DHCPサーバー機能

$Date: 2016/04/19 11:13:58 $

  1. 概要
  2. 注意事項
  3. 対応機種とファームウェアリビジョン
  4. 詳細
  5. 設定・操作方法
  6. 設定例
  7. SYSLOGメッセージ一覧

1. 概要

無線LANに接続するデバイスのうち、特にスマートフォン、タブレットといった端末は、既定ではIPアドレスをDHCPで取得する設定になっています。 従ってこれらのデバイスを使用する無線LAN環境では、固定IPアドレスではなくDHCPで動的にIPアドレスを割り振る運用が多いと考えられます。

無線LANをDHCPで運用する場合、DHCPサーバー機能を持ったルーターをDHCPサーバーとして用いる例がよくあります。 しかし例えば、既存の有線ネットワークに後から無線APだけを追加するような場合に、既存のルーターの設定を変更できない諸般の事情があって 新たに別途DHCPサーバーを用意しなければならない場合があります。 このような場合、APとは別にルーターを追加しDHCPサーバーとして動作させる構成となりますが、 本構成には管理すべき機器が増えることやルーター分のコストがかかるといったデメリットがあります。
本機能を使用することで、別途DHCPサーバーを設けることなく、本APのDHCPサーバー機能から無線端末にIPアドレスを配布することができます。

1.1 特徴

  1. 有線LANにDHCPサーバーが稼働している環境でも、有線LANのDHCPサーバーと共存することが可能
    本製品に搭載されているDHCPサーバー機能を有効にして、IPアドレスの払い出し先を「無線接続端末にのみ払い出す」に設定した場合は、無線LANに接続している無線端末に対してのみIPアドレスを配布します。有線LANの端末にはIPアドレスを配布しません。
    またこのとき、有線LANと無線LANの間のDHCPパケットを遮断し、有線LANのDHCPサーバーを無線LAN端末から隠します。
  2. DHCPリレーエージェント
    システム上の複数のAPのうち、1台のみをDHCPサーバー、他をそのリレーエージェントとして設定することができます。
    本機能により、無線端末はAP間をローミングしても同じIPアドレスを使い続けることができます。
  3. 無線LANコントローラー機能による自動構成
    DHCPサーバー機能を使用する設定を無線LANコントローラーから配布すると、 コントローラーAPをDHCPサーバー、メンバーAPをそのリレーエージェントとする構成を自動構成します。
  4. 有線LANに接続されている端末に対してもIPアドレスの配布が可能
    IPアドレスの払い出し先を「すべての端末に払い出す」に設定した場合は、無線LANに接続している端末に対してだけでなく、有線LANに接続されている端末に対してもIPアドレスを配布することが可能です。このとき、無線LAN側と有線LAN側の両方に対してDHCPパケットを送受信します。


2. 注意事項


3. 対応機種とファームウェアリビジョン

WLX202では、以下のファームウェアでDHCPサーバー機能をサポートしています。

機種 ファームウェア
WLX202 Rev.16.00.04以降

4. 詳細

4.1 構成

以下のような使用環境を想定しています。

(1) 有線LANにDHCPサーバーの存在しない環境で、DHCPを使う無線LAN端末を運用1

ユースケース1

各APからは、それぞれ当該APに接続している無線端末にのみIPアドレスを割り当てます。
もし有線側にDHCP端末を接続したとしても、それらの端末からAP上のDHCPサーバーは見えず、IPアドレスは割り当てられません。

またもし有線側に既存のDHCPサーバーが稼働していた場合でも、無線端末から既存のDHCPサーバーは見えません。 すなわち既存のDHCPサーバーから無線端末に対してIPアドレスは割り当てられません。

(2) 有線LANにDHCPサーバーの存在しない環境で、DHCPを使う無線LAN端末を運用2

ユースケース2

DHCPサーバーの設定で、IPアドレスの払い出し先を「すべての端末に払い出す」に指定したAPからは、無線端末だけではなく有線側の端末に対してもIPアドレスを割り当てます。

(3) 有線LANにDHCPサーバーが存在する環境で、DHCPを使う無線LAN端末を運用

ユースケース3

DHCPサーバーの設定で、IPアドレスの払い出し先を「無線接続端末にのみ払い出す」に指定し、VAP設定で、内蔵DHCPサーバーを「使用する」に指定した場合は、無線端末に対してIPアドレスを割り当てます。また、VAP設定で、内蔵DHCPサーバーを「使用しない」に指定した場合は、APからIPアドレスの割り当てを行わず、有線側のDHCPサーバーからIPアドレスが割り当てられます。
すなわち、本APに接続する無線端末が、DHCPによりIPアドレスを取得するとき、VAPの設定によって本機能を利用するか有線LAN側のDHCPサーバーを利用するかを指定することができます。

4.2 DHCPスコープ

DHCPサーバーから無線端末へ割り当てるIPアドレスの範囲をDHCPスコープとして設定します。
DHCPスコープは、本製品の管理IPアドレスが割り当てられているのと同じVLANに1個だけ設定することができます。

4.3 動作モード

本機能の動作モードとして、DHCPサーバーモードとリレーエージェントモードを選択します。
DHCPサーバーモードはIPアドレスのリース元のサーバーとして動作するモード、 リレーエージェントモードはリース元のサーバーと無線端末の間でDHCPを中継するモードです。
リレーエージェントモードにより、同一VLAN上に本機能を有効にした複数のAPがある場合でも、 IPアドレスのリース元をDHCPサーバーモードで動作してるAPに集約することができます。

IPアドレスの重複を避け、かつ端末がローミング後に同じIPアドレスを使い続けるためには、 複数のAPのうち1台のみDHCPサーバーモード、他をリレーエージェントモードとして IPアドレスのリース元サーバーを集約して運用してください。


5. 設定・操作方法(GUI)


  ■[拡張機能]-[DHCPサーバー]
      DHCPサーバーとして動作させるときは機能を「DHCPサーバー」に設定します。
      割り当てるIPアドレスの範囲、IPアドレスの払い出し先、リース時間をそれぞれ設定します。
    DHCPサーバー設定ページ
    
  ■[拡張機能]-[DHCPサーバー] DHCPリレーエージェントとして動作させるときは機能を「DHCPリレーエージェント」に設定します。 送信先のDHCPサーバーのIPアドレスを設定します。 DHCPリレー設定ページ
■[無線設定]-[SSID管理]-[VAP設定] SSID毎のDHCPサーバーの使用設定をします。 「使用する」を指定した場合、本製品のDHCPサーバーからIPアドレスが割り当てられます。 「使用しない」を指定した場合、外部のDHCPサーバーからIPアドレスが割り当てられます。 DHCPリレー設定ページ
■[管理機能]-[システム情報] DHCPサーバーの状態を表示します。 DHCPリレー設定ページ

6. 設定例

構成

設定例

DHCPサーバーの設定

    [ネットワーク設定] - [LANポート設定]
    有線側のネットワークの設定をします。
    固定のIPアドレスを割り当てるために、DHCP(クライアント)を無効にして、IPアドレス、ネットマスク、
    デフォルトゲートウェイ、DNSサーバーを入力します。
    本設定では、DHCPサーバーとして動作させるAPのIPアドレスを「192.168.1.241」,
    デフォルトゲートウェイ、DNSサーバーのIPアドレスを「192.168.1.1」に設定します。
    本製品をDHCPサーバーとして動作させる場合、ここで設定されたデフォルトゲートウェイ、DNSサーバーの情報が
    DHCPクライアントに通知されます。
    LANポート設定ページ
    
    [拡張機能] - [DHCPサーバー]
    DHCPサーバーの設定をします。
    動作させる機能を「DHCPサーバー」,
    IPアドレスの範囲を 「192.168.1.101 - 192.168.1.200 / 24 」,
    IPアドレスの払い出し先を「無線接続端末にのみ払い出す」,
    リース時間を「72時間」に設定します。
    DHCPサーバー設定ページ
    
    [無線機能] - [SSID 管理]
    無線端末を接続するVAPの設定をします。
    SSIDを「WLX-DHCP_Server」, 認証方式を「WPA2-PSK」,暗号化方式を「AES」,
    内蔵DHCPサーバーを「使用する」に設定します。(PSK(事前共有鍵)は任意の値に設定)
  ※ 内蔵DHCPサーバーを「使用しない」に設定すると、接続した無線端末は
       有線側のDHCPサーバーからIPアドレスが配布されます。
    VAP設定ページ
    
上図のDHCPサーバーの設定(Config)

DHCPリレーエージェントの設定

    [ネットワーク設定] - [LANポート設定]
    有線側のネットワークの設定をします。
    固定のIPアドレスを割り当てるために、DHCP(クライアント)を無効にして、IPアドレス、ネットマスク、
    デフォルトゲートウェイ、DNSサーバーを入力します。
    本設定では、DHCPリレーエージェントとして動作させるAPのIPアドレスを「192.168.1.242」,
    デフォルトゲートウェイ、DNSサーバーのIPアドレスを「192.168.1.1」に設定します。
    LANポート設定ページ
    
    [拡張機能] - [DHCPサーバー]
    DHCPリレーエージェントの設定をします。
    動作させる機能を「DHCPリレーエージェント」,
    転送先のDHCPサーバーアドレスを「192.168.1.241」に設定します。
    DHCPリレーエージェント設定ページ
    
    [無線機能] - [SSID 管理]
    無線端末を接続するVAPの設定をします。
    SSIDを「WLX-DHCP_Server」, 認証方式を「WPA2-PSK」,暗号化方式を「AES」,
    内蔵DHCPサーバーを「使用する」に設定します。(PSK(事前共有鍵)は任意の値に設定)
  ※ 内蔵DHCPサーバーを「使用しない」に設定すると、接続した無線端末は
       有線側のDHCPサーバーからIPアドレスが配布されます。
    VAP設定ページ
    
上図のDHCPリレーエージェントの設定(Config)

7. SYSLOGメッセージ一覧

以下の文書を参照してください。


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