Mounted a external storage (prefix). | 外部ストレージをマウントした prefixは外部ストレージにアクセスするときにパスの先頭に付与するプレフィックス |
Mount error. | 外部ストレージをマウントできなかった | |
Unmounted a external storage (prefix). | 外部ストレージをアンマウントした prefixは外部ストレージにアクセスするときにパスの先頭に付与するプレフィックス |
|
Unmount error. | 外部ストレージをアンマウントできなかった |
[EOF]