$Date: 2016/01/18 05:39:00 $
無線LANに接続するデバイスのうち、特にスマートフォン、タブレットといった端末は、既定ではIPアドレスをDHCPで取得する設定になっています。 従ってこれらのデバイスを使用する無線LAN環境では、固定IPアドレスではなくDHCPで動的にIPアドレスを割り振る運用が多いと考えられます。
無線LANをDHCPで運用する場合、DHCPサーバー機能を持ったルーターをDHCPサーバーとして用いる例がよくあります。
しかし例えば、既存の有線ネットワークに後から無線APだけを追加するような場合に、既存のルーターの設定を変更できない諸般の事情があって
新たに別途DHCPサーバーを用意しなければならない場合があります。
このような場合、APとは別にルーターを追加しDHCPサーバーとして動作させる構成となりますが、
本構成には管理すべき機器が増えることやルーター分のコストがかかるといったデメリットがあります。
本機能を使用することで、別途DHCPサーバーを設けることなく、本APのDHCPサーバー機能から無線端末にIPアドレスを配布することができます。
WLX302では、以下のファームウェアでDHCPサーバー機能をサポートしています。
機種 | ファームウェア |
---|---|
WLX302 | Rev.12.00.17以降 |
以下のような使用環境を想定しています。
(1) 有線LANにDHCPサーバーの存在しない環境で、DHCPを使う無線LAN端末を運用
各APからは、それぞれ当該APに接続している無線端末にのみIPアドレスを割り当てます。
もし有線側にDHCP端末を接続したとしても、それらの端末からAP上のDHCPサーバーは見えず、IPアドレスは割り当てられません。
またもし有線側に既存のDHCPサーバーが稼働していた場合でも、本機能を有効にすると無線端末から既存のDHCPサーバーは見えません。 すなわち既存のDHCPサーバーから無線端末に対してIPアドレスは割り当てられません。
DHCPサーバーから無線端末へ割り当てるIPアドレスの範囲をDHCPスコープとして設定します。
DHCPスコープは、本製品の管理IPアドレスが割り当てられているのと同じVLANに1個だけ設定することができます。
本機能の動作モードとして、DHCPサーバーモードとリレーエージェントモードを選択します。
DHCPサーバーモードはIPアドレスのリース元のサーバーとして動作するモード、
リレーエージェントモードはリース元のサーバーと無線端末の間でDHCPを中継するモードです。
リレーエージェントモードにより、同一VLAN上に本機能を有効にした複数のAPがある場合でも、
IPアドレスのリース元をDHCPサーバーモードで動作してるAPに集約することができます。
IPアドレスの重複を避け、かつ端末がローミング後に同じIPアドレスを使い続けるためには、 複数のAPのうち1台のみDHCPサーバーモード、他をリレーエージェントモードとして IPアドレスのリース元サーバーを集約して運用してください。
レベル | 出力メッセージ | 意味 |
---|---|---|
INFO | DHCPREQUEST for DHCP_SERVER_IP_ADDRESS from CLIENT_MAC_ADDRESS via bridgeNUM: wrong network. | DHCPサーバーの割り振り範囲外のIPアドレスのリクエストを受けた。 |
INFO | DHCPNAK on DHCP_SERVER_IP_ADDRESS to CLIENT_MAC_ADDRESS via bridgeNUM | DHCPサーバーからクライアントへ取得拒否(エラー)メッセージを送信した |
INFO | DHCPDISCOVER from CLIENT_MAC_ADDRESS via bridgeNUM | DHCPサーバーにクライアントからDHCPDISCOVERを受信した。 |
INFO | DHCPOFFER on DHCP_SERVER_IP_ADDRESS to CLIENT_MAC_ADDRESS (CLIENT_ID) via bridgeNUM | DHCPサーバーからクライアントに割り当てる候補となるIPアドレスの入ったDHCPOFFERを送信した。 |
INFO | DHCPREQUEST for DHCP_SERVER_IP_ADDRESS (CLIENT_REQUEST_IP_ADDRESS) from CLIENT_MAC_ADDRESS (CLIENT_ID) via bridgeNUM | DHCPサーバーにクライアントからCLIENT_REQUEST_IP_ADDRESSを割り当てるDHCPREQUESTを受信した。 |
INFO | DHCPACK on DHCP_SERVER_IP_ADDRESS to CLIENT_MAC_ADDRESS (CLIENT_ID) via bridgeNUM | DHCPサーバーからクライアントにIPの貸出のDHCPACKを送信した。 |
設定値 | 説明 |
---|---|
on | DHCPサーバーを利用する |
off | DHCPサーバーを利用しない |
設定値 | 説明 |
---|---|
server | DHCPサーバーとして機能させる |
relay | DHCPリレーエージェントとして機能させる |
設定値 | 説明 |
---|---|
1..10 | チェックの確認用待ち時間(秒) |
off | チェックを行わない |
設定値 | 説明 |
---|---|
1..2147483647 | 分 |
xx:xx | 時間 : 分 |
設定値 | 説明 |
---|---|
xxx.xxx.xxx.xxx | (xxx は十進数 ) 予約する IP アドレス |
設定値 | 説明 |
---|---|
ethernet | 0x01 |
設定値 | 説明 |
---|---|
type が ethernet の場合 | MAC アドレス |
type が省略された場合 | 2 桁十六進数の列で先頭は type フィールド |
IP アドレスは、scope_num パラメータで指定された DHCP スコープ範囲内でなければならない。1 つの DHCP スコープ内では、1 つの MAC アドレスに複数の IP アドレスを設定することはできない。IP アドレスを予約設定した場合、予約設定したアドレスは予約したMACアドレス以外には割り当てらない。
dhcp scope コマンドを実行した場合、関連する予約はすべて消去される。
A. # dhcp scope bind scope_num ip_address ethernet 00:a0:de:01:23:45 B. # dhcp scope bind scope_num ip_address 01 00 a0 de 01 23 45 C. # dhcp scope bind scope_num ip_address 00:a0:de:01:23:45
GUIの仕様イメージは以下の通り。 ■[拡張機能]-[DHCPサーバー]、DHCPサーバー
■[拡張機能]-[DHCPサーバー]、DHCPリレーエージェント
■[無線設定]-[SSID管理]-[VAP設定]
■[管理機能]-[システム情報]
[設定例]
[動作モードがDHCPサーバーのとき] vlan-port-mode lan1:1 hybrid vlan-id 1 1 vlan-access lan1:1 1 ip route default gateway 192.168.100.254 ip vlan-id 1 address 192.168.100.240/24 airlink select module1 airlink mode 11b+g+n airlink channel auto bandwidth=40 primary=lower airlink enable module1 airlink select module2 airlink mode 11a+n airlink channel auto bandwidth=40 primary=lower airlink enable module2 airlink select 1 airlink ssid clean-dhcp airlink dhcp on ... (1) airlink vlan-id 1 airlink bind module1 module2 airlink auth wpa2-psk aes airlink psk-key dhcptest airlink enable 1 dhcp service server ... (2) dhcp scope 1 192.168.100.10-192.168.100.20/24 expire 72:00 maxexpire 72:00 ... (3) dns server 192.168.100.254 [動作モードがリレーエージェントのとき] vlan-port-mode lan1:1 hybrid vlan-id 1 1 vlan-access lan1:1 1 ip route default gateway 192.168.100.254 ip vlan-id 1 address 192.168.100.241/24 airlink select module1 airlink mode 11b+g+n airlink channel auto bandwidth=40 primary=lower airlink enable module1 airlink select module2 airlink mode 11a+n airlink channel auto bandwidth=40 primary=lower airlink enable module2 airlink select 1 airlink ssid clean-dhcp airlink dhcp on airlink vlan-id 1 airlink bind module1 module2 airlink auth wpa2-psk aes airlink psk-key dhcptest airlink enable 1 dhcp service relay ... (4) dhcp relay server 192.168.100.240 ... (5) dns server 192.168.100.254
[解説]
(1) | VAP1に接続した無線端末に対してIPアドレスを配布します。 |
(2) | 動作モードはDHCPサーバーです。 |
(3) | リースするIPアドレスの範囲を192.168.100.10から192.168.100.20とします。 リース時間は72時間です。 |
(4) | 動作モードはDHCPリレーエージェントです。 |
(5) | DHCPをリレーするDHCPサーバーを192.168.100.240とします。 |
[EOF]