VRRP

$Date: 2009/04/01 03:04:49 $
対象ファームウェア: Rev.6.01以降

VRRPは、動的経路制御が利用できない環境で複数のルータのバックアップを行 うためのプロトコルです。

VRRPには仮想のIPアドレスとMACアドレスを持つ仮想ルータが存在します。 VRRPが動作している複数のルータのうちマスターとなっている1台が仮想ルー タのIPアドレス/MACアドレスを利用して動作します。他のルータはバックアッ プとして動作し、マスターがダウンした場合には速やかに仮想IPアドレス/MAC アドレスを引き継いで仮想ルータが存在し続けているように動作します。ホス トは、仮想ルータをデフォルトゲートウェイとして設定することでマスターが ダウンしてもバックアップ経由で通信を続けることができます。

                  +-----+      +-----+
                  | MR1 |      | BR1 |
                  |     |      |     |
                  |     |      |     |
     VRID=1       +-----+      +-----+
     IP A ---------->*            *<--------- IP B
                     |            |
                     |            |
                     |            |
   ------------------+------------+-----+--------+--------+--------+--
                                        ^        ^        ^        ^
                                        |        |        |        |
                                      (IP A)   (IP A)   (IP A)   (IP A)
                                        |        |        |        |
                                     +--+--+  +--+--+  +--+--+  +--+--+
                                     |  H1 |  |  H2 |  |  H3 |  |  H4 |
                                     +-----+  +-----+  +--+--+  +--+--+

用語

VRRPルータ
VRRPプロトコルをサポートし、動作させているルータ
仮想ルータ
VRRPプロトコルにより実現される、仮想的なルータ。VRRPを走らせてい る環境では、デフォルトゲートウェイとしてこの仮想ルータを指定する
マスタールータ
仮想ルータの役割を果たす複数のVRRPルータのうち、実際にパケット配 送を行うルータ
バックアップルータ
仮想ルータの役割を果たす複数のVRRPルータのうち、マスターが落ちた 時にはそのバックアップになるルータ
VRRPグループ
VRRPルータのグループ。VRRPグループ一つにつき仮想ルータが1台となる
VRID
VRRPグループの識別子で、1〜255の整数
VRRP広告
マスタールータがLANに送信するVRRPデータ。バックアップルータはこれ を受信することでマスタールータが動作していることを知る
シャットダウン
マスタールータがVRRP広告の送信を止めること

VRRPグループ

VRRPでは、VRRPルータのグループをVRIDにより識別します。VRIDが同一である VRRPルータは同一グループに属し、その中の一台だけがマスターとしてパケッ トの配送を行います。他のルータはバックアップとしてマスターがシャットダ ウンしたら即座に動作を引き継ぎます。

VRIDが異なると違うVRRPグループとみなされます。同一LAN上に複数のVRRPグ ループが存在することができ、お互いはまったく独立に動作します。また、一 つのルータが複数のVRRPグループに属することも可能です。例えば、2台のルー タa、bと2つのVRRPグループA、Bがあって、a、bともにA、Bの双方に所属し、A のマスターがa、Bのマスターがbという設定にしておくことができます。この 場合、PCのデフォルトゲートウェイとしてはA、Bいずれの仮想ルータでも設定 でき、2台のVRRPルータはお互いのバックアップを兼ねつつ、トラフィックを ロードバランシングして処理することができます。

                  +-----+      +-----+
                  | MR1 |      | MR2 |
                  |  &  |      |  &  |
                  | BR2 |      | BR1 |
     VRID=1       +-----+      +-----+         VRID=2
     IP A ---------->*            *<---------- IP B
                     |            |
                     |            |
                     |            |
   ------------------+------------+-----+--------+--------+--------+--
                                        ^        ^        ^        ^
                                        |        |        |        |
                                      (IP A)   (IP A)   (IP B)   (IP B)
                                        |        |        |        |
                                     +--+--+  +--+--+  +--+--+  +--+--+
                                     |  H1 |  |  H2 |  |  H3 |  |  H4 |
                                     +-----+  +-----+  +--+--+  +--+--+

仮想ルータ

仮想ルータのIPアドレスは自由に設定できるので、以下の2つのケースが考え られます。

  1. 仮想ルータのIPアドレスとして、VRRPグループに所属するVRRPルータのうち の1台のIPアドレスを利用する。

    この場合、仮想ルータのIPアドレスを持つVRRPルータが必ずマスターとなり、 他のルータはバックアップになる。

  2. 仮想ルータのIPアドレスとして、まったく別のIPアドレスを利用する。

    この場合、マスタールータはあらかじめVRRPルータに設定された優先度に応 じて自動的に決定される。優先度は1〜254の整数で、大きい方が優先される。 優先度が同じVRRPルータの間ではIPアドレスの大きい方が優先される。

仮想ルータのMACアドレスは、VRRPグループ毎に決められたユニキャストアド レスを利用します。

マスタールータのシャットダウン

マスタールータはLANから切り離されたり、電源が落ちたりした場合には不可 避的にシャットダウンしますが、回線側での通信が何らかの理由でできなくなっ た場合に積極的にシャットダウンし、バックアップルータに切り替えることも できます。

優先度

VRRPルータはそれぞれ優先度を持ち、優先度の高いルータがマスタールータと なり、他のルータはバックアップとなります。優先度は1〜255の数値で設定し ますが、スムーズなマスター/バックアップ切り替えのためにはできるだけ優 先度は大きな差をつけておくのがいいでしょう。

また、優先度はまったく同じ値を設定してもよいことになっていますが、その 場合、各VRRPルータのLANインタフェースのIPアドレスの大小によって優先さ れるべきVRRPルータが決まりますが、複数のルータが同時にマスタールータに なろうとしますので、その間の調整でマスタールータがばたばたすることが起 こりえます。やはり優先度はできるだけ大きな差をつけて設定すべきです。

プリエンプトモード

VRRPの動作モードの一つに、プリエンプトモードがあります。プリエンプトモー ドか否かでマスタールータ選出の方法が変わってきます。

非プリエンプトモードでは、先に優先度の低いVRRPルータがマスタールータと なっていた場合には、そこに後から優先度の高いVRRPルータが参加してもマス タールータの切り替わりは起こらず、従来からのマスタールータがマスターと して動作し続けます。一方、プリエンプトモードで動作している場合には、優 先度の高いVRRPルータが加わると必ずそちらにマスタールータが切り替わりま す。

通常は、プリエンプトモードで運用します。非プリエンプトモードは、マスター ルータが頻繁にダウンする場合に利用できます。

動的経路制御

VRRPを設定しているLANインタフェースでは動的経路制御は動作させない方が よいでしょう。一方、VRRPを設定していないインタフェースで動的経路制御を 動作させ、その状態によってマスタールータを切り替えるという形はありえま す。

コマンド

NATとの連携

ヤマハルーターの仕様としてはVRRPの仮想IPアドレスとNATの外側アドレスが 同一であれば連携する(マスタ状態である場合にだけARPに応答する)ように なっています。 静的NATについても同じで、VRRPの仮想IPアドレスと一致する外側アドレスを もつエントリ1つだけがVRRPと連携します。 VRRPの仮想IPアドレスと一致しない静的NATの外側アドレスまでもVRRPに連携 させることはできません。