RTX2000の優先制御の性能

$Date: 2004/02/23 10:02:57 $


概要

RTX2000の優先制御の性能には限界があります。

処理能力

RTX2000の優先制御は、ロングパケットにおいては帯域制限100Mbit/sでも帯域制限規定値に近い 制御を実現できますが、ショートパケットにおいては帯域制限規定値が大きくなった場合に誤差 が大きくなります。

トラフィック状況やパケットの種類

ショートパケットはロングパケットと比較してルーティング等のQoS以外の内 部処理負荷も高いので、ショートパケットが多く流れる環境下では優先制御が 有効に機能する速度が低下します。

また優先すべきパケットの種類が多い場合はキュー処理に時間を要しますので、 制御が可能となる速度が低下します。

なお受信負荷が高い場合には受信側での取りこぼしが発生し、送信側での制御の効果が現れませんので注意が必要です。例えばRTX2000では複数のLANインタフェースに対して同時に負荷を与えられますが、この時RTX2000の受信処理能力をオーバーし受信処理においてパケットロスが生じる可能性があります。受信処理においてパケットロスが生じる場合には、インタフェースの出力側で行われる QoS制御の効果を期待することはできません。


性能測定データ

パケットサイズと帯域制限実行時のスループットの関係

性能限界と優先制御が有効に機能する速度の目安を示すため、パケットサイズ と帯域制限実行時のスループットの関係を示します。各帯域制限設定値のスルー プット曲線よりも下の領域が、能力的に制御が可能な領域となります。

パケットサイズと帯域制限実行時のスループットの関係(RTX2000) パケットサイズと帯域制限実行時のスループットの関係 サイズ大 パケットサイズと帯域制限実行時のスループットの関係 サイズ中 パケットサイズと帯域制限実行時のスループットの関係 サイズ小

動作実施例

優先制御の動作の一例(RTX2000)

この例では、以下のような条件で測定しています。優先制御を行わない場合は UDPパケットのロス及びレイテンシは TCP と同じですが、優先制御を行うこと でUDPパケットのロスとレイテンシが抑えられることが分かります。

          ┌───────────┐
          │      SmartBits       │ (SmartBits2000 SmartFlow使用)
          └┬────┬────┬┘
         UDP↓     TCP↓        ↑
            │        │        │
     100-fdx↓ 100-fdx↓        ↑100-fdx
            │        │        │
      lan1.1↓  lan1.2↓        ↑lan1.3
          ┌┴────┴────┴┐
          │       RTX2000        │
          └───────────┘

優先制御を行わない場合

ip lan1.1 address 192.168.0.1/24
ip lan1.2 address 192.168.1.1/24
speed lan1.3 50m
queue lan1.3 type priority
ip lan1.3 address 192.168.2.1/24
優先制御を行わない場合 パケットロス 優先制御を行わない場合 レイテンシ

優先制御を行う場合

ip lan1.1 address 192.168.0.1/24
ip lan1.2 address 192.168.1.1/24
speed lan1.3 50m
queue lan1.3 type priority
queue lan1.3 class filter list 1
p lan1.3 address 192.168.2.1/24
queue class filter 1 4 ip * * udp * *
優先制御を行う場合 パケットロス 優先制御を行う場合 レイテンシ