無線LANコントローラー機能

$Date: 2016/02/01 09:48:01 $

  1. 概要
  2. 注意事項
  3. 対応機種とファームウェアリビジョン
  4. 用語定義
  5. 詳細
  6. コマンド
  7. 設定・操作方法
  8. 設定例
  9. SYSLOGメッセージ一覧

概要

WLX302の無線LANコントローラー機能は、別途外部機器を使用することなく、複数のWLX302の制御・管理を行うことができる機能です。

本機能は、使用するWLX302の中から1台をコントローラーとして設定し、使用します。
コントローラーとして設定されたWLX302は、最大49台のアクセスポイントをグループとして登録し、管理をすることができます。

本機能は、設定の一元管理やチャンネルの自動設定、送信出力の自動設定が行えるため、かんたんに無線LANシステムを設定し、運用することが可能になります。


注意事項


対応機種とファームウェアリビジョン

以下のファームウェアで、無線LANコントローラー機能をサポートしています。

機種 ファームウェア 最大Member-AP数
WLX302 Rev.12.00.11以降
Rev.12.00.15まで
15
Rev.12.00.16以降 49

用語定義

Controller-AP
Member-APを制御するアクセスポイント。無線LANコントローラー機能を動作させるアクセスポイントがこれに当たります。
Member-AP
Controller-APによって制御されるアクセスポイント。
グループ
Controller-APとController-APに制御されるMember-APを合わせてグループと呼びます。管理はグループ単位で行います。
初期仕様ではController-AP内にグループは1個、グループ番号は1固定です。
代替Controller-AP
グループ内の1台のMember-APを代替Controller-APとして指定することができます。
代替Controller-APは役割をController-APに変更することで、Controller-APの動作を引き継ぎます。

詳細

AP間通信

Controller-APは同一ネットワーク内の全AP対して、30秒毎に状態確認の通信を行います。
コマンドやWeb設定画面の状態表示は、上記で確認した状態を参照し表示します。

設定の一括管理

Controller-APに設定されている内容をコピーしMember-APに一括で送信します。
ただし、以下にあげる設定は個々のMember-AP毎に設定することが可能です。

これにより複数のWLX302を使用している環境でも、VAP(Virtual Access Point)の追加やMACフィルタリング設定、
内蔵RADIUSサーバーで使用するユーザーの追加・削除などを一括で設定することができます。
また、schedule atコマンドを使用して利用者が少ない時間帯などに設定を送信することもできます。

設定の管理方法

代替Controller-APの指定機能

グループ内の1台のMember-APを代替Controller-APとして指定することができます。
代替Controller-APとして指定されたMember-APには、Controller-APが持つ代替Controller-AP以外のMember-APの設定が全てコピーされます。
Controller-APが故障などの理由により使用できなくなった場合は、代替Controller-APの役割をController-APに設定することで、無線LANコントローラーによる一括管理環境にかんたんに復帰することが可能になります。
代替Controller-APからController-APへの移行はオペレーターの操作で行います。

代替Controller-APの指定

管理されるController-APの制限

Controller-APから一度設定を受信すると、そのController-APおよび代替Controller-AP以外からの制御を制限します。
そのため、オペレーションミス等により他のController-APに制御を奪われてしまう心配はありません。

管理されるController-APの制限

WLX302のグループ化と制限事項

制御下に置くWLX302でグループ化を行い、グループを一括して管理します。

本機能は、独自のLayer2プロトコルを使用してWLX302の制御を行います。
そのため、グループ化を行うController-APとMember-APは同一のネットワークに存在している必要があります。

グループ化制限事項

コマンド


設定・操作方法(GUI)

[無線コントローラー] - [基本設定]

無線LANコントローラー機能を使用するか否か、および役割を設定することが可能です。
また、役割が"Member-AP"の場合は、制御されるController-APを指定することができます。

[無線コントローラー]-[基本設定]

[無線コントローラー] - [グループ定義]

グループとして取り扱うMember-APの定義を行います。また、同時に代替Controller-APを設定することが可能です。
発見されたWLX302をグループのMember-APとして登録する場合は、『追加』欄にあるチェックボックスにチェックを入れ、『設定』を行ってください。
Member-APの設定で、制御されるController-APに他Controller-APを指定していた(他Controller-APの制御下にある)場合は、発見したAP一覧に表示されません。

役割がMember-APである場合、本ページの設定を行うことはできません。

[無線コントローラー]-[AP情報設定] (コントローラー)

[無線コントローラー]-[AP情報設定] (メンバー)

[無線コントローラー] - [AP情報設定]

グループに追加したMember-APの名称、設置場所、IPアドレスを設定することが可能です。
また、表の最上段にはController-APの情報も合わせて表示され、Member-APと同時に設定を変更することも可能です。
設定された内容は[無線コントローラー] - [設定送信]ページで設定を送信した際に、初めて各APに適用されます。

役割がMember-APである場合、本ページの設定を行うことはできません。

[無線コントローラー]-[AP情報設定](コントローラー)

[無線コントローラー]-[AP情報設定](メンバー)

[無線コントローラー] - [無線設定]

グループに追加したMember-APのチャンネル、送信出力をそれぞれ設定することが可能です。
また、表の最上段にはController-APの情報も合わせて表示され、Member-APと同時に設定を変更することも可能です。
設定された内容は[無線コントローラー] - [設定送信]ページで設定を送信した際に、初めて各APに適用されます。

役割がMember-APである場合、本ページの設定を行うことはできません。

[無線コントローラー]-[無線設定](コントローラー)

[無線コントローラー]-[無線設定](メンバー)

[無線コントローラー] - [設定送信]

グループに追加されているMember-APに設定を送信します。
設定を送信したいMember-APのチェックボックスにチェックを入れ、『設定』をクリックすると順次設定が送信されます。

役割がMember-APである場合、本ページの設定を行うことはできません。

[無線コントローラー]-[設定送信](コントローラー)

[無線コントローラー]-[設定送信](メンバー)

[無線コントローラー] - [AP情報表示]

グループに追加されているMember-APのシステム情報、および無線の情報を表示します。
Member-APの状態を取得するまで最大30秒必要です。即時反映はされません。
接続状態がNGの場合は対象Member-APはグレー表示になります。その際の表示内容は最後に確認した値になります。

役割がMember-APである場合、本ページを表示することはできません。

[無線コントローラー]-[AP情報表示](コントローラー)

[無線コントローラー]-[AP情報表示](メンバー)


設定例

構成

WLX302を3台用意し、それぞれの役割をController-AP/Member-AP(代替Controller-AP)/Member-APとします。
Member-APをController-APのグループに登録し、Member-APに設定送信を行うことで、Controller-APで行った無線LANコントローラー機能以外の設定もMember-APにコピーされます。
以下の例ではController-APの[無線設定]-[SSID管理]の内容がコピーされるため、グループ内のAPでローミングが行われるようになります。

設定例

設定手順

設定手順は以下の通りとなります。

  1. Controller-APとなるAPを1台選定して、有線LANで接続する

  2. Controller-APの基本的な設定を行う
    操作例は『無線LAN接続設定』を参考にしてください。
    より詳しい操作方法は『WLX302取扱説明書』『WLX302コマンドリファレンス』を参照してください。

  3. 役割を"Controller-AP"に設定する

    [コマンドによる設定]
    wlan-controller use on
    wlan-controller role controller-ap

    [Web設定画面よる設定]
    [無線コントローラー]-[基本設定]-Controller-AP

  4. 無線LANコントローラーに追加するMember-APを、全て有線LANで同一ネットワーク内に接続する

  5. Member-APの設定を行う
    初期設定の状態のままであれば特に設定を行う必要はありません。


  6. グループにMember-APを追加する
    Controller-APがMember-APの状態を取得するまで最大30秒必要です。
    show status wlan-controller ap listや、Web設定画面の表示には即時反映されません。

    [コマンドによる設定]
    wlan-controller select 1 メンバー番号
    wlan-controller member-ap MACアドレス
    ※Member-APのMACアドレスは、show status wlan-controller ap listを実行すると表示されます。

    [Web設定画面よる設定]
    グループに追加するAPのチェックボックスにチェックを入れ、『設定』を行ってください。
    名称/設置場所/IPアドレスはMember-AP側で設定されていた内容が適用されます。この画面はController-APのIPアドレス以外は未設定の状態です。
    [無線コントローラー]-[グループ定義]-found

  7. 代替Controller-APを指定する
    代替Controller-APが必要なければ不要です。

    [コマンドによる設定]
    wlan-controller select 1 メンバー番号
    wlan-controller substitute controller-ap

    [Web設定画面よる設定]
    代替Controller-APとするMember-APを選択し、『設定』を行ってください。
    [無線コントローラー]-[グループ定義]-substitute

  8. 各Member-APのAP情報を設定する

    [コマンドによる設定]
    wlan-controller select 1 メンバー番号
    wlan-controller system name 名称
    wlan-controller system location 設置場所
    wlan-controller ip address IPアドレス

    [Web設定画面よる設定]
    [無線コントローラー]-[AP情報設定]

  9. 各Member-APの無線設定を設定する
    グループ追加直後はチャンネル/送信出力共に自動となっています。
    Web設定画面からMember-APを追加した場合、チャンネル幅/制御用チャンネルはController-APの内容が適用されています。

    [コマンドによる設定]
    wlan-controller select 1 メンバー番号
    wlan-controller channel 無線モジュール チャンネル [bandwidth=チャンネル幅] [primary= 制御チャンネル]
    wlan-controller transmit power rate 無線モジュール 割合

    [Web設定画面よる設定]
    [無線コントローラー]-[無線設定]

  10. Member-APに設定送信を行う

    [コマンドによる設定]
    wlan-controller config set all

    設定送信が正常に終了した場合は、次のメッセージが表示がされます。
        # wlan-controller config set all
        member1(00:a0:de:97:03:00) 設定ファイルを送信しています...
        設定ファイルの送信が完了しました
        member2(00:a0:de:97:08:88) 設定ファイルを送信しています...
        設定ファイルの送信が完了しました
        #
    
    途中異常が発生しても処理は継続されます。
    これは、(00:a0:de:97:03:00)の有線LANを抜いて設定送信を行った例です。
        # wlan-controller config set all
        member1(00:a0:de:97:03:00) 設定ファイルを送信しています...
        エラー: 応答がありませんでした
        member2(00:a0:de:97:08:88) 設定ファイルを送信しています...
        設定ファイルの送信が完了しました
        エラー: Member-APのコンフィグ送信に失敗しました
        #
    
    [Web設定画面よる設定]
    設定送信を行うMember-APのチェックボックスにチェックを入れ、『設定』を行ってください。
    Controller-APの無線設定の反映も行います。
    [無線コントローラー]-[設定送信]

    設定送信が正常に終了した場合は、次のメッセージが表示がされた後、画面が再表示されます。
    [無線コントローラー]-[設定送信]-Complete

    途中異常が発生しても処理は継続され、メッセージと設定画面が表示されます。
    この画面は、(00:a0:de:97:03:00)の有線LANを抜いて設定送信を行った例です。
    [無線コントローラー]-[設定送信]-Error

コンフィグ設定

上記設定手順を行なった際のController-APと、Controller-APから送信した各Member-APの設定を示します。

[解説]

(1) 無線LANコントローラー機能以外の設定はController-APの設定をコピーする。
(2) Controller-APおよび代替Controller-AP以外からの制御を制限する。
(3) 代替Controller-APには、は代替Controller-AP以外のMember-APの設定もコピーする。

SYSLOGメッセージ一覧

無線LANコントローラー機能において出力されるSYSLOGメッセージを以下に示します。
出力されるメッセージには役割により"[WLC-MGR]"もしくは"[WLC-AGENT]"というプレフィックスが付加されます。

役割に関わらず出力されるSYSLOGメッセージ

レベル 出力メッセージ 意味
INFO プロセスの開始 starting 無線LANコントローラー機能のプロセスが開始した。
DEBUG プロセスの開始 failed to accept a connection. connectionの受領に失敗した。
failed to recv message. メッセージの受信に失敗した。
failed to parse message. メッセージの解析に失敗した。

Controller-APのとき

[WLC-MGR]というプレフィックスが付加されて、以下のSYSLOGメッセージが出力されます。

レベル 出力メッセージ 意味
INFO APの存在確認 find node(MACアドレス) "MACアドレス"のAPを発見した。
lost node(MACアドレス) "MACアドレス"のAPとの通信ができなくなった。
コンフィグの送信 send config (MACアドレス) "MACアドレス"にコンフィグの送信を開始した。
finished send config (MACアドレス) "MACアドレス"へのコンフィグの送信が終了した。
transfer config dropped block(ブロック番号) コンフィグ送信中にパケット(ブロック)がドロップした。
cannot get message-id : エラー内容 メッセージIDを取得できなかった。
DEBUG コンフィグの送信 transfer config cannot open 送信予定のコンフィグファイルをオープンできなかった。
transfer config read error 送信するコンフィグファイルをリードできなかった。

Member-APのとき

[WLC-AGENT]というプレフィックスが付加されて、以下のSYSLOGメッセージが出力されます。

レベル 出力メッセージ 意味
INFO コンフィグの送信 transfer config dropped block(ブロック番号) コンフィグ受信中にパケット(ブロック)がドロップした。
DEBUG コンフィグの送信 transfer config access violation コンフィグ転送において、アクセス属性が違反している。
transfer config deny in processing 送受信したコンフィグを反映中なのでコンフィグの受信を受け付けない。
transfer config cannot open 保存先ファイルをオープンできなかった。
transfer config cannot write 保存先ファイルに書き込みできなかった。
transfer config CRC error(ハッシュ値 ハッシュ値) 受信したコンフィグファイルがCRCエラーになった。
start applying config コンフィグの反映を始めた。
line行数:コマンド 該当コマンドをコンフィグに反映させた。
finished applying config コンフィグの反映が終了した。
applying conifg 進捗率 % コンフィグの反映の進捗率を表示する。

[EOF]