DHCPサーバー機能

$Date: 2016/01/18 05:39:00 $

  1. 概要
  2. 注意事項
  3. 対応機種とファームウェアリビジョン
  4. 詳細
  5. SYSLOGメッセージ一覧
  6. コマンド
  7. 設定例

1. 概要

無線LANに接続するデバイスのうち、特にスマートフォン、タブレットといった端末は、既定ではIPアドレスをDHCPで取得する設定になっています。 従ってこれらのデバイスを使用する無線LAN環境では、固定IPアドレスではなくDHCPで動的にIPアドレスを割り振る運用が多いと考えられます。

無線LANをDHCPで運用する場合、DHCPサーバー機能を持ったルーターをDHCPサーバーとして用いる例がよくあります。 しかし例えば、既存の有線ネットワークに後から無線APだけを追加するような場合に、既存のルーターの設定を変更できない諸般の事情があって 新たに別途DHCPサーバーを用意しなければならない場合があります。 このような場合、APとは別にルーターを追加しDHCPサーバーとして動作させる構成となりますが、 本構成には管理すべき機器が増えることやルーター分のコストがかかるといったデメリットがあります。
本機能を使用することで、別途DHCPサーバーを設けることなく、本APのDHCPサーバー機能から無線端末にIPアドレスを配布することができます。

1.1 特徴

  1. 有線LANにDHCPサーバーが稼働している環境でも、有線LANのDHCPサーバーと共存することが可能
    本機能は無線LANに接続している無線端末に対してのみIPアドレスを配布します。 有線LANの端末にはIPアドレスを配布しません。
    また有線LANと無線LANの間のDHCPパケットを遮断し、有線LANのDHCPサーバーを無線LAN端末から隠します。
  2. DHCPリレーエージェント
    システム上の複数のAPのうち、1台のみをDHCPサーバー、他をそのリレーエージェントとして設定することができます。
    本機能により、無線端末はAP間をローミングしても同じIPアドレスを使い続けることができます。
  3. 無線LANコントローラー機能による自動構成
    DHCPサーバー機能を使用する設定を無線LANコントローラーから配布すると、 コントローラーAPをDHCPサーバー、メンバーAPをそのリレーエージェントとする構成を自動構成します。


2. 注意事項


3. 対応機種とファームウェアリビジョン

WLX302では、以下のファームウェアでDHCPサーバー機能をサポートしています。

機種 ファームウェア
WLX302 Rev.12.00.17以降

4. 詳細

4.1 構成

以下のような使用環境を想定しています。

(1) 有線LANにDHCPサーバーの存在しない環境で、DHCPを使う無線LAN端末を運用

ユースケース1

各APからは、それぞれ当該APに接続している無線端末にのみIPアドレスを割り当てます。
もし有線側にDHCP端末を接続したとしても、それらの端末からAP上のDHCPサーバーは見えず、IPアドレスは割り当てられません。

またもし有線側に既存のDHCPサーバーが稼働していた場合でも、本機能を有効にすると無線端末から既存のDHCPサーバーは見えません。 すなわち既存のDHCPサーバーから無線端末に対してIPアドレスは割り当てられません。

4.2 DHCPスコープ

DHCPサーバーから無線端末へ割り当てるIPアドレスの範囲をDHCPスコープとして設定します。
DHCPスコープは、本製品の管理IPアドレスが割り当てられているのと同じVLANに1個だけ設定することができます。

4.3 動作モード

本機能の動作モードとして、DHCPサーバーモードとリレーエージェントモードを選択します。
DHCPサーバーモードはIPアドレスのリース元のサーバーとして動作するモード、 リレーエージェントモードはリース元のサーバーと無線端末の間でDHCPを中継するモードです。
リレーエージェントモードにより、同一VLAN上に本機能を有効にした複数のAPがある場合でも、 IPアドレスのリース元をDHCPサーバーモードで動作してるAPに集約することができます。

IPアドレスの重複を避け、かつ端末がローミング後に同じIPアドレスを使い続けるためには、 複数のAPのうち1台のみDHCPサーバーモード、他をリレーエージェントモードとして IPアドレスのリース元サーバーを集約して運用してください。


5. SYSLOGメッセージ一覧

レベル 出力メッセージ 意味
INFO DHCPREQUEST for DHCP_SERVER_IP_ADDRESS from CLIENT_MAC_ADDRESS via bridgeNUM: wrong network. DHCPサーバーの割り振り範囲外のIPアドレスのリクエストを受けた。
INFO DHCPNAK on DHCP_SERVER_IP_ADDRESS to CLIENT_MAC_ADDRESS via bridgeNUM DHCPサーバーからクライアントへ取得拒否(エラー)メッセージを送信した
INFO DHCPDISCOVER from CLIENT_MAC_ADDRESS via bridgeNUM DHCPサーバーにクライアントからDHCPDISCOVERを受信した。
INFO DHCPOFFER on DHCP_SERVER_IP_ADDRESS to CLIENT_MAC_ADDRESS (CLIENT_ID) via bridgeNUM DHCPサーバーからクライアントに割り当てる候補となるIPアドレスの入ったDHCPOFFERを送信した。
INFO DHCPREQUEST for DHCP_SERVER_IP_ADDRESS (CLIENT_REQUEST_IP_ADDRESS) from CLIENT_MAC_ADDRESS (CLIENT_ID) via bridgeNUM DHCPサーバーにクライアントからCLIENT_REQUEST_IP_ADDRESSを割り当てるDHCPREQUESTを受信した。
INFO DHCPACK on DHCP_SERVER_IP_ADDRESS to CLIENT_MAC_ADDRESS (CLIENT_ID) via bridgeNUM DHCPサーバーからクライアントにIPの貸出のDHCPACKを送信した。



6. コマンド


7. 設定・操作方法(GUI)

 GUIの仕様イメージは以下の通り。

  ■[拡張機能]-[DHCPサーバー]、DHCPサーバー
    DHCPサーバー設定ページ
    
  ■[拡張機能]-[DHCPサーバー]、DHCPリレーエージェント DHCPリレー設定ページ
■[無線設定]-[SSID管理]-[VAP設定] DHCPリレー設定ページ
■[管理機能]-[システム情報] DHCPリレー設定ページ

8. 設定例

[設定例]

[動作モードがDHCPサーバーのとき]
vlan-port-mode lan1:1 hybrid
vlan-id 1 1
vlan-access lan1:1 1
ip route default gateway 192.168.100.254
ip vlan-id 1 address 192.168.100.240/24
airlink select module1
 airlink mode 11b+g+n
 airlink channel auto bandwidth=40 primary=lower
 airlink enable module1
airlink select module2
 airlink mode 11a+n
 airlink channel auto bandwidth=40 primary=lower
 airlink enable module2
airlink select 1
 airlink ssid clean-dhcp
 airlink dhcp on                                                               ... (1)
 airlink vlan-id 1
 airlink bind module1 module2
 airlink auth wpa2-psk aes
 airlink psk-key dhcptest
 airlink enable 1
dhcp service server                                                            ... (2)
dhcp scope 1 192.168.100.10-192.168.100.20/24 expire 72:00 maxexpire 72:00     ... (3)
dns server 192.168.100.254

[動作モードがリレーエージェントのとき]
vlan-port-mode lan1:1 hybrid
vlan-id 1 1
vlan-access lan1:1 1
ip route default gateway 192.168.100.254
ip vlan-id 1 address 192.168.100.241/24
airlink select module1
 airlink mode 11b+g+n
 airlink channel auto bandwidth=40 primary=lower
 airlink enable module1
airlink select module2
 airlink mode 11a+n
 airlink channel auto bandwidth=40 primary=lower
 airlink enable module2
airlink select 1
 airlink ssid clean-dhcp
 airlink dhcp on
 airlink vlan-id 1
 airlink bind module1 module2
 airlink auth wpa2-psk aes
 airlink psk-key dhcptest
 airlink enable 1
dhcp service relay                                ... (4)
dhcp relay server 192.168.100.240                 ... (5)
dns server 192.168.100.254
  

[解説]

(1) VAP1に接続した無線端末に対してIPアドレスを配布します。
(2) 動作モードはDHCPサーバーです。
(3) リースするIPアドレスの範囲を192.168.100.10から192.168.100.20とします。
リース時間は72時間です。
(4) 動作モードはDHCPリレーエージェントです。
(5) DHCPをリレーするDHCPサーバーを192.168.100.240とします。


[EOF]