WDS外部仕様書

$Date: 2016/06/21 02:47:39 $

  1. 概要
  2. 注意事項
  3. 対応機種とファームウェアリビジョン
  4. 詳細
  5. コマンド
  6. 設定例
  7. SYSLOGメッセージ一覧

1. 概要

WDS(Wireless Distribution System)とは、無線でアクセスポイント同士を接続する機能です。
WDS機能を利用することによって、無線の通信距離を延長したり、電波の届きにくいエリアを カバーすることができます。


2. 注意事項


3. 対応機種とファームウェアリビジョン

WLX302では、以下のファームウェアで WDS機能をサポートしています。

機種 ファームウェア
WLX302 Rev.12.00.11以降

4. 詳細

4.1 接続方法

WDSでアクセスポイント間を接続する場合は、一方を親機として動作させるために、無線インターフェースを WDSアクセスポイントに、もう一方を子機として動作させるために、無線インターフェースをWDSステーション に設定します。WDSアクセスポイントとWDSステーションは1対1で接続します。

WDSアクセスポイントとWDSステーション同士は以下の項目で同じ値に設定しておく必要があります。

WDSアクセスポイント側では、WDSステーションからの接続リクエストを許可する為に、WDSステーションの無線側のMACアドレスを設定します。この時、WDSステーション側で接続用に割り当てられたMACアドレスを連番で8個登録することになります。

WDSステーション側では、WDSアクセスポイントを見つけると自動的に接続シーケンスが動作します。 WDSアクセスポイント側では、登録しているWDSステーションのMACアドレスリストを参照し、一致すればWDSステーションとの接続を許可します。

WDSで接続できるアクセスポイントは、親機から一段目の子機までとし、アクセスポイント間を 中継するような多段接続はできません。下図のような構成以外の接続形態での使用は未サポートです。

※無線インターフェースはWDS用とVAP用合わせて最大16個まで割り当てることができます。

connection

4.2 Web設定画面

WDS機能を利用するにはWeb設定画面から設定できます。

[無線設定]-[SSID管理]のVAPリストの設定項目で、編集または追加をクリックすると、VAP設定の画面が表示されます。
WDS接続をする場合は、インターフェースの動作モードの設定項目でWDSアクセスポイントまたはWDSステーションを選択します。

   ※VAPを選択した時は、通常のアクセスポイントと無線端末間の接続用にインターフェースが設定されます。

認証方式はオープンまたは WPA2-PSK を選択します。オープンを選択した時は、暗号化方式は none が自動的に指定されます。また WPA2-PSK を選択した場合は、暗号化方式は AES が自動的に指定されます。

インターフェース動作モードの設定項目でWDSアクセスポイントを選択したときは、「WDSステーション MACアドレス」の設定項目が表示されますので、接続を許可するWDSステーションの無線モジュールのMACアドレスを設定してください。

無線モジュールのMACアドレスは、Web設定画面やシリアルコンソール、本体底面に貼付されているシールにより確認することができます。Web設定画面からは、[管理機能]-[システム情報]で"MACアドレス"の項目を参照してください。シリアルコンソールからは、 show environment コマンドを実行し、"MAC-Address"の項目を参照してください。 2番目に表示されているのが2.4GHzの無線モジュールのMACアドレス、3番目に表示されているのが、5GHzの無線モジュールのMACアドレスとなります。

manage-system
Web設定画面で無線モジュールのMACアドレスを確認する

show_environment
シリアルコンソールで無線モジュールのMACアドレスを確認する

(1) インターフェースの動作モードでWDSアクセスポイントを指定した時

WDS_AP
Web設定画面でこの設定を実行した時に、以下の設定がコンフィグに反映されます。

airlink select 1
 airlink ssid wlx302-wds1
 airlink vlan-id 1
 airlink bind module1
 airlink auth wpa2-psk aes
 airlink psk-key ***********
 airlink vap mode wds-ap
 airlink wds peer 1 00:a0:de:97:0f:20
 airlink enable 1
         

(2) インターフェースの動作モードでWDSステーションを設定した時

WDS_Station
Web設定画面でこの設定を実行した時に、以下の設定がコンフィグに反映されます。

airlink select 1
 airlink ssid wlx302-wds1
 airlink vlan-id 1
 airlink bind module1
 airlink auth wpa2-psk aes
 airlink psk-key ***********
 airlink vap mode wds-sta
 airlink enable 1
         

4.3 状態表示画面

[管理機能]-[システム情報]でWDSの情報を表示します。表示する内容は以下の項目です。

表示項目 説明
No. 無線情報登録番号を表示します。
CH 使用しているチャンネルを表示します。
インターフェース動作モード "WDSアクセスポイント"または"WDSステーション"を表示します。
WDSの設定がない場合は、"WDSの設定はありません"を表示します。    
ステータス WDSの接続状態を"接続"/"切断"で表示します。
接続先MACアドレス 接続相手のWLX302の無線モジュールのMACアドレスを表示します。
切断している時は表示されません。
SSID 設定しているSSIDを表示します。
VLAN ID 設定しているVLAN IDを表示します。
受信信号強度 接続相手の電波強度を表示します。

WDS_Info1
接続時の表示

WDS_Info2
切断時の表示


5. コマンド


6. 設定例

WLX302 2台をWDSで接続します。一方をWDSアクセスポイント(親機)、もう一方をWDSステーション(子機)に設定します。 WDSアクセスポイントとWDSステーションに対して無線クライアントを接続するためのVAPをそれぞれ一つずつ設定します。 WDSアクセスポイント-WDSステーション間の通信は5GHz帯、WLX302-無線クライアント間の通信は2.4GHz帯を使用するようにします。

example

[WDSアクセスポイントの設定]

vlan-port-mode lan1:1 hybrid
vlan-id 1 1
vlan-access lan1:1 1
ip vlan-id 1 address 192.168.100.241/24
airlink select module1
 airlink mode 11b+g+n
 airlink channel 1+5 primary=lower
 airlink enable module1
airlink select module2
 airlink mode 11a+n
 airlink channel 36+40 primary=lower
 airlink enable module2
airlink select 1
 airlink ssid wlx302-wds1
 airlink vlan-id 1
 airlink bind module2
 airlink auth wpa2-psk aes
 airlink psk-key ********
 airlink vap mode wds-ap                #...(1)
 airlink wds peer 1 00:a0:de:XX:XX:XX   #...(2)
 airlink enable 1
airlink select 2
 airlink ssid wlx302-vap2-2.4
 airlink vlan-id 1
 airlink bind module1
 airlink auth wpa2mixed-psk aes
 airlink psk-key ********
 airlink enable 2
schedule at 1 startup * ntpdate ntp.nict.jp syslog
  

[WDSステーションの設定]

vlan-port-mode lan1:1 hybrid
vlan-id 1 1
vlan-access lan1:1 1
ip vlan-id 1 address 192.168.100.242/24
airlink visualization use off             #...(3)
airlink select module1
 airlink mode 11b+g+n
 airlink channel 1+5 primary=lower
 airlink enable module1
airlink select module2
 airlink mode 11a+n
 airlink channel 36+40 primary=lower
 airlink enable module2
airlink select 1
 airlink ssid wlx302-wds1
 airlink vlan-id 1
 airlink bind module2
 airlink auth wpa2-psk aes
 airlink psk-key ********
 airlink vap mode wds-sta                #...(4)
 airlink enable 1
airlink select 2
 airlink ssid wlx302-vap2-2.4
 airlink vlan-id 1
 airlink bind module1
 airlink auth wpa2mixed-psk aes
 airlink psk-key ********
 airlink enable 2
schedule at 1 startup * ntpdate ntp.nict.jp syslog
  

[解説]

(1) 無線インターフェースをWDSアクセスポイントとして動作させる設定をする。
(2) 接続許可するWDSステーションの無線モジュールのMACアドレスを設定する。
(3) WDSステーションとして動作させるときは、無線LAN見える化機能を"使用しない"に設定する。
(4) 無線インターフェースをWDSステーションとして動作させる設定をする。


7. SYSLOGメッセージ一覧

本機能において出力されるSYSLOGメッセージを以下に示します。
”airlink log on”または ”kernel log on”が設定されている場合に、”[802.11]”というプレフィクスが付加されて出力されます。

WDSアクセスポイントのとき

レベル 出力メッセージ 意味
INFO wds-ap: joined wds-sta (MACアドレス) ”MACアドレス”のWDSステーションとの通信を開始する
wds-ap: removed wds-sta (MACアドレス) ”MACアドレス”のWDSステーションとの通信を終了する

WDSステーションのとき

レベル 出力メッセージ 意味
INFO wds-sta: connection up to (MACアドレス) ”MACアドレス”のWDSアクセスポイントとの通信を開始する
wds-sta: connection down WDSの通信を終了する

無線インターフェースがWDSステーションに設定されていて、無線LAN見える化機能が"使用する"に設定されている場合は、”[wireless]”というプレフィクスが付加されて以下のSYSLOGメッセージが出力されます。双方の機能は併用ができない為、無線の設定が反映されません。
このメッセージが出力されている時は、無線LAN見える化機能を"使用しない"に設定するか、WDSステーション自体の設定を無効にしてください。

レベル 出力メッセージ 意味
INFO Invalid parameter: wds-sta vs WDSステーションと無線LAN見える化機能の双方が有効に設定されている

WDSの接続に関しては WDS-OBSERVER とよばれる監視プロセスが通信状況を監視し、一定時間不通な状態が続いた場合は再接続処理を行います。 WDS-OBSERVERで出力されるSYSLOGを以下に示します。”[WDS-OBSERVER]”というプレフィックスが付加されて出力されます。

WDSアクセスポイントのとき

レベル 出力メッセージ 意味
INFO WDS connection up WDSの通信を開始する
WDS connection down WDSの通信を終了する
WDS connection timeout, reconnect(AP) HeartBeatパケットを一定時間未受信だったため、再接続処理を行う
WDS connection timeout, airlink configure refresh HeartBeatパケットを一定時間未受信だったため、無線モジュールの再設定及び接続処理を行う
WDS connection timeout, system restart HeartBeatパケットを一定時間未受信だったため、システムを再起動する
give up retry connect WDS, system restart 再接続が停止しているため、システムを再起動する
DEBUG watching HEART-BEAT for WDS connection 接続先からのHeartBeatパケットを受信した

WDSステーションのとき

レベル 出力メッセージ 意味
INFO WDS connection up WDSの通信を開始する
WDS connection down WDSの通信を終了する
WDS connection timeout, reconnect(STA) HeartBeatパケットを一定時間未受信だったため、再接続処理を行う
WDS connection timeout, airlink configure refresh HeartBeatパケットを一定時間未受信だったため、無線モジュールの再設定及び接続処理を行う
WDS connection timeout, system restart HeartBeatパケットを一定時間未受信だったため、システムを再起動する
give up retry connect WDS, system restart 再接続が停止しているため、システムを再起動する
DEBUG watching HEART-BEAT for WDS connection 接続先からのHeartBeatパケットを受信した

[EOF]